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2008年04月11日
チベット問題から国際政治を考える
目の前で繰り広げられているチベット騒動について軽々に論ずるつもりはない。騒動の背景にある情報が不明であるからだ。あまりにも多くの問題点が含まれているからだ。
しかし、ダライラマが日本に立ち寄った時に話した言葉が本心であるならば、そして、ダライラマの存在が今回の騒動を起こしている人々に絶対的な影響力があるのなら、そこから一つの議論が出来る。
すなわち、ダライラマは北京五輪に反対するのではないと言った。中国は五輪の主催国となる資格があるとまで言った。
そして、チベットは中国からの独立を求めているのではない、チベットの自治権を求めるのだ、そのための言論の自由を求めているのだ、それを抑圧する中国政府の人権侵害に抗議するのだ、と言ったのだ。
そうであれば、国際世論は、聖火リレーを妨害したり、北京五輪をボイコットするなどという騒ぎに加担するのでなく、国際政治を支配する欧米諸国政府と国連に対し、「民族自決」、「人権弾圧の停止」、という国際政治上の最大問題を、この際一気に解決するよう求めるべきだ。
中国政府も、かたくなに話し合いを拒否する愚をおかすのではなく、世界の目の前で、世界の主要国のすべてが抱えている民族自決問題を堂々と議論しようではないか、そして、この際皆で「公平で正義ある解決」を目指そうではないか、と開き直るべきだ。それを世界に向けて公言すべきだ。
そのとたんにこの問題の流れは一気に変わるだろう。ボールは主要国や国連のコートに投げ返されることになる。パンドラの箱が開かれる。
パレスチナ問題も、ミャンマー問題も、コソボ問題も、ダルフール問題も、北方領土問題も、沖縄問題も、拉致問題も、すべて同時に論じられ、同時に解決されることが求められる。
もしひょうたんから駒が出て、そのような動きが少しでも始まるならば、それは革命的なことだ。今回のチベット騒動にも意義があった事になる。国際政治は最後はそこに行き着かざるを得ないのだ。
私がこのような議論を書く気になったのは、4月11日の二つの新聞記事を読んだからだ。
その一つは産経新聞「正論」の佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授の「コソボ独立の見えざる背景」という論説だ。その中で佐瀬氏は次のように言う。
・・・国連憲章第一条は民族自決の原則をうたい、それにもとづいて国連総会は66年に人権規約を採択した。そして「すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し、ならびにその経済的、社会的および文化的発展を自由に追及する」権利を有する事を認めた・・・
しかし(今年2月17日発出された)コソボ独立宣言においは、まさにこの「民族自決」が強調されねばならなかったのに、逆に一切の言及がない・・・
それは、民族自決の大原則が、同じく国連憲章第一条にうたわれている「国際の平和および安全」と矛盾するからだ・・・
15年前ブトロス・ガリ国連事務総長は、国際社会がボスニア紛争処理を間違うと、アフリカだけでも200の国家が出現しかねず、国連は機能しなくなる、と語った・・・
同じ頃、クリストファー米国務長官は、異なるエスニック集団が一国内で同居する方法を見出さないと、世界は5,000ほどの国家を抱えてしまう、と嘆いた・・・
もっと言えば、国連憲章やヘルシンキ宣言(欧州安全保障協力会議での宣言)などの国際法規範で重視される「領土保全」の大原則は、領土関係の変更を理論的に排除しない「民族自決原則」と微妙な緊張関係にあるのだ・・・
もう一つは東京新聞のノンフィクション作家吉田司氏の「本音のコラム」だ。沖縄独立の視点というタイトルで吉田氏は次のように書いている。
・・・沖縄の受苦の連鎖構造に出会う時、なぜ沖縄はこんな日本に復帰したのかといつも考える。元沖縄県知事の大田昌秀もこう語っていた。
『ハワイにいる沖縄出身者が絶えず言っとった。どうせ復帰しても基地が残るのは目に見えている。(むしろ)独立して、軍用地代を今の20倍にして貸せ。どうせ基地をつくるんなら、(それぐらいの)自主性を持て。沖縄は牛、馬じゃない、と』
いま議論されている「道州制」の中で、沖縄県が「沖縄州」に昇格するかどうか明確でない。「沖縄州」が(できて)、地方分権の力を得て、地位協定など米軍基地問題の解決に乗り出(したらどうか)。日米両政府は歓迎しない(だろうが)。
(残念ながら)平成17年に九州経済同友会がつくった「九州自治州構想」では、沖縄の独自性は消滅し、九州・沖縄八県合併の自治政府が想定されている・・・
国際政治の最大の矛盾。それは人民の権利と国家の権利の相克である。最後はそこまで議論を進めないと真の解決はない。そしていつの日か、国際世論はその事に気づき、平和と人権の確立を両立させるように、連帯して、国家権力に要求していかなければならないと思う。
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