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2008年03月07日
麻生氏が唱える日米同盟再定義の的外れ
「日米シーパワーダイアローグ」なるシンポジウムが5日米国ワシントンで開かれたという。海洋政策研究財団と新アメリカ安全保障センターが共催し、読売新聞が後援したという。
因みにこの海洋政策研究センターというのは、その前身が日本造船振興財団というのだから、まさしく天下り団体である。現に今の会長には大蔵省出身の元防衛事務次官秋山昌廣氏が就いている。
そんな団体が主催するシンポジウムに私は興味はない。私が注目したのは、ゲストとして招かれた麻生元外相の講演要旨である。3月7日の読売新聞によれば、麻生氏は、太平洋の二大海洋国家(シーパワー)である日米両国は、同盟関係を「再定義」し、「統合されたシーパワー」化を目指すべきだ、と提唱したというのだ。
何故今頃麻生氏が日米安保再定義を言うのだろうか。まさか麻生氏が日米安保体制を見直そうと言い出したのではないだろうな、そう思って注目したのだ。
というのも、そもそも日米安保再定義とは、ソ連共産主義の崩壊により日米安保体制の共通の敵がなくなった状況下で、日米安保体制を世界的規模に拡大しようとして、米国が言い出したものであったからだ。
すなわち、クリントン政権下の1995年、ハーバード大学教授から国防次官補に転じたジョセフ・ナイ氏が、日米安保体制の目的を、「アジアにおける共産主義の脅威」への共同対処から、「世界の平和と安全」に向けての日米軍事同盟に、「再定義」した。いわゆるナイ・レポートである。
それが発展して、「極東」という地理的概念の制約を外した周辺事態法が成立し、そして今日の「テロとの闘い」、米軍再編に対する協力、と完成していったのである。
だから今更日米安保の再定義などというものは必要ない。もし日本側が今の時点で日米安保再定義を言い出すのなら、日米安保体制はやっぱり不要だからなくしましょうということしかない。まさかそんな事を麻生元外相が言い出すはずはない。だから私は驚いたのだ。
ところが読売新聞をよく読むと、麻生氏のいう再定義とは、旧来の軍事面などハードパワーの協力はもとより、民主主義など価値観を共有する国や民間レベルの協力を推進し、資源開発、環境保護などでの知見を共有するソフトパワーの協力も強化すべきだという提案だという。
笑ってしまった。そんな提案に米国はほとんど関心がない。米国の関心はあくまでも軍事力、すなわちハードパワーなのである。しかも米国の考える日米安保再定義とは、米国の軍事行動のためにいかに日本の領土と資金と自衛隊を利用するかである。
かつて外務省は90年代の初めに日米コモンアジェンダと称して、健康問題(エイズ)や環境問題など地球規模の共通の問題に協力して対処しようと打ち上げた事があった。それは当時の日米関係が、経済摩擦をはじめとして対立に終始していたので、両国が共通の目標に向かって建設的に協力できる分野を探そうとした結果の、日本側の思いつきの提案であった。
ところが米国の関心は低く、日本へのおつき合い程度の認識で事に当たった。だからすぐに頓挫した。
麻生氏の日米安保「再定義」はまさにその愚を繰り返そうとしている。米国がまともに相手にするはずはない。
このシンポジウムの詳細は13日の読売新聞に掲載されるという。関心のある向きはどうぞ。
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