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基地に及ぶイラク戦争のツケ―ローレンス・レペタ(毎日新聞)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 11 日 15:32:24: twUjz/PjYItws
 

「毎日新聞」2008/4/11 紙面より

「世界の目」:基地に及ぶイラク戦争のツケ

     ローレンス・レペタ(米国人弁護士、大宮法科大学院大教授)


 日米安保条約によると、在日米軍基地の目的は「日本国の安全と極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」ことだ。しかし基地はイラク戦争で重要な役割を果たしている。条約が認める活動ではないが、在日米軍はイラクに投入されている。

 在日米兵による性的暴行事件など凶悪犯罪が、イラク戦争と関係があると想像する読者もいるかもしれない。戦争の重い負荷は弊害を生む。こうした事件もその一つなのだろうか。

 ベトナム戦争中に米国は徴兵制を導入したが、73年に廃止された。評判が悪く、復活させることも、まともな政治家は議論すらしない。若者を軍隊に引き込む法的手段はなく、勧誘は他の雇用主との競争だ。

 イラク戦争が長引き、優秀な人材確保はますます難しくなった。03年には米国人の約70%が開戦を支持したが、戦争を正当化するウソがばれ、膨大な損失や無策が分かると、国民は反対するようになった。

 米軍は優秀な人材を集めるため、採用基準を設けている。例えば陸軍は、新兵のうち9割を高卒以上の若者にすることを目指している。しかし戦争がまだ人気のあった04年から、目標に達していない。07年度、高卒以上の新採は71%だけだ。ボストン・グローブ紙によると、07年は陸軍入隊者の約12%が、重罪を含む犯罪歴があったという。陸軍はその採用基準を引き下げざるをえなかった。

 兵士のストレスはすさまじい。米陸軍によると、07年は100人以上が自殺した。イラク戦争中、自殺率は高まり、80年に統計を取り始めて以来、06年は最大だった。陸軍側は、大半が人間関係の破綻によると説明する。そうした人園関係の破綻につながる大きな要因は、長く繰り返される国外への派遣だ。

 支持されない戦争と、世界中の基地に人を配置する必要とが組み合わさり、米兵とその家族に大きな負担をもたらす。そして政府が軍を管理する際にも大きな問題を作り出した。この問題で、基地周辺に暮らす一般市民にも、相当なしわ寄せが行くかもしれないのだ。

(訳・花岡洋二)

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