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自給率が上がれば値段も上がる:小麦【瀬尾佳美BLOG】バターの国際価格は約354円/Kg・・日本にくるとキロ2,443円
http://www.asyura2.com/08/senkyo49/msg/602.html
投稿者 tk 日時 2008 年 4 月 30 日 22:48:41: fNs.vR2niMp1.
 

http://72.14.235.104/search?q=cache:cP0lYE0gbxUJ:blog.sipec-square.net/k-seo/2008/04/+%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%80%80%E8%BC%B8%E5%85%A5%E4%BE%A1%E6%A0%BC&hl=ja&ct=clnk&cd=3&gl=jp&lr=lang_ja&client=firefox-a

このページは、G o o g l e で 2008年4月25日 17:08:36 GMT に保存された http://blog.sipec-square.net/k-seo/2008/04/ のキャッシュです。

いま、別の件で、「血祭り」にあげられてれいる瀬尾佳美さんのブログでした。ブログを閉じてしまってみたいです。結構、面白いことを言っていたブログだったので、残念です。たけ(tk)としては、結論(無関税主義、国内農業保護不要論)には反対ですが、的確な数字を挙げて論じる姿勢は貴重なものだったと思います。

穀物の関税は「国内生産価格より、ちょっと高くなるように調整する」「国内生産量がxx%以上確保できるように設定する」という数値目標で柔軟に上げ下げすべきではないか、と考えています。

国内の生産調整失敗で、需要に満たなくなるような状況においては、関税を下げて国内需要を満たすことを優先すべきである。

−−−−

2008年04月13日
自給率が上がれば値段も上がる:小麦

近頃、マスコミが農産物の自給率拡大のキャンペーンを張っている(ように見える)。きっかけは輸入小麦の高騰である。高騰の理由はオーストラリアの旱魃やバイオエタノールの利用拡大など様々だが、ともかくも政府は輸入小麦の小売価格を引き上げた。マスコミの論調は以下のとおりである。

「輸入価格の高騰が食卓に直接響くのは、輸入に頼りすぎているから
   ↓
もっと(小麦の)自給率を高めなければならない。」

というものだ。今日はこの話のおかしさを検討しよう。

まず、小麦であるが、小麦が上がったのは輸入に頼りすぎているせい、というのは本当だろうか?TVでは、「うちは国産小麦を使っているので安く提供できます」というラーメン屋が出てきたりする。では国産小麦は輸入小麦より安いのか?

答えはYES/NOである。国産は、調達価格は高いが販売費は安い。その差約3倍。このギャップは、輸入小麦にかけた重い税金と課徴金で埋められている。

国内小麦の生産コスト : 112.6 千円 
外国産小麦の輸入価格:  34.3 千円 (5銘柄加重平均価格)

である(価格はいずれもトンあたり、以下も)。調達価格は国産小麦のほうが3倍も高い。ところが売値は

国産小麦 41.7 千円
輸入小麦 53.3 千円

と逆転する。輸入小麦が高いのは、関税の他に従量制で多額の課徴金がかけられているためであり、国産小麦が安いのは、その金がまるまる農家に流れているからである。内訳を少し見てみよう。

農家に対する補助金
生産条件不利補正(面積あたり)71,500円
生産条件不利補正(数量あたり)35,200円
品質改善奨励額        10,000円
生産・流通改善奨励額       300円
流通合理化奨励額        1,100円
でこれをトン当たりに直すとおよそ118,000円 となる。

輸入時にお上(農民)に召し上げられる金
マークアップ         16,868円/トン 

マークアップとは良く分からない金だが、要する国の財布ではなくに農水省から農家に直接流れる金である。収支は大体合っている。

国民が消費する食用小麦の内訳は、450tが輸入、70tが国産である。

国産の70t対しトン当たり118,000円の補助金を払うと826.7億円。輸入の450tに対しトン当たり16,868円マークアップすると759.1億円。

早い話が、現在の日本の小麦は、安い輸入物が高い国産を支える構造になっているということである。今は国産がほとんどないからこそこの構造でもなんとかなっているが、これ以上自給率が高くなれば破綻である。小麦の値段は天井知らずで上がってゆくだろう。

国内農業の効率化の見通しなしに、簡単に自給率拡大などと言ってもらってはホントニ困るのである。

さて、話は変わるが、この春、スーパーの店頭からバターが消えたのに気づいておられるだろうか?パン屋はバターロールやクロワッサンの生産を縮小したりしている。ちょっとしたバターパニック(というほどでもないが)だ。

日本が国内の乳製品の生産調整に失敗したためである。残念なことにバターはほとんどが国産なのだ。自給率が高くったって、こういうことは起きるときには起きるということだ。

ところでバターはどうして輸入が少ないのか。答えはもちろん、異常高値の関税のためである。

輸入バターには約35%の従価税に加えて、農畜産業振興機構への上納金(マークアップ)として806円/1kgがかけられている。(農畜産業振興機構とは言うまでもなく、農水省の関連団体)。これが一般的な方法による輸入の場合。少量を個別に輸入する場合はもっとお高くて、基本関税は35%と従量制の税1,159円/kg、これに加えて生産者に渡るマークアップ806円/kgがかかる。

現在のバターの国際価格は約354円/Kg(ポンドで159円ですから日本の半額ですね)だが、この方式で日本にくるとキロ2,443円に跳ね上がる。これではとても手が出ない。

従価ではなく、「従量」の課税は農産物では多用されているが、どれも非常に高い。どれだけ輸出元が努力しても、極端な話元値がタダであっても、絶対に国産価格を下回らないように設定されている、きわめて大きな障壁なのである。結果として、米の関税など、300ー500%にまで登る。

こうまでして、国産の農業・酪農は今でも厳重に厳重に守られているのである。それでも自給率は低い。なにか問題があると思ったほうがよいのではないか。仮に自給率を上げなければならないというのが、国民の合意だとしても、同じストラテジー(鎖国)でいいとは思えない。

次回は「自給率」の国際比較を考えます。
(今回のデータは研究友達の「のしし」に提供してもらいました。)

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