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リベラル!! リベラリスト(自由主義者) 白川勝彦Webサイト HOME
永田町徒然草 No.788
憲法59条4項「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」という条文は有名になった。ところで、この条文でいうところの「60日以内」とはいったい○月○日から道路特定財源の暫定税率を復活するという再可決は可能になるのだろうか。 道路特定財源の暫定税率を今後さらに10年間に亘って復活することを内容とする租税特別措置法改正案が衆議院で強行採決され、参議院に送付された(すなわち参議院がこの法案を受け取った)のは2008年2月29日であった。そうすると一体いつから再可決することができるのだろうか。むかし司法試験受験の時に勉強したことを念のために復習してみた。 「民法第一篇 総則 第5章 期間」(138条〜143条)がこういう問題の基本を定めている。関係する条文だけをピックアップする。民法はいまなおカタカナで書いてあるので、そのまま掲載した。 ・第138条 期間ノ計算法ハ法令、裁判上ノ命令又ハ法律行為ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外本章ノ規定ニ従フ 今回の問題を考える場合、第138条がいう「法令に別段の定め」はないようである。従って以上の規定で考えて良いようである。憲法59条4項は「60日以内」と書いてあるから「期間ヲ定ムルニ日ヲ以テシタルトキ」にあたる。だから「期間ノ初日ハ之ヲ算入セス」ということになる。だから今回の法律案が強行採決された2月29日に参議院に送付されたとしても(参議院がいつ受け取ったとしているのかは、確認していない。たぶん2月29日に受け取ったとしているのだろう)、3月1日から期間は進行する。 3月1日から「60日以内に議決しないとき」とは、いったい○月○日なのだろうか。「60日以内」とは60日目の日を含むというのは、小学校で習ったことである。そうすると3月が31日あり、4月が29日経過したときが「60日目=期間の末日」ということになる。すなわち31+29=60という算数の問題である。 ところが、ここで問題になるのが、第142条の「期間ノ末日カ大祭日、日曜日其他ノ休日ニ当タルトキハ其日ニ取引ヲ為ササル慣習アル場合ニ限リ期間ハ其翌日ヲ以テ満了ス」という規定である。「其日ニ取引ヲ為ササル慣習アル場合ニ限リ」の「取引」というのは、商売に関することであり国会の審議はこれに当たらない、と果たして本当にそういえるのだろうか。「大祭日、日曜日其他ノ休日」に国会の審議を行わないことは、国会の慣習である。審議をしてはならないという法律はないが、非常時でなければまずあり得ない。 このように考えると、憲法59条4項の「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないとき」とは、4月29日の翌日である4月30日を過ぎた日=2008年5月1日と考えることもできるのである。すべてのマスコミが自公“合体”政権は「4月30日に再可決する」といっているが、そのことに本当に絶対の自信があるのか。“政府がそういっているのだからそうなのだ”というのであれば、江戸時代の瓦版屋と同じである。ジャーナリズムに求められるのは、旺盛な批判精神なのである。 旺盛な批判精神を“反体制”とはいわない。政府は“反体制”と呼ぶだろう。だが、旺盛な批判精神が健全な自由主義社会を形作ってきたのである。少し細かいことのようだが、“即日公布・施行”にも同じような問題点がある。いずれにせよ、最近の自民党と公明党は“血走っている”としか思えない。自公“合体”政権の政治家たちはいろいろなことを言っているが、国民の心に染み入るものが果たしてあるのだろうか。私にはどうしてもそう思えないのであるが・・・・。私の感覚がズレているのだろうか・・・・。まぁ、その決着はいずれ着ける。 この数日間は、すべての政党や政治家の本性が剥き出しになる。マスコミやジャーナリズムの実態が露呈される。そこに登場する政治評論家やコメンテーターの本音と政治的スタンスが明らかになる。こんな機会は滅多にない。政治に関心をもつ人や政権交代を望む者は、ゴールデン・ウィークだからといってウツツを抜かしている訳にはいかない。永田町徒然草は、最後の最後まで戦う! 勝負は下駄を履くまで諦めてはならない。 それでは、また。 |
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