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立川反戦ビラ弾圧 最高裁不当有罪判決を許さない! = 週刊かけはし
http://www.asyura2.com/08/senkyo49/msg/352.html
投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 4 月 18 日 00:26:02: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.jrcl.net/web/frame080421a.html


「表現の自由」は守るに値しない権利なのか?
警察と自衛隊が仕組んだ弾圧だ
権力意思に迎合した判決理由

被告・弁護側の
主張を完全無視

 四月十一日、最高裁判所第二小法廷(裁判長裁判官・今井功、裁判官・津野修、中川了滋)は、立川反戦ビラ入れ裁判の高裁判決を支持し、上告棄却の不当判決を出した。最高裁は、福田政権の意志を忠実に代弁し、反戦・反基地運動潰しの任務を貫徹したのである。
 判決は、被告と弁護団が主張していた(1)自衛隊官舎の敷地・階段・玄関前は「人の看守する邸宅」ではない(2)住民の意思ではなく管理権者の意思でビラまきが違法化されている (3)住民がビラまきに刑罰で対処してほしいと思っていたかは証明できない (4)本件のビラまき態様において害を与えていない (5)「表現の自由」と可罰性(刑罰をもって罰するに値いする程度のものか)についての正当性についてことごとく無視した。われわれは、この反動判決を断固糾弾するとともに、この反動判決を利用し弾圧を強化してくるであろう公安政治警察、自衛隊情報保全隊の策動を許さない陣形を構築していくことを訴える。

公安警察と情報
保全隊が共謀

 最高裁は、被告、弁護団に対して「事実誤認の主張」などと結論づけ、実質的な「門前払い」といえる事務的な作文をでっち上げてきた。抹殺した事実、重大な問題箇所はこうだ。
 第一に、日本共産党の「赤旗」(07年10月12日)は、「反戦ビラ弾圧への陸自情報保全隊の関与を証明する内部文書を暴露」と報道し、自衛隊と警察の協力による事件化が明らかとなった。この事実に関し被告と弁護団は、上告趣意書補充書を最高裁に提出したが、全く取り上げなかった。
 判決は「立川宿舎の管理業務に携わっていた者により管理者の意を受けて警察に住居侵入の被害届が提出された」などと事実わい曲を行い、公安と陸上自衛隊情報保全隊の事前の意志一致のうえで事前共謀を行い、でっちあげ逮捕を強行した事実を黙殺したのである。さらに、救援会は立川自衛隊宿舎の住民に対してアンケート調査(70通)を行い、二通の回答があり、いずれもビラ配布を「犯罪だと思わない」と明記していることを明らかにした。つまり住民は、イラク派兵に関する多様な意見を「知る権利」を、警察・自衛隊によって一方的に奪われ、違憲・違法行為を受けたのであった。この事実も最高裁は排除してしまった。
 また、一審第二回公判(04年6月3日)で朝霧修(陸上自衛隊東立川駐屯地業務隊厚生課長で官舎の管理責任者)証人は、@防衛庁が朝霧や官舎住人に対して、自衛隊のイラク派兵反対のビラ配布があったら警察への110番通報と回収、自衛隊への連絡の徹底を通達していたA権力がビラ配布に対して被害届けを出せとアプローチしていたB朝霧が警察署に行った時には、すでに被害届けの書類が完成しており、それに署名・捺印するだけだった││と述べている。この証言は、いったいどこにいったのか。最高裁は、裁判過程において明らかとなった公安と保全隊の共謀による計画的弾圧だった事実に触れることもなく、抹殺してしまったのである。

誰が他人の権利
を侵害したのか

 第二は、「立ち入った場所」について最高裁は、検討しようとしている点だ。内容的には高裁判決をそのまま引き継ぎ、「各号棟の1階出入り口から各室玄関前までの部分は、居住用の建物である宿舎の各号棟の建物であり、宿舎管理者の管理に係わるものである」、「人の看守する邸宅」と規定し、「管理権者の意思に反するものであった」から住居侵入罪が成立しているとした。
 反戦ビラ配布規制が本当のねらいであったことを覆い隠しながら、反戦ビラ配布と商業チラシの区別をせず、いずれも「管理権者の意思に反する」ビラ配布のために「侵入」したならば住居侵入罪であるという強引な論理構成をせざるをえなかったことを示している。こんな単純な論理で表現の自由が圧殺されてはならない。最高裁にとって都合がいいだけではないか。
 この姿勢は「表現の自由」に対しても同様に適用されている。「表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず」と言いながら、「表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されない」と断言するのだ。ならばいったいどのように「他人の権利を不当に害」したのか、なぜ示さないのか。さすがに最高裁は、管理権者は自衛隊であり、国策としてのイラク派兵に反対するビラ配布は許されないと公然と言えないから、このような詭弁を駆使しているのだ。
 さらに官舎には管理人がおらず、立川テント村のビラ配布をはじめ商業チラシなどの配布が自由に行われていたにもかかわらず判決は、「一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない」などと大嘘をつき、「管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない」と断定するだけでしかない。ビラを郵便ポストに入れるための行為が、どんな「平穏」を「侵害する行為」だというのだ。
 このように最高裁は、体制防衛のための「階級的使命」から主観主義に満ちた断定と政治的どう喝という悪あがきに貫かれている。

