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2008年04月09日
語り継がれるイラク戦争(1)
後世に語り継がれるイラク戦争(1)
今更イラク戦争でもないだろう、こう考える日本人は多いに違いない。
しかし、そうではない。第一に、イラク戦争はまったく終わっていないのだ。
イラク駐留米軍のペトレイアス司令官が、8日、部隊削減を休止する方針を発表した。これは象徴的だ。
ブッシュ大統領の最後のよりどころがイラクの治安改善であった。そして、それがついこの間まで喧伝されていた。ところが、それがまったく根拠のないものであった事が明らかになりつつある。
テロはおさまりそうもない。それどころか、民兵組織の対立がより深刻になっている。そしてその民兵組織の掃討作戦に出たイラクのマリキ政権は、その「政治的賭け」に敗れ、機能不全に陥っている(9日読売)。
民兵組織の伸張が、如何に国家を分断させ、長期的な混乱をもたらすかは、レバノン内戦の例を見るだけでよい。レバノンは内戦が1990年に終わった今も、国家が民兵組織を持った宗派対立に分断されたままである。
誰が米国の新大統領になったところで、イラクからの撤退が最大の問題となって米国を悩まし続ける事になる。
しかし、私がここで言いたいのは、イラク戦争を通じてあぶりだされる、「国際政治の現実」である。メディアで語られることの少ない情報である。その一例を今回と次回に分けて書いてみたい。
今日9日の毎日新聞「記者の目」で布施広論説委員が「何のためのイラク戦争だったのか」という記事を書いていた。
そしてその中で、布施委員はブッシュ大統領の浅薄な歴史観について次のように言及していた。
・・・(イラク攻撃の正当性については、もはやブッシュ大統領にとって残った最後のカードは「民主化」を訴えるしかない。だが、その民主化論において)
しばしば日本が巻き添えにされるのも不愉快だ。
一例をあげると、ブッシュ大統領はイラクでの反米武装勢力の掃討作戦を、太平洋戦争における硫黄島の戦いなどにたとえ、旧日本軍を9・11の実行組織アルカイダになぞらえている。
昨年8月の演説では、旧日本軍が特定のイデオロギーを他民族に強要し、これをやめさせようとした米国人を(太平洋戦争ー真珠湾奇襲攻撃で)殺した、という論理を展開した・・・大統領は日本の軍国主義とイスラム過激主義を同列に論じているのだ。
この大胆な歴史観のオチは、「あの日本も米国のよき友人になったのだから、イラクは必ず民主化されて友好国になる」というものだ・・・
このような歴史観を持ったブッシュ大統領がイラク攻撃を始めた。その事を当時の日本人が知っていたら、「ブッシュ大統領は正しい」と叫んで追従した小泉元首相を、果たして支持したであろうか。愛国・右翼主義者たちは、いやしくも本当の愛国・保守主義者であれば、小泉元首相のイラク戦争支持に沈黙し続けたか。
布施委員の記事にはもう一つ注目すべき次の言及がある。
・・・自民党の山崎拓前副総裁が、
「米国の対イラク開戦はイスラエルを守るためだったと解釈しています。イランの核問題にもそういう観点で対処している」
と語っているのが目を引く(朝日新聞07年3月9日朝刊)。日本の論者には珍しい視点だ。確かに(反イスラエルを唱える)フセイン元大統領は処刑され、イランは国連制裁下に置かれ、パレスチナ指導部は分裂した。少なくともユダヤ系米国人にとって、ブッシュ大統領は名大統領かもしれない。
この説が当たっていないことを祈りたい。イスラエルのために15万人ものイラク人が死んだのなら切な過ぎる・・・
これは単なる説ではない。中東の人々の間の常識だ。切な過ぎるのだ。だから自爆テロが後を絶たないのだ。
イラク開戦当時、この事を日本国民が知っていたなら、それでも「ブッシュ大統領が正しい」と叫んでイラク戦争を支持した小泉元首相を国民は許しただろうか。
イラク戦争をめぐってはこれからもどんどんと新しい情報があぶりだされていくことだろう。イラク戦争はその度に語り継がれていくことになる。
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