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「日本経済が突きつけたマネタリズムへの“最後通牒” 中:「民営化」について」  世界経済のゆくえ(晴耕雨読)
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投稿者 忍 日時 2008 年 3 月 13 日 08:54:15: wSkXaMWcMRZGI
 

(回答先: 背後にアメリカが?日銀の独立性について:日銀総裁人事の奇々怪々(神州の泉) 投稿者 忍 日時 2008 年 3 月 13 日 01:11:43)

「日本経済が突きつけたマネタリズムへの“最後通牒” 中:「民営化」について」  世界経済のゆくえ
◆ 「民営化」について

 日本で実施された民営化は、85年の電電公社(NTT)と専売公社(JT)、そして、87年の国鉄(JR各社)である。
(個別法による規制が行われているので、正確には「特殊会社化」といったほうがふさわしい)

 主要メディアでこれらの民営化を失敗だったと評価しているのはほとんどみかけない。
 国鉄の民営化により、JR各社は黒字化を遂げたり赤字を縮小した。NTTも、競争のなかで料金を下げたりサービスを改善して活発な通信事業を継続している。JTも、タバコ中心ながらも、総合食品企業として活動している。
 旧国鉄の20数兆円という債務切り離しはともかく、これらの改善は、民営化のおかげであるというのが多数派の考えであろう。

 しかし、日本という国民経済は、電電公社・専売公社・国鉄の民営化の動きのなかで「バブル形成」が始まり、「バブル崩壊」→「長期不況」→「デフレ不況」という歴史過程を経てきた。(NTT株式の放出が株式バブルを煽ったという視点で取り上げているのではなく、現実の歴史過程として記述している)

 「民営化」で個別公営企業の経営状況が良くなったとは言えるにしても、「民営化」が国民経済の成長に貢献したとは結論づけられないのである。

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 「民営化」については、近代化100年の過程で厖大な国費を投じてきた公営企業を売却することが、国家にとって経済的に有利な選択なのかという問題もある。

 公営企業の売却で得られるお金と公営企業を保有し続けることで毎年得られる収益(国庫納付金)を比較しなければならない。

牛を食べてしまうのか、搾乳や役務で使うために生かし続けるかの選択と同じである。

 保有し続けるとしても、有用な資産であれば、焦らなくてもどうしてもという時に売却できる。

(国民生活に不可欠なものであれば、総合的な判断で赤字であっても事業を継続するという選択肢もある。英国の鉄道は、国有化→民営化を経て、再度、公有化という流れになっている)

 国鉄であれば、民営化と同じように首切りと路線切り捨てを行い、それで生み出すようになった利益を、配当金での流出ではなく、棚上げしてもらった20数兆円の返済に充当する道もある。

電電公社であれば、通信需要の高まりや携帯電話事業で得られる厖大な利益を、配当金として流出させたり海外投資に走り2兆円超の評価損を出すのではなく、国庫に納入するかたちを続けていたほうが得ではなかったのかという問いである。

 所有形態が経営手法を決めるわけではなく、所有形態が規制緩和の進展を規定するわけでもない。

(日本の大手企業のほとんどが雇われ経営者で、伝統的企業は、既得権益を守るため、自分が不利になる規制緩和を阻害しようとする)


◆ 「規制緩和」

 「規制緩和」は、「民営化」と軌を一にした政策として進められた。

 その代表が電話通信事業への新規参入と競争状況の出現である。

 労働力市場も、派遣業への規制が緩和され、職業安定所の民営化までささやかれている。大型商業施設の新設や営業規制も緩和され、酒類販売も大都市中心に規制が緩められた。

 98年には金融ビッグバンといわれる自由化が行われ、電力供給事業についても規制緩和が進められている。医療や福祉の分野でも規制が緩められている。

 しかし、通信事業が活発化し、大都会では大型スーパーが夜10時まで営業し、明け方でも酒類が買えるという状況になっていったにも関わらず、不況は継続し、現在では深刻な「デフレ不況」が進行しているのである。

 郵便貯金や簡易保険が預かっている資金も、“自主運用”に移行し、年金資金ともども、株式投資での運用枠が拡大された。

 それでも、株価は低迷を続け、郵貯や簡保で4兆円を超える評価損を出し、年金資金も6兆円を超える評価損を出している。

 今年からは、民間企業の年金制度して、米国の401Kに倣った確定拠出型年金が導入できるようになった。(「エンロン破綻」で、エンロン従業員の401K資産が紙屑同然になったにも関わらず)


◆ 「民営化」と「規制緩和」の冷静な見直し

 このような問題提起の仕方に対しては、“バブル後遺症”が障害になっているという反論や、「民営化」や「規制緩和」が行われたから、ここまでの「デフレ不況」で済んでいるという反論もあるだろう。

 しかし、「規制緩和」の多くが「バブル崩壊」後に実施され、「バブル崩壊」から8年も経過した98年以降、名目経済成長がマイナスを続けているのだから、「民営化」や「規制緩和」が、個別企業の利益はともかく、国民経済を本当に成長させる政策なのかどうかを予断なく考える必要はあるだろう。

4%成長を目指したのに2%成長しか実現できなかったというレベルではなく、「規制緩和」のなかで、さらに不況が悪化し、98年以降、名目GDPではマイナス成長が続いているのである。

 「民営化」と「規制緩和」が推進されたなかでそうなったのだから、現在の「デフレ不況」とは無関係とは言えないはずである。

無関係だとか、そのおかげで不況がこのレベルでとどまっていると言い切る人は、“信仰者”であって、官僚・政治家・学者・評論家・メディアなどと名乗るに値しない。

 目論見とは違った歴史的現実が突きつけられているのだから、「民営化」と「規制緩和」が国民経済総体にどういう影響を与えたのか、「民営化」と「規制緩和」が、本当に「デフレ不況」を解消する力になるのかを踏みとどまって冷静に考えなければならないのである。

 とりわけ、「民営化」と「規制緩和」の促進を政策として掲げている政党やメディアは、その責任を負っている。

 「民営化」と「規制緩和」を経済成長の切り札として信仰し、その道に突っ込んでいったら、より酷い「デフレ不況」が待ち構えているかもしれないのである。

 「民営化」と「規制緩和」を柱とする「構造改革」にはどこかに落とし穴や罠があるのではないかと考えるのが、国民全体に責任を負う政府・国会議員・官僚・日銀の責務であろう。
2007/8/27

晴耕雨読
http://sun.ap.teacup.com/souun/366.html

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