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http://www.asahi.com/national/update/0227/TKY200802270281.html
2008年02月27日19時24分
仙台市のクリニックで00年2〜11月、筋弛緩(しかん)剤を点滴に混入して患者1人を殺害、4人を殺害しようとしたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた准看護師、守(もり)大助被告(36)の上告審で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、守被告の上告を棄却する決定をした。25日付。無期懲役とした一、二審判決が確定する。
弁護側は「患者の容体急変は筋弛緩剤によるものではない」と、事件の存在そのものを否認。患者の血液などから筋弛緩剤の成分を検出したとする鑑定結果に疑問があるなどと訴えてきたが、第三小法廷は「筋弛緩剤を投与したことによる犯行との認定に誤りはない」と結論づけた。
守被告は、女児(当時11)の点滴に筋弛緩剤を混入して殺害しようとしたとして殺人未遂容疑で01年1月に宮城県警に逮捕され、公判では一貫して無実を訴えてきた。一方で検察側は、犯行の目撃者がいない中で、状況証拠を積み上げて立証してきた。
一、二審判決は、検察側の主張通りに(1)クリニックでは、多量の筋弛緩剤が使途不明になっていた(2)患者の急変が相次いでクリニックから退職を求められた被告が筋弛緩剤の空容器をひそかに持ち出そうとした――などの事実を列挙し、守被告の犯行と結論づけた。
しかし、裁判では「医療行為を装った殺人・殺人未遂」という極めて特異な事件の動機は十分解明できなかった。鑑定に使った試料を捜査段階で使い切り、弁護側に再鑑定の機会が与えられなかったことから、捜査上の問題点も指摘された。
■関連情報
☆『僕はやってない!
仙台筋弛緩剤点滴混入事件
守大助勾留日記』
―はじめに―
杜の都仙台にある北陵クリニックという病院で、点滴に筋弛緩剤が混入され、何人かの患者さんが死亡し、また多くの患者さんが重篤な症状に陥ったとされ、同病院の准看護士であった守大助容疑者が逮捕されたのは、今年の1月6日のことであった。私たちは、前代未聞の連続殺人鬼の犯行に眉をひそめ、世も末だなどと語り合ったものである。その後計五件の事件で起訴され、容疑者から被告に変わったとき、守被告を憎悪し、重刑を望んだのは私たちだけではないと思う。
ところが、私たち明石書店編集部は、あるきっかけで守被告の拘置中の日記を入手することができた。読み進めていくと、全文が守被告のいわば悲鳴である。「僕はやっていない」「信じてほしい」「なぜ僕がこんな目に遭わされるか」……。そして行間には、自白に誘導する取調官の強引な言葉と行為が見え隠れする。私たちには何が真実なのかわからなくなってしまった。
出版を通して「人権」とは何なのかを追求し続けてきた私たちは、この事件に関心を持たざるを得なかった。もし守被告が犯人だとすれば、筋弛緩剤によって殺害され、または殺害されかかった人たちは、かけがえのないたった一度だけの人生を侵犯されたことになる。決してあってはならないことだ。
一方、守被告の悲鳴が真実だとしたらどうなるのか。何も罪など犯していない人間が、ある日突然官権によって逮捕・拘禁され、自由を奪われるばかりか、無理矢理犯人として作り上げられていく事実が進行していることになる。恐ろしいことだ。そんなことがこの21世紀にありうるのだろうか。故三浦綾子氏が『銃口』(小学館文庫)という作品の中で、特高警察によって強引に思想犯であることを認めさせられていく小学校教師の悲惨なまでの物語を描いているが、それと同じようなことが今現在も行われているのだろうか。だとすれば、これも決してあってはならないことだ。いずれが真実であるにしても、人間として最低保証されなければならない権利が踏みにじられている可能性が高い。
私たちは、守被告の弁護団長である阿部泰雄氏を訪ね、お話をうかがうことにした。その過程で、今まで明らかにされていなかったさまざまな事実が浮かび上がり、次第にこの事件が「冤罪」である可能性を断ち切れないという心証を得るに至った。
私たちの活動と並行して、各週刊誌、雑誌などもこの事件を取り上げ、冤罪性を指摘しはじめた。闇の向こうにある真実とは何なのか。それはわからない。しかし、幸いにも、私たちは渦中の守大助被告、阿部弁護士をはじめとする弁護団、守被告のごく身近な人々のご協力を得、ここに闇の向こうを照らす真実の明かりともいうべき数々の証言を得ることができた。各週刊誌、雑誌などの取材記事を包含し、さらに全体の構図を体系化し得たといえるだろう。
私たちはその明かりをここに提示し、賢明なる読者諸氏の判断を仰ぎたいと思う。決して予断を持つつもりはない。ここに提示する言葉は、関係者の生の声ばかりである。ただし、明らかな誤字・脱字、表記不能な記号、極端な重複等は、内容を損なわない程度に訂正、整理させていただいたことをご了解いただきたい。
本書の構成は、読者諸子の理解しやすさを第一義に考え、第一章に守大助被告の手記を取り上げた。手記は日記よりもあとで書かれたもので、雑誌「創」でもその一部が紹介されたものだが、守被告が事件の概要を冷静に振り返っているため、まず何があったのかという全体図がとらえやすいと考えたからである。
そして第二章には、守被告が拘置中に一日も欠かさず書き続けている日記を掲載した。留置所の生々しい実体と、恋人や家族への愛が切々と書き記されている。第一章の事件の全体図を念頭に置きながら第二章を読んでいただければ、よりいっそう内容を掌握していただけるものと確信する。ただし、ここには重複が多く、量も膨大に上るため、一部は割愛させていただいた。なお、読者の理解を助けるため、要所要所に阿部弁護士のコメントをいただき、ゴシック文字で掲載した。
そして第三章は、阿部泰雄弁護団長による事件の構造解明である。この事件が何であったのか、なぜ守被告が逮捕されなければならなかったのか、真犯人はだれか、その裏に控える病院や医療行政、警察の問題点など、単に個人の観点にかかわらず、現代という社会が抱える大きな課題が明らかにされるであろう。
巻末には、守被告の恋人、ご家族といった身近な関係者から、つらい思いを乗り越えてご発言をいただいた。今の守被告を支えているのは彼らへの愛だけであり、一度あきらめかけた守被告の真相解明への意志を呼び戻したのは彼らの守被告への愛であったからである。この事件は、人間の愛によってのみ真の解決があり得るのではないかといえば、編集者のうがちすぎであろうか。
以上のような経過と構成で、本書を緊急出版して読者諸氏にお届けしたい。ご感想をお送りいただければ幸いである。
明石書店編集部
http://www.akashi.co.jp/news/news_bokuhayattenai/tachiyomi_bokuhayattenai.htm
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