政府が国会に提示した日銀の次期正副総裁人事案は１９日午後、参院本会議で採決され、元大蔵事務次官の田波耕治国際協力銀行総裁（６８）の総裁起用は民主党など野党の反対多数で不同意となった。西村清彦日銀審議委員（５４）の副総裁起用は与野党の賛成多数で同意された。国会同意人事は両院の同意が必要なため、先に否決された元財務事務次官の武藤敏郎副総裁の総裁昇格案に続き、総裁人事は再び白紙に戻った。福井俊彦総裁は１９日に任期満了となり、戦後初めて「総裁空席」となる。

採決は田波氏と西村氏について個別に行われた。田波氏は同意１１２票、不同意１２５票。西村氏は同意２３２票、不同意７票。野党のうち国民新党は田波氏に同意するなどしたため、田波氏への不同意票は先の武藤氏への不同意票よりも４票減った。

衆院本会議も同日午後、参院に続いて人事案を採決し、与党などの賛成多数で田波、西村両氏に同意する。

政府は国会同意を得た後、１９日中に白川方明（まさあき）京都大大学院教授と西村氏の副総裁任命を閣議決定する。２０日以降は当面、白川氏が総裁を代行する。

政府は７日、武藤氏を総裁に昇格させ、伊藤隆敏東京大大学院教授と白川氏を副総裁に起用する案を提示したが、１２日の参院本会議で民主党などの反対で武藤、伊藤両氏が不同意になった。福田康夫首相は１７日、福井氏の総裁続投と武藤氏の副総裁留任を同党に非公式に打診したが、拒否された。政府が１８日に国会に提示した田波総裁案も、同党は大蔵事務次官出身であることや国際金融の経験不足などを理由に反対を決めていた。【中田卓二】

2008年3月19日　12時15分