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(http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu2)
「道路」後―エンスト政治の清算を(朝日新聞・社説2)
またまた、衆院で「3分の2」の多数決である。道路特定財源を10年間維持するという特例法改正案が、衆院での再可決を経て成立した。
自衛隊がインド洋から引き揚げてまた行ったり、ガソリンの値段が下がってまた上がったりと、これまでの政治では考えられない事態が起きた。民主主義のコストとも見えるが、それにしても政治の知恵のなさにはあきれた、という有権者は多いだろう。
自民党は2年8カ月前の総選挙で大勝し、民主党は10カ月前の参院選で第1党の座を占めた。ともに「勝ち」を主張して譲らない。それが、ことあるごとに政治をエンストさせる元凶だ。
この停滞を打開するには、結局、勝敗をつけるしかないのだ。福田首相は一刻も早く衆院を解散し、総選挙で国民の信を問うべきだ。
ところが、首相はとうぶん、解散しそうにない。内閣支持率は2割に低迷し、自民党の政党支持率は民主党に追い越されている。
皮肉なことに、内閣支持率が下がれば下がるほど、与党内には「解散されたら自分たちが困る」と総選挙の先送り論が広がり、福田政権の命脈を保つことにつながっている。
だが、このまま決着を先延ばしすれば、秋にかけて政治はどうなるか。
・道路特定財源を何にでも使える一般財源にするとして、では何に使うのか。道路族は簡単には譲るまい。首相は民主党に政策協議を呼びかけているが、応じるわけがない。
・基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引きあげるため、秋には消費税問題の決断が迫られる。いずれにせよ、民主党は協力しまい。
・来年1月で切れるテロ特措法を延長するなら法案を通さねばならない。
どれも3分の2の多数で押し切っていくことは不可能ではない。だが、昨年来の「ねじれ国会」で経験した長期の混乱をまた繰り返すことになる。「すんなり決められない政治」への国民の失望はさらに深まろう。
むろん、解散したからといって、与党が勝てば「ねじれ」は続く。3分の2の多数は失われるだろう。だが、新しい民意に基づく政治が生まれる。政策合意や連立、政界再編などの動きが起きるにしてもそれからのことだ。
首相はサミットや内閣改造で局面を転換したいところだろう。だが、勝ち負けに決着をつけないままでは「エンスト政治」が長引くだけだ。
与野党は、来るべき総選挙に向けてマニフェストを磨くべきだ。首相はまず、一般財源化した道路財源をどう使うのか、具体的に示す義務がある。
高齢者医療や年金制度のあり方、消費税率など「国のかたち」にかかわる基本政策を、与野党は勇気をもって示さなければならない。
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