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政治力も情熱もない福田首相に道路改革など無理な話だ − 週刊・上杉隆 (福田首相がかつて働いていた企業は丸善石油!)
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投稿者 児童小説 日時 2008 年 4 月 03 日 15:58:35: nh40l4DMIETCQ
 

「政治のツケを、国民のみなさんに回す結果となったことについて、心からお詫び申し上げます」

 3月31日、福田首相は記者会見に臨み、揮発油税を主とした税制改正法案の年度内成立に至らなかったことについて謝罪した。

 その会見の中で、さらに福田首相は、「街のガソリンスタンドでは、大きな混乱が懸念されますし、その他にも、国、地方の議会では予算に大きな穴が生じます」と述べ、今後、起こり得る「混乱」を憂いた。

 果たして、それは杞憂に過ぎなかったようだ。

 翌4月1日から、ガソリンスタンドに並びはじめたドライバーたちの顔は、どれもが嬉々としている。レギュラーで一リッターあたり約25円、実質上の「値下げ」となればそれも当然のことだろう。

 ではいったい福田首相は、誰に対して詫びていたのだろうか。

 ガソリン暫定税率が廃止されて困るのは、政府・自民党、地方議会、首長、および役人、そして石油関連業界に従事する者だけである。つまり、首相の憂いた「混乱」とはそうした特定の国民を対象とした言葉なのだ。

 約1億3千万人の日本国民の大半は、今回の「値下げ」を率直に喜んでいる。17年間ものサラリーマン生活を経験した政治家にしては、世論の感覚からずいぶんと遊離してはいないだろうか。だが、思い返せばそれも無理もない。なにしろ福田首相がかつて働いていた企業とは「丸善石油」なのだから……。

安倍前首相より後退した
福田総理の「新提案」

 さて、その福田首相の無感覚ぶりは措くとして、注目すべきは謝罪会見の3日前、3月27日の緊急記者会見の内容だ。

 その会見の中で福田首相は、2009年度予算からの道路特定財源の一般財源化を約束し、10年で59兆円の道路建設費を謳う道路中期計画を5年に短縮させると宣言したのだ。首相の意外な「新提案」は、自民党道路族のみならず、マスコミをも驚かせたようだ。

http://diamond.jp/series/uesugi/

翌日の新聞社説では、全紙が首相の「新提案」を取り上げ、「首相の決断」(朝日新聞)などと高く評価する。

 だが、これほど奇妙な話はない。首相の当然の提案を持ち上げて共に喜ぶ、新聞は一体どうしてしまったのだろうか。

 そもそも、道路特定財源の一般財源化は、小泉=安倍内閣の「公約」であり、一連の道路改革議論の当然の前提であったはずだ。その当然の前提をいかにも画期的なもののようにみせて誇っているのが福田首相であるし、そのプロパガンダに見事に引っかかってしまったのが新聞なのではないか。

 首相の「新提案」はいわば、条件を自ら勝手に上げておいて、再び元の位置に下げただけであるにもかかわらず、「譲歩した」と強弁し、相手(野党)に案を呑ませようとしていることに他ならない。

 さらに言えば、道路整備中期計画自体も、特定財源を元に算出されているため、一般財源化を主張する福田首相の「新提案」は、根本から矛盾を孕んでいるともいえる。

 だがその一方で、揮発油税の暫定税率に関しては、福田首相はさらさら譲歩するつもりはないようだ。振り返れば、これも実際、奇妙な話である。

 2007年1月、当時の安倍首相は、施政方針演説の中で一般財源化を前提とする揮発油税の見直しにまで踏み込んだ。それは、小泉政権時代からの道路族との戦いの末にようやくたどり着いた一定の成果であった。

〈2006年11月末、安倍は突然、道路特定財源の一般財源化の見直しを宣言した。小泉ですらできなかったことに、この時期(政権発足直後)の安倍が手を突っ込むというのは、冷静さを失っているのではないか。周囲は疑念を深めた。

「骨太の方針」ですら道路特定財源については、道路族との長く激しい応酬の末、ようやく「一般財源化」と「納税者負担の軽減(税率引き下げ)」の両論併記に持ち込んだほどだ。それを「復党問題」で混乱を招いた直後にぶち上げたことに、道路族を筆頭にほとんどの政治家が、正気の沙汰ではないと思うのも当然であった。さらに安倍は、彼らを驚愕の淵に叩き落とす。それは経済財政諮問会議の席上で語ったその一言に尽きる。

「揮発油税を含めて、見直しの対象としなくてはなりません」

 揮発油税――。道路特定財源ならばまだしも、法定財源である揮発油税に触れたことで、道路族の立場は決まった。無遠慮な首相官邸の「小僧たち」に思い知らせてやる、というものだった――〉(拙著「官邸崩壊」)

 我田引水で申し訳ないが、拙著を引いたのには理由がある。なぜなら福田首相の「新提案」は安倍前首相の道路改革への意欲よりもずっと後退しているということを示したかったからだ。

http://diamond.jp/series/uesugi/10023/?page=2

小泉、安倍も挫折した改革が福田首相にできるのか

 福田首相は、確かに一般財源化を明言した。だが、安倍前首相が、道路族から総攻撃を受けてしまったような「虎の尾」を踏むことについては巧妙に避けている。

 思えば、小泉純一郎という不世出の政治家ですら道路特定財源の一般財源化の夢は叶わなかった。「変人」といわれ、善悪と、その内容の評価は別として、郵政民営化を成し遂げたあの首相ですらそうなのだ。

