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道路特定財源の一般財源化や暫定税率の廃止問題が、いよいよ、この3月末に向けて政局の最大の焦点になってくる。
そこで、その大前提の「10年間で59兆円の道路中期計画」について、私は福田総理あてに3本の質問主意書を提出し、その積算根拠等について問い詰めてきた。しかし、詰めれば詰めるほど、まったく詰まっていない現状に、ただただ驚くしかなかったのである。私も官僚生活が長かったが、国土交通省の問題とは言え、最近の役所の体たらくについて、あらためて認識を新たにしたところである。
まず、福田総理の鶴の一声で、当初65兆円の事業量が59兆円になったことからもわかるように、「10年で59兆円」は、まったくの「どんぶり勘定」だということだ。それは、私の質問主意書でいくら個別具体的な路線の当否を聞いても、中期計画は「10年間で整備する個別具体の道路を位置付けているものではない」と逃げの答弁に終始していることからも明らかだ。そもそも積算などあってなきが如しなのだ。
この点については、自民党の与謝野議員も「59兆円は上げ底。公共事業費の3%削減が毎年適用されれば49兆円になる」と指摘している。59兆円自体が「はじめに数字ありき、暫定税率維持を目的とにひねり出されたものであることは自明であろう。
また、この計画策定の前提となる交通量等の指標が、もう十年近く前になる「99年道路交通センサス」という古い統計数値であることも判明した。当時に比し、人口も減り、車の通行量も減少している現在においては、そもそも前提そのものの信憑性も著しく疑われる。最新の統計が今年秋にはまとめられるということであるから、その時まで待って、計画自体の抜本的見直しを図るべきであろう。
元々、小泉政権時には、「無駄な道路は造らない」という方針の下、高速道路「9342キロ(自体)もすべて造るわけではない」と、累次にわたって小泉総理や石原国土交通大臣(当時)が国会答弁していたのである。
例えば「9342キロ、これはできない道路も出てくる」(小泉首相・平成16年1月26日衆予算委員会)、「9342キロは、そのとおりの整備計画の距離、同じだけはできない」(石原大臣・同予算委員会)、「9342キロの中でも、全部つくるんじゃありませんよ」(小泉首相・平成18年3月2日衆予算委員会)等である。
それを平気で無視して、今や、いつのまにか9342キロどころか、14000キロの高速道路を造ることになっている。驚くばかりだ。
そこがうしろめたいのか、国民受けをねらって、やれ「開かずの踏み切り除去」だとか「通学路の歩道整備」だとか強調しているが、ここ数年間の実績で見ても、この分野でほとんど見るべき成果はあがっていない。にもかかわらず中期計画では、その実績とは1桁も2桁も違う事業量を見込んでいるが、それでも全体の事業量の5%前後を占めるだけだ。この計画が「高速道路の整備」に主眼があることは明らかであろう。
ちなみに、実際、この計画に沿って、高速道路を造ることになる各高速道路株式会社は、計画策定に一切関与していない。この点からも、いかに道路官僚と道路族議員の独壇場で、この計画が決められたかがわかるだろう。
このような杜撰な計画に「NO」と言えない福田首相、そして、自らが敷いた「道路特定財源の一般財源化」がないがしろにされようとしているのに、反対の声をあげない小泉元、安倍前首相。一体、この国の政治はどこに漂流していくのであろうか。
2008/03/10
お話にならない杜撰さ・・・10年間で59兆円(-江田けんじNET- 今週の直言 343)
http://www.eda-k.net/chokugen/343.html
-江田けんじNET- 今週の直言 バックナンバー
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-江田けんじNET-
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