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3月11日、死刑廃止議員連盟は役員会を開いた。新たに幹事に加藤紘一氏(自民)、仙谷由人氏(民主)を迎えて超党派の陣形を再構築することが出来た。そして、5年前にとりまとめた「死刑制度調査会及び終身刑導入法案」をふりかえり、新たにこの国会に提出すべく事務局案を議論した。5年前の法案は「死刑制度調査会」を衆参に設置し、「終身刑」を創設すると共に、「死刑執行停止」を行うというものだった。今回の事務局案は、5年前の案をベースにしつつも、新たに1年後に始まる裁判員制度をにらんで、「死刑判決の全員一致」を要件とする裁判員法改正案と「終身刑の創設」をセットにした内容であった。5年前が「死刑執行停止(モラトリアム)法案」だったのに対して、今回は「死刑ルール厳格化法案」と言うべきものである。 一方、12月18日国連総会では「死刑執行停止決議」が104カ国の賛成多数で採択されている。日本政府は反対したものの、こうした国際潮流に背を向けることは本来は出来ないはずだ。 【ニューヨーク=長戸雅子】国連総会は18日、死刑存続に「深刻な懸念」を表明し、執行を一時停止するよう加盟国に求める決議案を賛成104、反対54、棄権29で採択した。執行停止を求める総会決議は初めてで、欧州を中心に死刑廃止の世論が強まっている状況を映すものとなった。日本、米国、中国などは反対した。 [引用終わり] ところが、日本では「ベルトコンベア発言」で波紋を呼んだ鳩山法務大臣が、12月7日に衆議院法務委員会の開催中に同時進行で3人に死刑を執行。それから2カ月を待たない2月1日にも3人を執行と、「回り始めたら止まらない刑場に向かうベルトコンベア」が動き出している。 法務省に抗議をすると、「私たちは司法判断に従って粛々と執行をするのみです」と言いつつ、暗に「確定死刑囚」を激増させているのは裁判所ではないかとも言いたげだ。昨年、死刑が確定したのは23人。10年前の3〜4倍の水準で増えている。法務省は認めないが、「100人」を超えた人数を処刑することを意識しているのは間違いない。 そして、国連総会の決議に真っ向から挑戦するように死刑執行のピッチをあげようとしているのが、日本の姿である。イージス艦あたごが自動操舵で漁船を犠牲にしてしまったように、国際情勢などには目もくれずに「大量処刑」の道を歩もうととしているのが日本だ。日本弁護士連合会では国連総会の「死刑執行停止決議」に対して、会長声明を出して、死刑執行を一時停止するように政府・法務省に求めているが、議論はかみ合っていない。 そして、裁判員制度が始まる。国民の誰もがクジで選ばれ、原則として裁判員となることを拒否することが出来ない制度だ。殺人・放火などの重い犯罪を裁判官3人とともに裁判員6人が裁くことになる。ただでさえ死刑判決が増えて、確定死刑囚も激増している流れが、裁判員裁判でどう変わるだろうか。私の友人にも、「明らかに減るはずです」と力説する人もいる。しかし、「凶悪犯罪が激増している」と一般的に言われているが、実は刑法犯は5年連続で減少している。 警察庁は9日、全国の警察が昨年1年間に認知した刑法犯件数を発表した。認知件数は190万8990件(前年同期比6.9%減)で、5年連続で減少し、97年以来10年ぶりに200万件を下回った。検挙率は31.7%(同0.5ポイント増)だった。 犯罪罪種別では▽凶悪犯9052件(同10.6%減)▽知能犯7万6004件(同9.8%減)▽窃盗犯143万55件(同6.8%減)でいずれも減少した。中でも住宅への侵入盗10万3494件(同13.8%減)▽放火1519件(同13.6%減)▽ひったくり2万3687件(同11.7%減)の減少が目立っている。同庁は警察による街頭犯罪防止の取り組みや民間ボランティアの活動が広がったことなどが刑法犯減少につながったとみている。 [引用終わり] 犯罪情勢は関係者の努力もあって好転しているにもかかわらず、死刑判決が激増すること自体、裁判官の量刑水準が「厳罰化」に向かっていると判断せざるをえない。これは、大きく強い流れである。この流れを裁判員制度が変えることが出来るだろうか。私は、さらに厳罰化に向かうとは必ずしも予想しないが、現在の流れは変わらないと予想する。つまり確定死刑囚は裁判員制度が導入されなくても、現に増えている。このグラフがさらに上にふれることはないかもしれないが、下に向かうこともなく「上昇モード」のままに推移するのではないかというのが、私の予想だ。すると、法務省の体質からすれば鳩山法務大臣辞任後も彼の残したベルトコンベアは回転し続けて、「死刑大国」に日本は向かうことになるというのが、この問題に10年取り組んできた私の実感だ。 さらに裁判員制度の導入前に議論が不足しているのが、裁判員候補面接時の「専断的忌避」の問題だ。これは、昨年にビデオ・ニュースに出演した時に述べた点だが、あらためて読んでいただきたい。 司法の問題を国会で追及してきた衆議院議員の保坂展人氏は、裁判員候補となった人の思想信条にまで踏み込むような憲法違反をうかがわせる決定が、裁判所と検察庁、弁護士会の法曹三者のごく一部の手で次々と進められていると憤る。 例えば、裁判員の選任の際に、検察側も弁護側も裁判長を通じて候補者に質問をすることが認められている。もともとは公正な裁判を期するために、原告や被告の知人や利害関係者などを排除することを想定しての制度だが、そこでの質問には、「警察を信用するか、しないか」や「死刑制度に賛成か、反対か」などの、実質的に裁判員となる人の思想信条にまで踏み込むような質問も含まれることが、最高裁が作成した想定問答集で明らかになっている。 その結果、「不公平な裁判をする恐れがある」と判断されれば、その人は裁判員から除外される。保坂氏は、「裁判の公平性を担保する」という大義名分のもと、「国家権力の前で、市民の信条や内面を告白させられる」ばかりか、警察を信じ、死刑に賛成の人だけが裁判員として裁判に参加できるような仕組みになっていると指摘する。 [引用終わり] 裁判員制度で裁判員に選任されたくなければ「死刑制度に絶対反対です」と言えば免れるという言説が流布されているが、根拠のない話ではない。「死刑を選択しない」と言う裁判員候補は「公平な裁判が出来ない」と排除されるシステムが出来ていて、このフィルターが濫用されると危険だと私は指摘してきた。 今回の事務局案は、「死刑制度を全面的に肯定はしないが、無期・懲役では軽すぎる」という人や、「死刑はなければそれが理想だが、必要最低限、ごくごく慎重に制度として存続されていた方がいい」という人たちとも共通の土台で議論が出来るのではないかと思っている。「終身刑」を創設し、代替することの出来ない生命を奪う「死刑」を選択するルールを厳格化する。国連決議に日本の現状をふまえて答える道ではないかと考えている。 |
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