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http://www.labornetjp.org/news/2008/0404kinosita/
木下昌明の映画批評〜「靖国 YASUKUNI」とはどんな映画か
●映画「靖国 YASUKUNI」
「反日」のレッテルを貼られた
映画が描く「もう一つの靖国」
国会議員限定という異例の試写会が催されたり、混乱の恐れを理由に上映を取りやめた劇場が出るなど話題を呼んでいるのが、中国人の李纓監督によるドキュメンタリー「靖国 YASUKUNI」だ。
A級戦犯を合祀する東京・九段の靖国神社に小泉純一郎首相(当時)があえて参拝したことで国内外が騒然とし、それを機に靖国問題を追究したテレビ番組や、反靖国の記録映画などが相次いで作られたが、特に問題にはならなかった。しかし、この映画が文化庁所管法人の助成金を受けていることから、助成にふさわしい内容か、と自民党議員から疑問が出されたのだ。
ともあれ、「靖国」とはどんな映画なのか。
実際、李監督は「反日的」と見られかねないことを意識して政治色を排している。ナレーションも一切なしに、靖国の「今」を包み込むようにとらえながら、日本人には見えなかった歴史に光を当てる。
8月15日、開門とともに境内にあふれる旧陸海軍の軍服をまとった集団、米国旗を掲げた奇妙な米国人、参拝推進運動の集会で反対を叫び、袋だたきに遭う若者……混沌とした一日をカメラは追う。
その一方で、90歳でなおかくしゃくとした刀匠が、一振りの刀を鍛え上げるさまをとらえる。靖国神社の「ご神体」は刀である。敗戦まで、神社の境内では8100振りの「靖国刀」が作られ、戦場の将校に支給されていた。
一見、水と油の二つの光景がサンドイッチされて、一つにより合わされていく。そこにこの映画の妙がある。
ラスト、軍人が台湾人や中国人を斬首したり、特攻機に軍刀を持って乗り込む古い映像や写真を挿入しつつ、墓碑ならぬ「刀」こそ精神的支柱とする神社の本質をあぶり出す。外からの目でしかとらえられないもう一つの“靖国”といえよう。
*「サンデー毎日」08年4月13日号所収
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映画「靖国」の予告編
http://jp.youtube.com/watch?v=mDai5yadiSA
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