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民主の疑心暗鬼呼ぶか「武藤日銀総裁案」、空白リスクで心理戦【ロイター】
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-30720620080307
2008年 03月 8日 08:28 JST 記事を印刷する[-] 文字サイズ [+]
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日銀総裁人事は第2ラウンドへ、民主不同意なら再提示・空白リスクも 吉池 威記者
[東京 7日 ロイター] 政府が次期日銀総裁として武藤敏郎副総裁の昇格案を提示したことで、民主党の次の一手が注目されている。これまで武藤氏を昇格させることに否定的だった民主党に福田康夫首相があえて武藤氏起用を打ち出し、大連立騒動が起きて以来、疑心暗鬼になりがちな民主党を揺さぶる狙いもあったのではないかとの声が永田町ではささやかれている。
信用収縮懸念が表面化し、市場の動揺が再び大きくなりつつある最中に、日銀総裁の座を空白にした場合、民主党が傷を負うのではないかとの懸念も党内に出始めた。日銀総裁のポストが、政党間の心理戦の行方に大きく左右される展開になってきた。
「総裁ポストを空席にしてでも政府案を突っぱねる」――。民主党の渡辺周税調副会長は、福井俊彦日銀総裁の後任候補として武藤副総裁を昇格させる政府の人事案にあくまで同意しない考えを強調した。ただ、高度な政治判断として、小沢一郎代表がきょうの政府案を受け入れるとの見方もある。渡辺税調副会長は「党の方針が揺らぐことは最悪のシナリオだ」と述べた。
福井総裁の任期満了に伴う日銀人事は、1月末時点で武藤氏を軸としながらも、岩田一政副総裁や黒田東彦アジア開銀総裁の名前も一部で挙がっていた。それに対し、野党側は山口泰前日銀副総裁で結束しようとしていた。2月に入ってからいったんは武藤氏の任命が確実視され、山口前副総裁の総裁就任の可能性は消えかかった。しかし、2月下旬になって、武藤副総裁に代わって山口前副総裁が有力候補者として急浮上した局面があったという。実際、自民党国対委員長を経験した有力議員から「次期日銀総裁は山口氏」との声も出ていたようだ。
町村信孝官房長官が6日、日銀総裁・副総裁に関する政府人事案を7日に提示すると言明し、霞ヶ関や永田町で繰り広げられていた情報戦が一気に白熱化した。福田首相は6日午後、最終判断したが、公明党の太田昭宏代表と官邸内で会談した際、日銀総裁人事について「あす(7日)午前中に電話します」とだけ伝えていた。
<根強く流れる民主党内の不協和音>
これまで与党内からは「日銀総裁人事でも民主党内でねじれ現象が起こっている」(国対幹部)といった声が出ていた。民主党の大塚耕平・参院政審会長代理は6日、ロイターとのインタビューで、政府提案が武藤副総裁ならば「民主党内の雰囲気は限りなく不同意に近い」とし山口前副総裁については「当然選択肢と考えてよい」と答えた。大塚氏は、渡辺博史・前財務官ら具体名を挙げ、民主党があくまで武藤総裁案には同意しない考えを示した。永田町の中では、このインタビューについて「かえって党内が結束していないことを裏付けている」と見る声が出ていた。
民主党の山岡賢次国対委員長は7日午前、武藤副総裁の昇格が有力と報道されていることに関し、与党側から非公式に武藤氏昇格の案が打診されていた事実を認めつつ、民主党内に異論がある現状では、野党が過半数を占める参院で同意を取り付けることが難しいとの見解をすでに複数回にわたって伝えていたことを明らかにした。
衆参両院は、11日にそれぞれの議院運営委員会で候補者の所信聴取を実施。各党は金融政策に対する武藤氏らの考え方を聞き、そこでの質疑内容も参考に来週中に開かれる予定の本会議で同意・不同意の判断を下す。
鳩山由紀夫幹事長は7日夕の記者会見で、党内では財金分離の原則から武藤副総裁の昇格への反対論は根強いとし「(党内を)まとめるのは容易ではないと認識している」と述べた。同意・不同意の最終結論は所信聴取を踏まえて最終決定するとし、現時点で結論は出ていないとしながらも、同意に向けて厳しい党内情勢をにじませた。
<与党内に奇策・2段階提案論の声>
もし、民主党など野党の反対で参院が不同意を決めた場合、国会同意の手続きでは、衆参が対等の権限を持っているため、武藤総裁案は白紙に戻ることになる。その場合、一部で取りざたされた武藤総裁案の再提案は、国会の慣例にもなじまないため、与党内でも賛成する声は少ない。その時には、別の候補者を提示する展開になるとみられる。
与党内では、民主党の抵抗を想定し、7日の武藤総裁案の提案前から、密かに広がっていたある情報があった。「2段階提案戦術」だ。同意に関するいわゆる10日間ルールを採用せず、短縮することに与野党が同意すれば、政府が2回、提案できるというところがこの案のポイント。2回目の提案は失敗が許されないため、自民・民主の党首が会談し、武藤氏以外の候補で決着させ、国会の正常化にもつなげる──というシナリオだ。
町村信孝官房長官は7日の会見で、武藤氏を「ベストの候補」と強調。押し通す強い意向を示したが、果たして同意を取る付けることができるのか不透明なままだ。
総裁空席が確定した瞬間に株価が下がり、円高が急速に進めば、責任の大半を民主党が負うことにはならないか──。同党関係者の一部によると、これが最悪の展開だとの声がジワリと出ていると言う。実際、ある外資系証券関係者は「総裁の空白ができれば、格好の日本株売り材料が提供されることになる」と話す。
外為市場ではドル/円 ある都銀関係者は「市場参加者の関心は、米雇用統計や来週の米系企業の決算発表に移っており、国内のニュースには反応しにくい」とし、民主党が日銀人事案に同意しないとの見方はあっても、それによる混乱は想定されていないとしている。ただ、ある邦銀関係者は「もしかしたら空白になるという事態を想定し、市場も織り込み始めた」と明かす。 6日、衆院第2議員会館2階。「小沢(一郎民主党代表)が決めたというものを蹴るようでは、民主党もおしまいだ。空白ができると、やはり民主党に参院選を勝たせるべきではなかったと世間から見られる」──。民主党の渡部恒三元衆院副議長は、たどり着いた結論が「武藤総裁に同意」でも「不同意」でも、最終的に小沢代表が判断し、党内もそれで結束するのがベストだと主張する。しかし、小沢代表が同意にかじを切った場合、渡辺税調副会長や大塚参院政審会長代理ら武藤氏の昇格反対論が「反小沢」のエネルギーに変質する可能性もはらんでいる。 (東京 7日 ロイター)
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(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)