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2008年03月30日
人種問題の原罪から逃れられない米国
あれほど騒いで日本のメディアが報道したオバマ熱が、ここにきて急に冷めてしまった。それは決してヒラリー、オバマの混戦に決着がつかないからではない。
誹謗合戦の選挙運動の中で、米国の有する原罪が表面化してきたからだ。人種差別問題に踏み込まざるを得なかったオバマ氏に対し、オバマで大丈夫かという声なき声が米国内で広がりつつあるからだ。
この事を、30日の読売新聞「ワールド・ビュー」における大塚隆一アメリカ総局長の記事が教えてくれた。
バラク・オバマ上院議員の躍進の原因の一つに、人種や性の違いを超えた国民「融合」の訴えがあった。
ところが、そのオバマ候補が師と仰いできたジェレマイア・ライト黒人牧師の白人政権批判の発言が、米国民のオバマ熱を奪い、米国民を分裂させつつあるという。
「広島と長崎で我々は(米同時テロで亡くなった)数千人よりはるかに多い人々に爆弾を落とした。米国は悪事の報いを受けた」
「米政府は、有色人種を大量殺害するためにエイズウイルスを作り出した」
「米国は今も世界一の殺し屋だ。プロの殺し屋の訓練にもかかわっている」
この黒人牧師発言の映像が3月14日に米国メディアで流されると、騒ぎは一気に拡大したという。今では黒人票の大半がオバマ氏に集まり、白人票の多くはクリントン氏に流れているという。国民融和の熱は冷め、国民の分裂がむしろ深まっているという。
オバマ大統領候補は、これを打ち消そうと、18日に人種問題を正面からとりあげた率直な演説をした。それがさらに国論を二分しつつある。人種問題こそは今でも米国の最大のタブーであり、弱点なのだ。
ライト牧師の発言は、いずれも皆が内心思っている事である。しかしそれを他国の人間が口にしたとたん、米国の反発を招く。しかし、米国人が発言したらそういうわけには行かない。
人種差別は60年代まで米国内で公然と存在したからだ。しかもその差別は、あらゆる差別がそうであるように、あまりにも酷かった。そして公的差別は撤廃されても、人種差別の意識は厳然として米国民の潜在意識に厳然と存在する。米国に少しでも住んだ事のある日本人なら、それを知っている。
大塚アメリカ総局長はこう締めくくっている。
「・・・オバマ氏が『パンドラの箱』を開けた形になった人種論争は今後も続くだろう。特に本選挙に勝ち進めば、共和党側はあの手この手でライト発言を蒸し返すだろう。歴史的な挑戦を続けるオバマ氏には、なお険しい道のりが待ち構えている」
米国の人種差別は、中東政策や、そこから生じた「テロとの戦い」に強く反映されている。それどころか対日政策の根底にも人種差別が陰を落とす。
それから目をそらし、米国こそ日本と最も価値観を共有する同盟国であると繰り返す政治家や外務官僚は、無知であるか、さもなくば自己欺瞞だ。民主党は反日的で、共和党は親日的だ、と単純化し、てマケイン候補の当選を願う日本の自称米国通は、あまりにも皮相的だ。
今こそ、我々はオバマ大統領が米国に誕生するのか本気で見極めなければならない。日本のメディアは、今こそ米国大統領選挙の行方を、これまで以上に報道しなければならない。
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