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「裁判員制度」をどうしても始めるなら… = マガジン9条
http://www.asyura2.com/08/senkyo48/msg/549.html
投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 3 月 19 日 21:50:25: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.magazine9.jp/desk/080319/080319.php

 先週のこのコラムで、「裁判員制度」と「死刑判決」について触れた。
そこで私は、「厳罰化が進む裁判とメディアの影響」について、特にワイドショーなどのテレビ・メディアが、一方的に被害者感情に依拠して応報(仇討ち)主義的な報道を繰り返すことによる弊害について書いた。
 「被害者の人権を守れ」、「被害者家族の悲しみを忘れるな」、「もしお前の家族が殺されても、お前は死刑に反対するのか」といった、とても分かりやすい議論だけが繰り返され、「少し冷静になって、死刑制度そのものについて議論を深めよう」などという意見は、ほとんど無視される傾向にあること。そして、そのようなメディアによって動かされた世間なるものの動向が、裁判結果に無視できない影響を与えているのではないか。
 私は、そんなふうに書いた。

 (この記事については、クレヨン伯爵さんからとても丁寧な私信メールを戴いた。私信なので、「みんなの声」欄には掲載できないけれど、ここでお礼を述べておきたい)

 どうも、その見方は外れてはいなかったようだ。
 朝日新聞(3月17日)に、こんな記事が載っていた。
 <昨年、福岡地裁であった模擬裁判の評議では、交際相手を殺害した女性被告の量刑が議論になった。裁判員役の20代の女性は、被告の母親役の「出所したら、家族として迎え入れて普通に暮らしたい」という言葉に強く反発。「他人の家族を壊しておいて『普通に暮らす』とは虫がよすぎると考えたからだ。
 この様子を別室のモニターで見ていた検察官や弁護士は驚いた。「身元引受人がいるのは被告にはプラスの情状のはずなのに」「僕らのこれまでの常識が通用しない。裁判官より裁判員の方が犯罪に厳しい」(後略)>

 なぜこんなことが起きるのか。最近の風潮なのか。
「自己責任」「厳罰主義」「犯罪抑制効果」「被害者家族の感情」「応報主義」…。最近のテレビ報道は、ほとんどがこの路線に乗っている。とすれば、裁判員になった一般人が、その報道に影響されることは避けられまい。これでは公正な判決を期待できない。

 では、テレビを含めたメディアの犯罪報道を、規制するべきなのか? いや、それは危険だ。思想表現報道の自由に著しく反することになる。むしろ、権力側の思うツボだ。ならばどうすればいいのか。
 私は、報道機関のいま以上の自主規制を熱望する。

 現在、「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」という機関があり、放送による人権侵害やプライバシー被害などの審査を行っている。1997年にNHKと民放各局がつくった、いわゆる自主規制機関であり、現在は、竹田稔(元東京高裁判事、弁護士)委員長のもと、崔洋一(映画監督)、中沢けい(作家)など9人の委員が審議に当たっている。
 しかし、いかんせんあまりに少人数、しかも非常勤である。これでは、嵐のようなスクラム報道にはとても太刀打ちできまい。ここに、徹底的な増員を行う必要があると考える。むろん、政府機関関係者は、絶対にタッチできないようなシステムにしなければならないのは当然のことだ。
 この程度では、完全な対策にはならないだろうが、とにかくそれが、「裁判員制度」が開始される前の絶対条件だと強く提言したい。
 それでも「裁判員制度」が始まってしまうのなら、せめて、刑の重さを決めるという「量刑」だけは、裁判員の判断から外すべきではないか。
 被害者になり代って裁判員が刑を下す、というのでは裁判制度の根幹が崩れる。裁判は「仇討ち」の場ではないはずだ。

 最後に、『死刑』(森達也著、朝日出版社)を、強力にお薦めしておく。どんな状況があろうとも、人を殺すということを肯定できないあなたに…。

 <生きていてはいけない人って、いるのだろうか。>(同書の帯より)

(鈴木 耕)
 

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