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永田町徒然草 No.721
昨日、広島高等裁判所の山口県光市母子殺害事件差し戻し控訴審の判決があった。裁判所は被告人に対し死刑を言い渡した。このことに関し今日は論評を控える。しかし、犯行当時の被告人の年齢が18歳未満であったならば死刑で処断することはできないのである。 すなわち少年法51条1項は、「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する」と規定しているからである。この事件の被告人の年齢は犯行時18歳30日だった。30日の違いによって被告人の刑罰は大きく異なることになるのである。このところ死刑になりたくて殺人に及んだという事件が相次いで起った。昨日は19歳の現職の自衛官がタクシー運転手を殺害した。死刑になりたくて犯行に及んだと供述しているという。土浦市の殺人事件の被疑者も確か22歳だったと思う。厳罰化の議論を嘲笑うような皮肉な犯罪である。 急にこんな話題を持ち出したのは、刑罰法規においては期日が非常に重要であることを言いたかったからである。租税に関する法律においても期日は刑罰法規と同じように重要なのである。自公“合体”政権は租税特別措置法改正案を4月30日に再可決すると盛んに力んでいる。それはそれとして、仮に4月30日に再可決したとしよう。その場合、ガソリンはいつから値上がりするのだろうか。軽油はいつから値上がりするのだろうか。 4月1日前後の混乱を思い出して欲しい。ガソリン税は蔵出し税である。石油精製所からいつ出荷されるガソリンに暫定税率が課せられるのだろうか。軽油は蔵出し税ではない。従ってガソリンスタンドで購入する時点=販売する時点で暫定税率が課せられることになる。それは一体いつなのか。もうここまで来ているのであるから、4月30日再可決なら○月○日からと国民に分からなければならない。5月2日再可決ならば○月○日になるのか誰にも分からなければならない。 軽油の場合は政府が施行の日といった日からである。暫定税率が課せられない軽油をガソリンスタンドがいくら在庫しておいても、施行日以降に販売する軽油には暫定税率が課せられる。だから在庫をしておいてもあまり意味がない。しかし、ガソリンの場合はそう簡単ではない。タンクローリーが精製所を出発した日から暫定税率が課せられる。だからガソリンスタンドとしては、暫定税率が課せられないガソリンをできるだけ在庫しようと考える。石油精製会社としても暫定税率は国に収めなければならないのであるから、できるだけガソリンスタンドの要望には応えようとするだろう。 ガソリンの在庫能力は石油精製会社やガソリンスタンドによって異なる。そうするといつからガソリンを値上げするのか問題になる。こんどはいつまで値上げをしないで頑張るかという競争が起きる。消費者も4月1日の時と同じように安いガソリンスタンドを探し回ることになるであろう。だから租税特別措置法改正案の施行日は重要なのだ。重箱の隅を突っついているのではないのだ(永田町徒然草No.762「これは、“夢か現か幻か”(その1) 参照)。 それにしてもガソリンや軽油に暫定税率が課せられる日が、“政府がこの日だといった日がそうだ”というのでは、なんだか江戸時代に戻ったような気がする。“慇懃無礼と混乱を嫌うことだけが取得”の福田首相がやろうとしているのはこういうことなのである。石油会社出身なのであるから、これ位ことは分かってよい筈なのだが・・・・。政府が困る、地方財政が困る、環境のために良くないといろいろと心配しているが、国民が困っていることに配慮する気は毛頭ないようである。何をか言わんかである! それでは、また。 |
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