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(回答先: 違憲判断の高裁判決確定へ=自衛隊イラク派遣訴訟−名古屋(時事通信) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 5 月 01 日 21:46:36)
http://www.news.janjan.jp/government/0805/0804296005/1.php
「イラク派兵違憲」判決を「差止訴訟の会」代表に聞く
上野数馬2008/05/01
名古屋高裁が下した、イラクへの自衛隊派遣を違憲とする勝訴の判決をめぐり、訴訟を起こした市民団体が4月27日、名古屋市内で集会を開いた。判決を法廷で聞いて、うれしさの余り、涙を流したという「訴訟の会」の代表・池住義憲氏に、勝訴の意義、裁判後の心境などを聞いた。
4月27日午後、名古屋YWCAで「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」第5回総会が開かれた。総会では「4.17イラク派兵違憲判決」報告や今後の対応などが話し合われた。会場で、同会代表の池住義憲氏に見解を聞いた。
「差止訴訟の会」総会で挨拶する池住氏(以下筆者撮影)
記者: 判決の日に1号法廷入口階段下で、久野秀明・事務局長がハンドマイクで、法廷に入り切れず待つ原告などの皆さんに、開廷時間ジャストから「只今、裁判長以下3人が入廷しました。判決言い渡しが始まりました。あっ、原告勝訴です! 1人1万円の賠償金支払いを命じました」なんて仮想・実況中継で、緊張して身構える皆さんを笑わせていました。敗訴とはいえ、99%ないと思われていた実質勝訴の違憲判決が出ましたね。
池住氏: そうですね。自衛隊イラク派兵違憲判決が出ました。1947年に平和憲法が施行されて61年目で初めて、9条違憲判決が確定しました。すぐ翌日、早朝から東京に行き20日まで、弁護団と共に国会議員・政党への報告と申し入れ、共同記者会見、防衛省申し入れ・抗議などをしてきました。
記者: 判決から10日ほど経ち、少し落ち着いたところで、改めて、今回の判決の印象を。感慨に近いものがあると思いますが、お聞かせ下さい。
池住氏: こんな経験はもうないと思いますが、法廷で涙が出ました。裁判長が「航空自衛隊の空輸活動はイラク特措法2条2項、3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する」と述べた時です。午後1時45分頃のことでした。
記者: 市民運動の裁判は、ほとんどが敗訴のようで、かなりの覚悟がいったと思いますが。
池住氏: そうなんです。「絶対に勝てないよ」、「まぁ、やるだけやってみたら」、「負けるのがわかっているのに、なぜやるの?」などと言われました。仲間や友人に呼びかけたのは2004年1月7日で、19日に準備会を持ち、わずか1ヵ月で全国から1,200名を越える原告が集まり、2月23日に名古屋地裁に提訴したのです。その後も増え続け、第7次まで原告総数は3,268名にもなりました。
満面の笑顔の近藤ゆり子総会議長(左)と池住義憲代表
記者: 直前にインタビューしたときは「実質審理に踏み込んだので、かなり手ごたえがある」と明るい見通しのようで、ひょっとしたら1%くらいは可能性が…という印象でしたが。
池住氏: 正直なところ、これほどまで明確な9条違憲判決を得られるとは予想していませんでした。法廷で聞いた時、耳を疑い、夢ではないかとさえ思いました。でも、裁判長は確かにそう言っていると分かったとき、身体が震えるほどの喜びと感動を覚えました。小泉・安倍・福田3政権が行ってきた自衛隊のイラク派兵という違憲行為の連鎖に、これで「楔(くさび)を打ち込むことができる!」、「歯止めをかけることができる!」と思えた瞬間でした。
記者: 判決主文が控訴の棄却で、原告敗訴ということから、政府首脳などの反応は無視に近いものでしたが、それについては?
池住氏: 判決主文は「本件控訴をいずれも棄却する」の13文字です。しかし裁判所はこの結論を導く「本論」である「事実及び理由」で、航空自衛隊の空輸活動を証拠に基づいて憲法違反・法律違反と断罪しました。政府には憲法尊重擁護義務(憲法99条)があり憲法や法律に従わなければなりません。司法府には、法律を執行する行政府の行為が憲法に違反するかどうかを審査する権限(違憲立法審査権)があります。名古屋高裁が下した違憲判断を、政府が無視または軽視することは、憲法が定めた「法の支配」の原則を否定するもので許されません。
記者: そもそも原告の訴えは、どんなことでしたか?
