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「住基ネット」よりコワイ「社保ネット」
先ごろ最高裁が「住基ネット」を「合憲」と判決しましたが、17日の毎日新聞朝刊27面は、そのことについて、三氏からの意見を掲載していました。
三氏は、
1、山田宏氏(東京都杉並区長)・・・住基ネットの安全性が確認されるまで、接続を希望しない住民が参加しない仕組みの導入を求め、国と都を相手に提訴。1、2審とも区側が敗訴。区は昨年12月に上告した。区側は区議会で、、「(最高裁で)勝った場合は横浜方式でつなぎ、負けた場合は全面的という可能性がある」と答弁している。
2、石村耕治氏(白鴎大教授)
3、前川徹氏(サイバー大教授)
なのですが、山田氏の立場は上に書いたとおりですが、石村耕治氏はどういう方か知らなくて、検索してみたところ、税制の専門家でいらっしゃるようです。前川徹氏についても知らなかったですが、リンクを見れば分かるように、元通産省官僚であり、現在は、情報化推進国民会議で専門委員会(主査)に所属、「国民総背番号制」を推し進める御用学者ですね。
記事は、↓にあります。
住基ネット:「合憲」最高裁が判決 山田宏、石村耕治、前川徹3氏に聞く
この判決について、受け止め方は、
山田氏は、「判決は国が主張する便利さや効率性にばかり目を向けて、マイナス面への評価、詰めが甘い。全員参加までの方法は各自治体の裁量にゆだねられているという区の解釈に関する司法判断を仰いでいるのであり、差し止めや住民票コードの削除を求めた今回の訴訟とは異なり、影響はまったくない。」
石村氏は、「行政機関が国民の個人情報を一元的に管理しても違憲とはならない外枠を示したと解釈できる。利用対象の個人情報や利用できる事務を拡大すれば、違憲の可能性もあるわけだ。」
前川氏は、「セキュリティーには完璧はあり得ず、リスクは必ず残る。住基ネットで言えば、氏名、住所、生年月日、性別の4情報を保護するために、どれだけ多くの対策(コスト)をかけるのかということとのバランスが大事だ。最高裁判決は4情報を守るためのコストは適正であるとの評価を示しており、妥当な内容だ。」
とまぁ、それぞれの立場で、判決の受け止め方はさまざまですが、裁判はさておいて、石村氏の記事を読んでいて、この住基ネットは、現状では、国にとってきわめて使い勝手が悪いということを知りました。どのように使い勝手が悪いかというと、
1、本人申請を原則としているため、普及率は低迷している。偽造事件も後を絶たない。
2、11桁の住民票コードの利用事務は法律で定める必要がある。
3、民間分野での利用が禁止されている
4、東京都杉並区など参加しない自治体もある。
以上の理由で、国民に身分登録証を所持させて、番号で一元的に管理する「国民総背番号制」を実現するシステムとしては、住基ネットは「欠陥商品」とのこと。だから、石村氏は、住基ネットについては、さほど危機感を持っていない様子です。
氏が、警戒すべきとするのは、「厚生労働省が11年度中の導入を目指している「社会保障ネットワーク」(社保ネットワーク)構想」であるという。この社保ネットワークで、国民と在日外国人の民間利用に至るまで、情報すべてを国が一括管理できるシステムにするという。一月に厚労省の検討会が発表した報告書によると、生活する上で誰もが社保カードを「持たざるを得ない」状況が作り出され、最も普及した公的な本人確認書類になるだろう、とのこと。氏は言う。
在日外国人にも割り当てられた識別番号からは、病院や介護事業者での当初の利用を突破口に、経済取引に使う「納税者番号」への転用などあらゆる民間分野での利用に道を開きたいという政府の思惑がうかがえる。番号をマスターキーに、行政機関や民間に蓄積された個人情報を容易に収集できるこの仕組みこそ、旧自治省が描いていた本来の住基ネット構想だ。
う〜むぅ、恐るべしですね。社保ネットワークに行政機関や民間に蓄積された個人情報が集積されたら、情報を漏らされることがコワイのではなく、確かに、それもコワイけど、すべての情報を政府に握られるということがコワイですね。日本に居住する人全員が、柵の中に囲い込まれるというか、リードにつながれるというか、情報を握る政府の監視下に置かれる恐怖感。
