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2008年02月23日
中国から提案された日中米三カ国定期対話のウラを読む
23日の日経新聞は、「中国政府が日本、米国との三カ国の定期対話の新設を日米両政府に打診した事が22日明らかになった」、と報じている。これは注目すべき記事である。
これに対し、その日経新聞の記事は、「中国の意図は、日米同盟の強化にくさびを打つ思惑もあるとみられる」などと水をかけるコメントをしている。世界情勢の流れに気づいていない皮相的なコメントだ。
これからのアジア情勢は、これまでのように日米対中国という対立軸だけでとらえるのではなく、日米中の三者の話し合いで決められていく時代になる。そう最初に言い出したのは、実は米国であった。
すなわち、今から一年ほど前の07年2月18日、超党派の米国シンクタンクである米国際戦略問題研究所は、「日米同盟―2020年のアジア地域を正しい方向に導く為に」という報告書を発表した。いわゆるアーミテージレポートパート2である。
当時この報告書の重要性を指摘した報道は殆どなかった。しかも当時の解説の多くは、従来の日米同盟の重要性を確認したもので目新しいものはない、などというものばかりであった。
ところがこの報告書には日米安保体制の根幹を揺るがす重要な指摘がなされていたのだ。すなわち、これからのアジア情勢は、単に日米対中国という対立軸だけで捉えるのではなく、日米中三カ国の話し合いによって、ケースバイケースで決められていくことになる、という明言があった。
これは、言い換えれば、米国の立場はいつも日本と同じとは限らない。場合によっては日本よりも中国と利害が一致する事もある、と言っているのだ。米国が中国をステークホールダー(利害が一致する可能性のある国)と呼ぶゆえんである。
これは極端に言えば日米安保体制の米国側から出た廃棄宣言である。そしてその事は日本外交にとっても好ましい事なのである。日本から言い出せなくても米国がそう言い出したのである。これを奇禍として日本外交は本来の自主、自立、フリーハンド外交を目指すべきなのである。
そう考えると、実は日中米三カ国定期対話は日本にとっても好ましいのである。いや、積極的にこれを活用すべきなのである。
日中米三カ国定期協議は直ちには動き出さないかもしれない。
いまでも内心では中国を蔑視し、敵視する日本は、中国がこのような提案をした事を「しゃらくさい」と思うことだろう。米国という恋人に捨てられた心境で寂しく思うだろう。
日本を米国の隷従下に置き続けよう思っている米国は、あくまでも日本が最重要だと耳元で囁いて日本をだまし続けようとするだろう。日中間の離間作戦を忘れないであろう。
米国との関係を優先する中国は日本よりも米国に方に顔を向けて事を進めようとするだろう。これが日本外交当局の神経を逆撫でするだろう。
しかしそれらすべての外交的ゲームを捨てて、国益に沿った真の日本外交を始める時が、もはや待ったなしに来ている。それが真剣勝負の外交である。この事に気づいて外務官僚を動かしていく真の政治家が出てこなくてはいけない。それは政治家の仕事である。官僚の発想からは決して出てこない。
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