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http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/entryxiiimar080321/ から転載。
人権擁護法案
2008/03/23
その美名に惑わされるな
政府、与党に人権擁護法案を国会に提出する動きがある。人権侵害の救済を目的とした委員会の設立を目指しているが、問題点も多い。特にメディア規制には報道をする側からの批判が根強く、私たちは無関心ではいられない。
自民党内にも法案について異論があり、提出されるかも含めて審議の行方がどうなるか、関心を持って見守っていきたい。
問題は多岐にわたっているが、「人権の定義のあいまいさ」「メディア規制」「国籍条項の問題」などが焦点となろう。
国籍条項は内容次第で人権擁護委員の選任に絡んで新たな問題が生まれる可能性がある。人権侵害の定義があいまいでは拡大解釈される恐れがある。過剰な取材規制は不当な干渉、制限であって自由な取材ができなくなる-。こうした点がメディアを含めた反対派の言い分だ。人権擁護という言葉こそ耳に入りやすいが、人権侵害を監視するという趣旨からは、かなり的が外れてはいまいか。立法目的からも歪(ゆが)みが見られる。
話は十年前にさかのぼる。国連規約人権委員会が公務員による暴力、虐待を指摘し、独立した調査・救済機構の設置を日本政府に勧告した。これを受けて法相の諮問機関が強制調査権を含む人権救済機関の創設を求める答申をした。政府は二〇〇二年に法案を国会に提出。だが、〇三年の衆院解散で廃案となった。その後、〇五年に法案再提出の動きがあったが、自民党内での意見がまとまらず、見送りになった経緯がある。
今回、再提出を目指している中心勢力は自民党の人権問題調査会(太田誠一会長)で、「今国会がラストチャンスだ」としている。これに対し、平沼赳夫元経済産業相(無所属)や自民の中川昭一元政調会長らの阻止グループが存在する。「新たな冤罪(えんざい)を生み出すだけ」「これは平成の治安維持法ではないか。断固阻止する」などと声を上げている。
法務省の外局となる人権委員会は独立性が高い。令状がなくても救済措置として出頭要請や押収、捜索ができる。そこに恣意(しい)的な運用の恐れはないだろうか。
前例がある。個人情報保護法。作家の故城山三郎氏は「自由主義、民主主義の根底は表現、言論の自由だ。法の名にごまかされてはいけない」と指摘した。拡大解釈も行われる。新聞、テレビ、学術研究目的などは除外されてはいるが、そんな例外規定はどこかに飛んでいる。怖いことである。
人権擁護法案をめぐって与党内で話がまとまるかどうか、はっきりした姿はまだ見えてこない。法案提出をめぐる激論があること自体、その危うさを物語っていないか。いかようにも解釈できる法律こそ、恐るべき武器になり得る。治安維持法下で起きた「横浜事件」がそのことを教えている。
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