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一昨日(2月19日)の午前5時ころニュース報道番組では、イージス艦「あたご」が千葉県野島崎沖で漁船と衝突したことが報道されていた。「それなのに防衛大臣も総理大臣もぬくぬくと眠っていたというのだろうか」と昨日の永田町徒然草で述べた。私にはこういう状態が理解できないのである。この政権には緊張感というのがまったくない。私の体験を述べて、批判する。 私は1996年(平成8年)11月7日、自治大臣と国家公安委員会委員長(以下、国家公安委員長という)に任命された。私は、朝は苦手の方だ。ハッキリいって子供のころから朝寝坊であった。私は大臣に就任して以来、午前6時から始まるNHKニュースは必ず観ることにした。国家公安委員長は治安維持と犯罪捜査を主任務とする警察を監理する役職である。私は大臣になっても夜12時前に就眠することはまずなかった。それでも就眠していた数時間の間にどのような事件事故があったかをまず把握しなければならない。 大臣でもニュースをみれる時は必ず観る筈である。大臣が観れない時でも秘書官などが観ていて大臣に関係することがあれば、必ずメモなどで大臣に知らせる。こんなことは当り前のことである。国家公安委員長にとっては、すべての事件事故が関心事である。そういう意味でニュースを観ることはひとつの職務であった。以来朝一番にニュースを観ることは、私の習慣になっている。犯罪や事故などは政治と必ずしも直接関係している訳ではないが、犯罪はわが国の社会の病理現象の現われである。国家公安委員長でなくとも、政治に携わる者は事件や事故に関心をもたなければならない。 大臣に就任して少し経った1996年12月18日のことであった。私はトイレに起きたついでにテレビを入れた。時間は正確でないが、午前5時ころだったと思う。午前5時のNHKニュースなのか緊急時に流されるNHKの放送なのか記憶していないが、ペルーのリマにある日本大使公邸が占拠され多数の人質が取られたというニュースが報道されていた。在ペルー日本大使公邸占拠事件の発生である。もちろん詳細はニュースでほとんど分からなかった。しかし、事は重大である。国家公安委員長の職務に直接関連する事件である。まず事実を掌握しなければならない。私は髭も剃らずに髪だけを整いて警察庁に向かった。 秘書官からもまだ連絡はなかった。私はタクシーの中で秘書官やSPに電話し、警察庁に向かっていることを知らせた。間もなくして秘書官から「警察庁ではなく首相官邸に向かって下さい」という連絡が入った。SPと会ったのは、首相官邸の入り口であった。ようやく明るくなり始めた頃であったから、午前6時ころであったと思う。秘書官も首相官邸に駆けつけてきた。首相官邸には、橋本首相と梶山官房長官が危機管理室にすでにいた。確か外務大臣もいたと思う。それ以外の大臣がいたかどうかは記憶にない。少なくとも関係する大臣はすべて集まった。しかし、地球の裏側で起こった事件である。日本の主権も及ばないところである。事件の掌握と対応は難しかった。 この事件の第一報は、外務省に入ったと思う。なぜならば、在ペルー日本大使館は占拠されなかったのだし、全部の館員が大使公邸で人質になった訳ではないから当然である。橋本首相や梶山官房長官には多分外務省から連絡が入ったのだと推測する。外務省には国家公安委員長にも連絡しなければならないというマニュアルはなかったと思う。しかし、在ペルー大使公邸は日本の領土ではないが、日本の権限も及び、ペルー国が自由に権力を行使できるところではない。こういう場所における犯罪捜査や犯罪鎮圧には、日本の警察として関係せざるを得ない。 もうひとつ大切なことは、大臣というのは“秘書官からの連絡を待ってSPを連れて行動しなければならない”というものではないことである。秘書官はあくまでも補佐官である。大臣は所掌事項の最高責任者なのである。最高責任者は、最後はすべて自分の責任で行動しなければならない。私が在ペルー大使公邸の事件を知った以上、一般のテレビ報道である。情報がそのようなものであっても、私は最高責任者として事件の全貌を知らなければならない。それには警察庁に行くのが最善と思ったから、私はそのような行動をしたのである。情報が入ったのが秘書官の連絡によるものか、テレビ報道であったかということは関係ない。秘書官が朝5時にテレビやラジオでこのニュースを知らなかったとしても、それは責められることではない。 マスコミや国会などでは、総理大臣や防衛大臣になぜ連絡が遅れたのかが問題にされている。午前5時ころにはもうこの事故がテレビやラジオで報道されたのに「防衛大臣や総理大臣がぬくぬくと眠っていた」としたら、それが問題なのである。私としては信じられないことである。総理大臣や防衛大臣に眠るなといっているのではない。総理大臣や防衛大臣も眠らなければならないであろう。しかし、彼らの関係者もすべて同じ時間に眠らなければならないのであろうか。私が問題にしているのはこのことなのである。 イージス「あたご」が海上保安庁に事故を通報したのは午前4時23分だった。このことを海上保安庁は海上保安庁詰めの記者に発表したのだろう。これに基づいてテレビやラジオは一斉に報道したのであろう。私は永田町徒然草を書くという“仕事”をしていたのでこの報道に接したが、総理大臣や防衛大臣の関係者にはこの報道に接した人はまったくいなかったのだろうか。この報道に接した関係者はなぜ総理大臣や防衛大臣に伝えようとしなかったのだろうか。私はそこが理解できないのである。 私がいう関係者とは、もっとも関係ある者は総理官邸や防衛省の情報担当者である。どちらも不寝番の情報関係者がいる筈である。また自宅にいたそのような担当者とその家人である。秘書官などはその最たるものだが、SPや運転手やその家人なども含まれる。家人がこういうニュースに接した場合には、普通の感覚でも秘書官や主人に伝えるであろう。そういうことで総理大臣や防衛大臣が今回の事故のことを知ったとしたら、ふたりとも秘書官からの連絡は遅くなったが「私はニュースで知った」と答えている筈である。その場合ふたりがどのように行動したか、ぜひ知りたいところである。 要するに福田首相や石破防衛大臣とその関係者には、責任感と緊張感がないのである。だから今回のような信じられないことが起こるのだ。これはもう“漫画”である。マスコミや野党は防衛大臣の責任だけを問題にしているが、海難事故の救助と捜査は海上保安庁である。そうだとしたら国土交通大臣はどうだったのかも問題にしなければならない。国家公安委員長も無関係とはいえない。中国製冷凍餃子の問題で述べたように、自公“合体”政権は“テロとの戦い・テロ対策”と声高にいうが、危機管理の問題に対する意識・認識はこのようにお粗末なのである。騙されてはならない。見逃してはならない。 それでは、また。 |
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