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リベラル!! リベラリスト(自由主義者) 白川勝彦Webサイト HOME
永田町徒然草 No.754
今日の議論はちょっと細かい。しかし、こういう議論もしないと戦いはできない。道路特定財源の暫定税率の期限である2008年3月31日がいよいよ迫っている。暫定税率の期限越えは、もう明らかである。期限を過ぎれば、暫定税率を徴収することは不可能になる。もっとも自公“合体”政権が再可決で成立させようとしている問題の「租税特別措置法改正案」の附則第一条には、「この法律は、平成20年4月1日から施行する」とある。「この法律」とは、もちろん2008年2月29日衆議院で強行採決した租税特別措置法改正案のことである。問題のガソリン税の暫定税率については、同法案89条2項で次のように書かかれている。 「平成5年12月1日から平成30年3月31日までの間に揮発油の製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の税額は、揮発油税法第9条及び地方道路税法第4条の規定にかかわらず、揮発油1キロリットルにつき、揮発油税にあっては4万8600円の税率により計算した金額とし、地方道路税にあっては5200円の税率により計算した金額とする。」 この法律では1キロリットル当りの税額が書かれている。これを1リットル当りの税額に直せば、毎日のように報道されているとおりだ。すなわち、揮発油税は本則税率の24.3円/リットルが48.6円/リットルに、地方道路税は本則税率の4.4円/リットルが5.2円/リットルに“暫定的”に引き上げられているのだ。本則税率とは、「揮発油税法第9条及び地方道路税法第4条」に規定されている税額である。 自公“合体”政権は、いろいろな“くせ球”を投げている。福田首相の「道路特定財源の全額を2009年から一般財源化する」というのも、“くせ球”のひとつである。けっこう多くの論者が、こんな“くせ球”に引っ掛かっている。まぁ、道路特定財源の暫定税率を巡る問題が最終的に決着するまで“多くの論者がどのような主張をするのか”、これは見ものである。税の問題は、政治の基本である。道路特定財源の暫定税率は、紛れもなく税の問題である。しかも10年間で30兆円の税金をどうするかという問題である。論者の本性が暴きだされていくのである。 閑話休題。ところで冒頭に掲げた租税特別措置法改正案が再可決された場合、法律の条文どおりにこれを執行するとした場合、なぜ4月1日からガソリン税などの暫定税率をとることはできないのだろうか。なぜ4月1日からガソリンは当然のように下がるのだろうか。憲法84条は「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と規定している。租税法定主義と呼ばれるものである。自公“合体”政権が租税特別措置法改正案を再可決することは憲法で認められた正しいことだというのであれば、条文どおり道路特定財源の暫定税率は4月1日から適用されるとなぜ主張しないのであろうか。 現行の租税特別措置法89条の「平成5年12月1日から平成20年3月31日まで」は、「平成5年12月1日から平成30年3月31日まで」と憲法の手続きに則り改正されたのであるから、4月1日に遡って執行することは条文によれば可能なのではないか。刑事罰について憲法は遡及処罰を禁止している。憲法39条前段は、「何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない」と規定している。 しかし、租税についてこのような憲法の規定はない。軽油引取税は蔵出し税でないので、4月1日から暫定税率を執行できないので当然のことながら価格を下げなければならない。これは不遡及の問題ではない。だが租税特別措置法改正案が再可決された場合には、また軽油引取税の暫定税率は復活するのだろう。その場合の始期は条文上どうなるのだろうか。事務当局のいうところによれば、それは再可決された租税特別措置法が公布された日からだといっている。なぜ当然にそうなるのか。 事務当局は、暫定税率を適用するのは国民にとって負担を求めることであるから、4月1日に遡って執行することはできないという。政府も4月1日に遡及することはできないことを当然の前提として議論している。国民に税の負担を求めることをそのように厳格に考えているのであれば、始期がハッキリしていない法律を成立させることに、なぜ多くの人が疑問を抱かないのであろうか。憲法59条2項の再可決で法律となるのは、前に衆議院で可決された法律案である。これを一字一句も変えることはできない筈である。 執行に疑義が出てくるような税法は、やはり問題のある法律案といわざるを得ない。問題のある“租税に関する法律案”を再可決すること自体が、そもそも問題なのである。河野議長は、ここのところを熟慮しなければならない。議会人としての見識が厳しく問われる問題である。かつて新自由クラブの代表として“一世を風靡した政治家”である。国民が拍手喝采できるような采配を示して欲しいと私は期待している。 それでは、また。 |
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