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フィブリン糊で肝炎新たに64人、国が8896人調査着手(読売新聞)
薬害C型肝炎問題で、北陸地方の民間病院が縫合用接着剤「フィブリン糊(のり)」を628人に使っており、このうち64人の感染が8日わかった。
都内の民間病院でも輸血併用を含め「糊」を使った57人の感染が今年1月に判明している。血液製剤フィブリノゲンに他の薬品を混ぜて使う「糊」は推計7万9000人に使用されたが、被害調査は大幅に遅れ、厚生労働省も感染者は50人弱しか把握していなかった。今月に入り厚労省は研究班を作り、記録が残る「糊」を含めたフィブリノゲン使用者8896人の本格的な被害実態調査に乗り出した。
新たに感染がわかった北陸の病院では、1977年から89年にかけて心臓手術をした約1200人のカルテを調査した。628人が血管接合などに「糊」を使っていたことが判明。検査結果がわかった227人のうち64人が感染していた。
227人の多くが輸血も併用しているため、全員が「糊」による感染と断定はできないが、病院幹部は「一般的な輸血より感染率が高く、『糊』が関与した可能性が高い」としている。全体の3分の1にあたる21人が87年の手術で使われていた。この年は青森県内の医院で集団感染が確認されるなど、フィブリノゲンによる肝炎の集団発生が問題になった時期だった。
主に出産時の止血剤として静脈注射で使うフィブリノゲンは薬事法で承認されていたが、「糊」としての使用法は、当時、承認されていないにもかかわらず、発売元の旧ミドリ十字は小冊子を作るなどし、広く使用法を紹介。さらに同社は89年の時点で「糊」による感染者が19人いることを把握しながら、厚生省(当時)に「糊による感染者はゼロ」と虚偽報告。医療機関の実態調査も遅れていた。厚労省では調査の遅れを重視。肝炎の専門家らによる研究班を作り、「糊」を含めたフィブリノゲンによる被害実態を調べる作業を始めた。
対象は、昨年11月から厚労省が再調査して判明した、製剤を使った個人を特定できる記録が残っていた644医療機関、患者数8896人(2月1日現在)。
これらの医療機関に直接調査用紙を送り、〈1〉使用したのは「糊」か、静脈注射か〈2〉感染の有無〈3〉本人へ使用した事実を伝えたか、などを調べる。これまでの調査は、医療機関に「投与者に告知し、検査するように」と指導するにとどまっていた。今回は、投与に関する情報を研究班が集約し、結果をチェック。患者への告知・検査を徹底させ、早期発見・治療につなげる。厚労省は人件費などとして1施設10万円、投与患者1人あたり3000円の調査費を医療機関に支給する。
この問題では今年1月に都内の民間病院でも「糊」の使用者57人の感染が判明。舛添厚労相は「薬害に変わりはない。調査をしていきたい」と述べていた。
(2008年3月8日14時33分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080308-OYT1T00367.htm?from=navr
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