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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2008030402092439.html
作家の沢地久枝さんが自著の『私のかかげる小さな旗』の冒頭に、「二〇〇〇年の秋に」と題した一文を収め、今後の決意表明をしている。<いま、あえてかかげようとする旗は、/ささやかで小さい。/小さいけれど、誰にも蹂躙(じゅうりん)されることを/許さないわたしの旗である。>と。水深約一、八四〇メートルの海底で見つかった赤い旗も、蹂躙を許さぬ旗のように見えた
▼海上自衛隊のイージス艦に衝突された漁船の旗である。海底に突き刺さっていると見える約一メートルのさおの先で、翻っていた。無人探査機が撮影した写真には、確かに手書きで「清徳丸」とある
▼「清徳」の言葉は、手元の辞書を引いても出てこないが、この二文字は行方不明の吉清治夫さん(58)、哲大さん(23)親子の生き方を象徴しているのかもしれない
▼治夫さんは若くして父親を亡くした。親類や知人の漁船を手伝うことで、念願の船を手に入れた。父親と世話になった漁師の船の名前から一字ずつ取ったのが、船名の由来になる。約十五年前に脳梗塞(こうそく)で倒れて体が不自由になったが、「家族のために」と船に乗り続けた▼哲大さんは父親の背中を見ていたと思う。高校を中退し、仕事を手伝ってきた。いつか父よりも大きな船を持つことが、夢だったという。東京・上野公園のホームレスを支援するため、ここ四年ほどは年に三−四回、自分で捕った魚を届けていた
▼本人たちは「清」と「徳」を特に意識することなく、普通に生活していたのだろう。ささやかだけど二人の掲げた小さな旗が今、心の中で翻っている。
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