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特定財源支出『政治主導で見直し』 国民怒り、国交相押す【東京新聞】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008030802093599.html
2008年3月8日 朝刊
「道路関係業務の執行のあり方改革本部」の会合であいさつする冬柴国交相(左から2人目)=7日午後、東京・霞が関で
巨額の道路特定財源が流れ込む国土交通省の天下り法人。世論の強い批判の高まりを受け、国交省の改革本部は七日、二法人の解散を決め、ほかに事業の縮小などを発表した。本部長の冬柴鉄三国交相は「政治主導で見直した」と胸を張ったが、一千数百万−二千万円という役員給与の引き下げや数の見直しはこれから。天下りポストを維持したい官僚の抵抗は今後も予想され、改革はまだ始まったばかりだ。
「国会審議で強い批判を受け、新聞やテレビなどでも大きく取り上げられた。私の地元でも大きな反響や怒りに近いものがあった」。冬柴氏は記者会見で、四法人の見直しに踏み切った理由をそう説明した。
まずやり玉に挙げたのが、約九百五十億円の道路財源などを投じて全国十四カ所に建設した“官営駐車場”を運営する財団法人「駐車場整備推進機構」。
巨額の税金をつぎ込みながら、昼でもガラガラというところも多い。それでも国交省OBら常勤役員四人を抱え、年収は計六千五百万円に上る。今後は民間に委託し、同機構は来年度までに解散することになった。
同様に解散が決まった財団法人「海洋架橋・橋梁(きょうりょう)調査会」は、海峡横断プロジェクトに関する調査などを行っている。すでに巨費を投じた東京湾横断道路や明石大橋は、通行量が当初の見込みより大きく割り込み、新たな建設計画のめどは立っていない。それでも調査には多額の金がつぎ込まれてきた。今後は調査を打ち切り、橋梁点検業務は財団法人「道路保全技術センター」に移すことになった。
その同センターも事業縮小を余儀なくされた。国交省から全国の道路に関するデータベース事業を随意契約で独占受注。三人の常勤役員は全員同省OBで、理事長の年収上限は約千九百五十万円だ。職員の四分の一にあたる六十人は、民間企業からの出向者。民間でもできる業務まで高値で独占受注し、四十一億円もの内部留保(余剰資金)を抱えていた。今後、事業の半分は民間企業に委託することになった。
海外の道路調査を九千万円余りで請け負いながら、報告書の半分は世界銀行などのデータを引用していた社団法人「国際建設技術協会」には、業務を発注しないことを決めた。ここも常勤役員四人は全員同省OB。理事長は年収一千八百万円と厚遇ぶりが際立っている。
『努力するしかない』
独立行政法人を除き、道路特定財源を原資とした国の道路整備特別会計から支出を受けていた公益法人は五十法人。支出額は二〇〇六年度で計約六百七十三億円に上る。
この中には、道路建設に直接関係のない調査・研究業務を行っている法人も多く、冬柴鉄三国交相は「民間に発注することで半減を目指す」と具体的な目標を口にした。
一方、五十法人には高額の年収が保証されている常勤役員が百七十人在籍。うち百二十八人が国交省OBで占められる。改革本部は「役員数の削減と給与水準の抑制」を方針に掲げたが、具体的な人数や給与額を聞かれると、冬柴氏は「努力するとしか言いようがありません」と歯切れが悪かった。
また、道路財源から支出を受けなくても、ETC事業で年間収入が百億円を超える財団法人「道路システム高度化推進機構」のように、道路行政に関連した法人はほかにも二十二ある。だが、今回の見直し対象にはなっていない。
「対象を広げるべきでは」との質問に冬柴氏は「今日で終わりではない」とあいまいに答えただけだった。
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