そして、御用学者の前川徹氏(サイバー大教授)が書いていることが、すごくコワイ。
セキュリティーに完ぺきはあり得ず、リスクは必ず残る。住基ネットで言えば、氏名、住所、生年月日、性別の4情報を保護するために、どれだけ多くの対策(コスト)をかけるのかということとのバランスが大事だ。最高裁判決は4情報を守るためのコストは適正であるとの評価を示しており、妥当な内容だ。
これは、判決の受け止め方として先にも紹介していることですが、これを読んで、私は、この方のリスクとコストの観念に対して、恐ろしさを感じます。コスト減のためには、住民の情報が多少漏れることは仕方がないと言い切っているのだから、その視点には、住民不在のコスト減と国民総背番号制の達成しかありません。コスト削減のために国民は「総背番号制」を我慢しろといっているのであって、私たちをコストでもって好きにしようとしているところが、とてもコワイ。この人は、人を見ているのではなく物を見る目で、国民を見ていますね。物として見られるコワサを私は感じます。コスト減のため一人残らず参加させるともいっているし、このような社会を、自由主義社会といえるのでしょうか?私には、共産主義とか、ファシズムに見えますが。
氏は、また、下記のように述べています。
住基カードの普及が低迷していても、住基ネットが役立っていないわけではない。産学官の有識者からなる情報化推進国民会議の試算では、05年度の住基ネットの経済効果は▽住民票の写しの省略(81億円)▽年金の現況届の廃止(39億円)−−など計183億円に上り、運用費とほぼ見合っている。その後も利用事務が広がり、効率化への貢献は大きい。情報化投資としては成功している。
ただし、効率化された分で別のサービスを充実させるなど住民の目に見えるような努力が行政には足りない。住基カードは「社会保障カード」の登場で、恐らく今後も爆発的に普及する見通しはない。社保カードに統合するなど発展的に解消を図るべきだ。
年金や生活保護などの行政サービスは申請主義のためもらい忘れたり、負担を逃れていたりするなど負担と給付の現状は公平・公正でない。住基ネットの活用をさらに進め、日本人と外国人を対象とした国民識別ID番号制度(JAPAN−ID)を創設し、本人確認証としてICカードを全員に交付すべきだ。その際、民間利用も認めていけば、行政が国民の金融資産などを正確に捕捉でき、課税の適正化にも役立つ。必要な住民情報が把握できれば、国民は申請の手間が省け、行政も審査事務が不要になる。不参加を許容すると行政コストが上昇するので認められない。
国民に対しては、すごくコストを下げようとしている国の姿が浮かんでくるのですが、もちろんコストを下げるというのは言い訳にすぎなく、本当の狙いは国民を統制することにあると思いますが、しかし、国民に掛けるコストをできるだけ少なくしようとしていることは確かだと思う。
でも、これって、おかしいですよね?今、道路財源について、国会論議がなされていますが、道路については、ウソだらけで、まったくコストが考えられていないし、天下り法人の税金無駄遣いが次々と明らかになっています。コストを追求し、きちんと管理すべきは、道路財源や年金などにするべきもので、そこは、まったく抜かっているにもかかわらず、国民という人を扱うことについて、コスト第一に考えるとは、まったく間違えています。人を扱うことはコストだけを考えてするものではありません。そこのところをまったく履き違えているのが新自由主義なんですよ。
人を物質化する「社保ネット」なんぞ、反対です。
まぁ、最高裁の「住基ネット」合憲判決は、行政の便利と効率性を住民のプライバシーより上位においたということで、「社保ネット」構築に、多少のプラスには働くでしょうけど、また一元的という縛りはありますよね。しかし、一つずつなし崩しにしていって、最高裁が追認して、いつの間にか「社保ネット」で「国民総背番号制」が、完成していた、なんてことにならないように、気をつける必要があります。皆さん、気をつけましょう。
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