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http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200803240414.html
2008年03月25日03時06分
NHK経営委員会の古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)が11日にあった経営委員会で、海外向けの国際放送では「利害が対立する問題については日本の国益を主張すべきだ。国際放送をただ強化するだけでなく一歩踏み出せ」と、NHK執行部に話していたことが関係者の証言などでわかった。25日の経営委で改めて審議されるが、公共放送の中立性に踏み込んだともいえる発言は議論を呼びそうだ。
4月施行の放送法改正でテレビとラジオの国際放送が外国人向けと邦人向けに分類されるのに伴い、NHKの国際番組基準の一部変更が経営委員会で審議された。執行部からは「国際連合憲章の精神を尊重」とあった一般基準を「日本国憲法および国際連合憲章の精神を尊重」などと改定する提案があった。
関係者の話や記録によると、古森委員長は「国連憲章には日本などを対象とした敵国条項が入っている。国連憲章の部分については一般的な言葉に変えるべきだ」と発言。さらに、「不偏不党と放送法に書いてあるが、国際放送では各国とも国益を主張する中で国内放送のように満遍なく意見を伝えるという話ではすまない」と主張したという。
これに対し、担当の今井義典副会長は表現の見直しを検討する意向を示したが、「敵国条項について日本政府は改正の要請を出した上で、国連憲章に基づく外交を進めている」「国際放送でのNHKの放送は様々な意見を反映しつつわが国がどういう立場にあるかを鮮明にする。日本の立場を直接主張することではない」と反論した。
しかし、古森委員長は「利害が対立する問題については当然日本の国益を主張すべきだ。日本の意見の発信は覚悟を決めてやらないといけない」と語った。
結局、多賀谷一照委員長代行(千葉大教授)が「日本政府の立場だけ出すのでは国営放送になってしまう」とくぎを刺す形で議論は収まった。25日の経営委で再審議される見込みだ。
古森委員長は朝日新聞の取材に対し、「中国も韓国も国際放送を強化している。日本も国際放送を強化するとともに、国の立場をはっきり言わなきゃならない」と強調した。
古森委員長は昨年9月の経営委で選挙中の放送について「歴史ものなど政治的問題に結びつく可能性があり注意願いたい」と発言し、番組内容への介入ではないかと反発を招いた。
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