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(回答先: 空自が軍事法廷研究/改憲と連動 民間人処罰も視野(しんぶん赤旗) 投稿者 gataro 日時 2008 年 5 月 13 日 15:49:36)
「しんぶん赤旗」 2008年5月13日号 14面から直接貼り付け。
空自の軍事法廷構想
市民運動まで標的
「自衛隊裁判所の設置」構想が朗らかになった航空自衛隊内部の研究論文は、「自衛隊の円滑な運営を図る上でも、その必要性はクローズアップされる」と強調しています。
論文掲載以降の自民党など改憲勢力が打ち出した改憲草案はどれも「軍事裁判所」の設置を強く押しだしています。
『法翼』論文に目を通した、旧軍の軍法会議や自衛隊法に詳しい内藤功弁護士は次のように指摘します。
「自衛隊裁判所構想は改憲による軍法会議設置、軍刑法制定までのいわばつなぎ的な搭置と言える。しかし自衛隊が内部でこうした研究に着手していることは見過ごせない。改憲で自衛隊を軍隊にするためには軍刑法、軍事裁判所(軍法会議)が欠かせない。自衛隊をいつでも海外派兵できる恒久法の流れとも重なり危険な動きだ」
軍事裁判所は軍隊の規律違反を処罰しますが、一方で「戦力の侵害を防止」するとして民間人が軍事法廷に立たされ“軍の論理”で裁かれることも想定されます。
内藤弁護士は、自衛隊演習場の騒音被害に抗議した住民の通信線切断が札幌地裁で争われ、無罪になった北海道の恵庭事件を例に指摘します。
「これが軍事裁判ならば自衛隊の施設損壊罪で有罪になるだろう。ミサイルの性能を調べて配備の危険性を知らせるパンフレットを作り宣伝したら情報漏えい罪で裁かれるなど、裁判の対象が無限に広げられる」
戦前の軍法会議の捜査機関として動いたのが憲兵。憲兵が次第に国民監視から民衆の運動を弾圧する役割を果たしていった歴史からも自衛隊裁判所=軍事法廷を軽く見ることはできません。
イラク派兵をめぐって自衛隊の情報保全隊が国民を「監視」しました。イラクで武装勢力との「衝突」で多国籍軍部隊に「駆けつけ警護」を考えたという佐藤正久イラク復興業務支援隊長(現自民党参院議員)の発言もあります。自衛隊裁判所が実現していれば、いずれもどう扱われるかは想像に難くありません。
しかし憲法九条が明記し、名古屋高裁の判決が明確にした「海外での武力行使は違憲」「平和的生存権」の立場は自衛隊裁判所の設置を容認する余地はありません。
(山本眞直)
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憲法秩序に背く
愛知大学教授(憲法学) 小林武さん
学問・研究の自由は、憲法上何人にも保障されているが、公務員としての意見公表は憲法遵守義務の制限を受ける。また、この論稿は、本質的に政策提言だといえる。
提言の中心は、現行憲法の下での「自衛隊裁判所」の創設にある。憲法で禁止された特別裁判所でなく、軍事的専門性をもった通常裁判所としてつくることができると主張する。
しかし、構想されているのは、軍事問題は軍内部で処理する「自己完結型」の裁定機構である。戦前の軍法会議と同質のもので、憲法上受け入れられる余地はない。
論稿は、自衛隊を「軍」と見ることを前提に、同裁判所の任務を「軍紀維持・戦力侵害防止」に置く。これは、一貫して自衛隊を軍ではないとしてきた政府解釈とも相いれ
ないもので、憲法秩序に根本的に違背する制度設計にほかならない。これでは、日本社会の中に、市民のコントロールの及ばない世界が出現することになる。
通常の裁判官では軍紀維持などの判断ができないことを理由に、裁判員として自衛官を加えることを提唱しているが、裁判への市民参加を理念とする裁判員制度とは似て非なるものだ。
二〇〇五年十一月の自民党新憲法草案は「軍事裁判所」を提唱しているが、この論稿は、改憲を待たずにこれを実現しようとするものだ。もし、防衛省全体の意向に沿う提言であるとすれば、憲法無視の事態はなおさらに深刻である。
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