一審無罪判決に敵意をむき出し

 第三は、とりわけ一審判決に対する批判のトーンが高いことだ。判決は「管理者からその都度被害届が提出されていることなどに照らすと、所論のように法益侵害の程度が極めて軽微なものであったなどということもできない」と述べ、一審無罪判決を「断罪」している。
 つまり、一審では、「立ち入った場所は、『住居』にあたる。住民の意思に反する立ち入りなので『侵入』といえ、住居侵入罪の構成要件に該当する」としたが、「刑事罰に処するに値する程度の違法性があるものとは認められない」とした。そのうえで一審判決は、門扉のない出入り口、「看守」する人もいない、商業ビラ・チラシ投函が常態化していたのだから、とりたてて立川反戦ビラ投函だけを処罰する程度のものではないと、当たり前の判断を行った。ところが高裁裁判で検察が「一審判決は法秩序に混乱をもたらす」などと危機感を露わにしていたが、最高裁は一審で言論弾圧関連裁判で無罪判決が立て続けに出ていることに楔を打ち込むために、このような判断を高圧的に押し出さなければならなかったのである。
 そもそもポスティングは、業者以外にも、自治体などの日常的な宣伝ビラ、自衛隊関係機関による募集チラシだってポスティングしているように多種多様化している。だから一審ではビラの投函行為が日常的に行われている行為であり、誰もが違法であると考えない行為であると認定したのだ。そしてビラの配布・投函行為に当然付随する立入行為を刑事罰で処する程度ではないと判断し、無罪判決を出したのである。最高裁は、この日常的な市民活動を許さず、国家に逆らうビラのポスティングに敵対する態度を鮮明にしたのである。

治安弾圧体制
の飛躍的強化

 最高裁よ! 一審判決が「ビラ配布目的だけであれば、共用部分への立ち入り行為を刑事罰の対象とする社会通念は確立していない」と述べ「刑事罰に値する違法性はない」と判断し、反戦ビラの「投函自体は表現の自由が保障する政治的活動で、民主主義社会の根幹をなすもの」「商業的宣伝ビラの投函に比して、いわゆる優越的地位が認められている」から憲法二十一条「政治的表現の自由」の観点から無罪とした判決文を読み直せ! ひたすら完全否定を繰り返すことしかできていないではないか。最高裁判決文は、呆れた作文でしかない。
 とりわけ注意しなければならないことは、最高裁判決が現在公判中の国家公務員法違反事件、葛飾区マンション・ビラ配布事件、「日の丸・君が代」強制に反対した板橋高校事件などのビラ弾圧裁判に対する有罪判決への圧力も射程に入れながら不当判決を出していることである。
 この判決を通して最高裁は、グローバル派兵大国化のための治安弾圧体制作りのために目的意識的に加担し、民衆の政治活動の一環である政治ビラのポスティングを否定する態度を示し、今後の言論弾圧事件に有効に使っていくための判例としたのである。また、最高裁自身が憲法改悪の先取りに踏みだし、民衆の表現の自由の権利を抹殺していく階級的意志を示した。同時に、裁判員制度の実施を強行することによって、国民総動員態勢の貫徹とセットで「表現の自由」規制の強化へとつなげていくことを加速させていく意図を隠すこともなく公然化させたのだ。公安政治警察は〇八年G8サミット治安弾圧シフトにむけたステップとしても積極的に位置づけながら活用してくるだろう。
 言論弾圧裁判闘争に連帯し、4・11立川反戦ビラ裁判・最高裁不当判決を徹底的に批判していかなければならない。この攻撃の性格を社会的に暴き出し、さらなる包囲を強めていこう。(遠山裕樹)
 

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