 その困難な仕事を、党内基盤も脆く、積極的にリーダーシップを採ることもしない福田首相に果たしてできるのだろうか。

「道路」こそが政治権力の象徴である。その利権構造は、道路特定財源制度を議員立法によって作り、首相任期中に揮発油税を創設した田中角栄元首相によって作られた。

 つまり、「道路」は田中型政治そのものであるのだ。その初当選以来、田中派=平成研との戦いの尖兵に立ってきた小泉元首相の狙いは明確である。田中型政治の解体、見方を変えれば、それは郵政民営化でも明らかなように、国道交通省道路局から権限を奪い、財務省に財源を取り戻す戦いに他ならない。さらに好意的に換言すれば、特別会計から一般会計への移行による利権政治の終焉を目指したものなのだ。

 だが、田中角栄の列島改造論、および三全総、四全総以降、「道路」こそ統治の「魔法の杖」であり、政治権力の源泉になっている。

 時代が移り変わろうと、全国に張り巡らせた道路建設のシステムは容易に崩せないだろう。日本最大の利権を、道路族がみすみす手放すことはずはないのである。

〈「道路族」とは、狭義の自民党道路族議員のことではない。道路族議員と、道路建設こそが存在理由になっている国交省道路局、そして仕事を得ることで政治家の優秀な集票・集金マシンと化したゼネコンや地方の建設業者たちを含んだ、まさに政官業のトライアングルこそが、「道路族」なのである。

 彼らにとっての唯一最大の関心事は、今後も道路建設が続行できるかどうかの一点に尽きる。

 実際の道路建設は、国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)で決定されたマクロ的な整備計画を基に進められる。だがその道路建設には、当然だがどうしても順番を決める必要が生じる。そしてここにこそ、利権のにおいを敏感にかぎ取る族議員登場の余地がある。

http://diamond.jp/series/uesugi/10023/?page=3

道路整備は、国交省道路局と道路調査会等の共同作業で個所付け=iどの道路にいくら予算をつけるかの検討)を行い、ミクロ的に建設路線を決定していく。

 かつてはこの個所付けこそ、田中派所属議員の独断場だったとされていた。田中派の議員がいる選挙区から、議員の田中派内でのヒエラルキーに従って順番に高速道路ができると言われたものだった。たとえば常磐自動車道。梶山静六、中村喜四郎という大物道路族が引き込んだ政治路線は、本来の順序を大きく飛ばして完成に導かれた。

 時代は変わっても、道路建設はこの時点で最も政治の介入を受けやすいという構図は変わらない。そして道路公団の役割といえば、政治と行政による決定に従って、道路を建設・運営することだけなのだ〉(「週刊朝日」2002年12月13日号)

 2002年、小泉元首相は道路公団民営化推進委員会を立ち上げ、道路改革の本丸に切り込もうと試みた。じつはこの引用文は、当時、民営化委員会を取材していた筆者が「週刊朝日」に連載したものである(一部)。再び我田引水を恥じず、敢えて拙稿を長々と披瀝したのは、約6年前の道路改革議論から何ら前進していないことを示すためである。
福田首相はなぜ最初から
改革の意思を示さなかったか

 失敗に終わったものの、少なくとも小泉元首相は、選挙公約でたびたび道路問題に触れ、民営化委員会を立ち上げて改革の意欲を示した。また、安倍前首相も経済財政諮問会議の席上で道路財源に触れ、施政方針演説の中に入れ込んだ。

 今回、仮に、福田首相が道路改革の意欲があると言うならば、なぜもっと早くその意思を示さなかったのだろうか。半年前の自民党総裁選でも、1月の施政方針演説でも、十分にその機会はあったはずだ。

 ほとんどの新聞の社説と違って、筆者が、福田首相の道路改革に懐疑的な理由はここにある。政治力も情熱もないリーダーに、巨大利権との戦いなどどだい無理な話なのではないだろうか。

http://diamond.jp/series/uesugi/10023/?page=4

※コメント:

丸善石油とは、コスモ石油のことである。

コスモ石油 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E5%96%84%E7%9F%B3%E6%B2%B9

コスモ石油は全国FM放送協議会のスポンサーだ。

全国FM放送協議会 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%9B%BDFM%E6%94%BE%E9%80%81%E5%8D%94%E8%AD%B0%E4%BC%9A
>TOKYO FMをキーステーションとし、県域FM局のない茨城県・奈良県・和歌山県、加盟局のない埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県・京都府以外の全国の都道府県域FM局のエリアをカバーしている。

番組も提供している。

>コスモ石油と共同で、環境問題キャンペーン「アース・コンシャス ―地球を愛し感じる心―」を展開。キャンペーン番組「コスモアースコンシャスアクト ずっと地球で暮らそう。」(6:40〜6:45、「SKY」にて)と、啓発CM「始めよう、アースコンシャス」を制作している。事務局は千代田区麹町JFNセンター。

つまり、福田康夫の勤めていた丸善石油=コスモ石油から広告として金が全国のFM放送に垂れ流されている(?)ようだ。

車内でよく聴くような「FM放送」では自民党に都合の良い情報が伝えられているのかもしれない。

これこそメディアリテラシーというやつだ。

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