池住氏: 政府の自衛隊イラク派兵により、私たちが戦争の加担者・加害者にさせられて精神的苦痛を受け、権利(平和的生存権)が侵害された。そうした「精神的苦痛」「権利侵害」を受けたことに対して、国に慰謝料を請求する国家賠償法第1条に基づく損害賠償請求訴訟です。損害賠償請求が認められるには、1.国が行っている行為の違法性、2.それによる権利侵害の2つの要件が満たされることが必要です。
「望みうる最高の判決だった」と語る池住氏記者: 訴えの趣旨はわかりました。判決文を読めない、普通の人たちにもわかるように「実質的勝訴と原告団が主張する根拠と理由」をわかりやすく話して下さい。
池住氏: 主文だけでは「国側勝訴・控訴人敗訴」です。しかし実質は、ほぼ全面的に私たちの勝訴判決です。勝訴した国側は上告できません。敗訴した私たち控訴人は上告しませんから、この控訴審違憲判決は上告期限が切れる5月2日に確定します。
「実質」というのは主文に続く本論「事実及び理由」のなかで、証拠に基づいて「国の行為の違法性」と「権利侵害」の有無を詳細に検討しています。傍論どころか、判決に必要不可欠な本論そのものです。
裁判所はまず、政府の「憲法9条」解釈、更に「武力の行使」、「自衛隊の海外活動」「他国による武力行使との一体化」、「イラク特措法」、「戦闘行為」、「国際的な武力紛争」、「戦闘行為」についての政府解釈を明らかにしています。次に、証拠に基づいて「米軍を中心とする多国籍軍の活動」、「現在のイラク状況」、「イラク国内における戦闘状況」、「航空自衛隊の空輸活動」の事実を認定しています。
そして、証拠に基づいて認定した事実を「政府と同じ憲法解釈」に立ち、かつ「イラク特措法を合憲」だとしてみても、現在イラクで行われている航空自衛隊の空輸活動は、憲法9条1項、イラク特措法2条2、3項に「違反する活動を含んでいる」と判断したのです。
国賠法上の第1要件である、政府の行為の「違憲性」を明確に認定しました。しかし、第2要件である「権利侵害」については、私たちの「具体的権利としての平和的生存権が侵害された」とまでは認めず、「民事訴訟上の損害賠償請求において認められるに足りる程度の被侵害利益が未だ生じているということはできない」として棄却しました。
この部分に、とても含蓄があるのです。第1に、裁判所はイラク特措法が合憲だとは言っていないこと。裁判官の真意を推察すると「イラク特措法は違憲の疑いがあるが、政府が解釈するように合憲であると仮定しても、空自の空輸活動は違法ですよ」ということです。第2に、被侵害利益が「未だ生じているということはできない」との表現。「未だ」ということは「今後、生じる可能性が十分ありますよ」と政府に対して警告しているのです。
記者: なるほど。で、代理人・弁護士の方たちからはどんな見解が出されましたか?
池住氏: 名古屋訴訟弁護団事務局長の川口創弁護士は、この判決を「国はギリギリのところで勝たせてもらっただけ」という意味で「寸止め」判決と表現しています。また今回の「イラク派兵違憲判決」を「政府自らに違憲の政策を見直す機会を与えた」という意味で「執行猶予」判決と言えるとも述べています。実に的確な表現だと思います。
記者: 問題は、いかに政府がこの判決を真摯に受け止めざるを得ないようにするか、ですね。
池住氏: 形では敗訴ですが「本論」で航空自衛隊の空輸活動を違憲とした本判決は歴史的な意味を持ちます。日本社会の重要な規範として法的拘束力に近い力をもつことは間違いないでしょう。政府を動かすためには今後どのような活動を展開するか、それを今日の総会で話し合ったのです。
記者: お話、ありがとうございました。
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