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からめ手「キューバ」を使って米国を調べるイラン
盲点としてのキューバ
日本から遠い国の1つにキューバがある。そして、キューバといって思い出すのが、独特の長いあごひげと長時間にわたる「情熱的な」演説で有名なカストロ議長だ。カリブの温かな海にあるキューバは、数少ない共産主義国家として、未だに政治的に熱い国の1つなのである。
そのキューバをめぐって最近、徐々に米国のメディアが騒ぎつつある。カストロ議長の体調が芳しくないことを踏まえて、「次の時代のキューバ」が、はたして現在の立ち位置に留まることができるのかが問題となっているのである。
しかも、ブラジルなどマーケットとして分かりやすく旨味のある、中南米の地域大国だけを相手にしたブッシュ共和党政権がまもなく終わる。その代りに民主党政権が成立することはほぼ間違いない。その時、仮にヒラリー・クリントン候補が大統領になったとしたら、キューバにとっては絶体絶命のピンチだ。なぜなら、ヒラリー女史の夫であるビル・クリントン大統領(当時)の時代に米国は、今でいう対北朝鮮制裁に匹敵するほどの厳しい対キューバ制裁を発動したからである。
米国の東部海岸あたりでは一部で、「ポスト・カストロのキューバは弱体化し、米国の52番目の州になる」という噂がまことしやかに流れているようだ。さすがにそんなことはないだろうが、民主党勢はビル・クリントン政権時代に南北アメリカに全神経を集中させる外交政策=「モンロー主義」に回帰した前科があるだけに、気が抜けない状況にある。
イランにからめ手として使われるキューバ
「いや、結局のところキューバは日本から遠いし、キューバがエマージング・マーケットであるなんて聞いたこともないのだから、気が抜けない状況などではないのでは?」
そんな声が聞こえてきそうだ。しかし、そう考えてしまうと「世界の潮目」は見えなくなる。
ポイントはキューバが米国にとって「痛いところ」に位置している点にある。60年代初頭のケネディ政権が旧ソ連と争って起きた「キューバ危機」の時からすでにはっきりしているとおり、キューバは反米国家なのに米国にあまりにも近く、かつ大きな島国なのである。同じく「反米主義」を掲げる国がキューバに同志を求め、その協力を得るのは当然であって、そのことがひいてはマネーが織りなす「世界の潮目」を動かしつつあるのだ。
たとえば2月1日付FOXテレビ(米国)は、キューバがイランのために対米諜報活動を活発にしていると大々的に報じた。今、世界は引き続き米国が喧伝する「イランによる核兵器開発問題」を信じ、中東の大国・イランそのものに関心を寄せている。しかしこの報道によれば、イランは米軍の動きをつぶさに観察できるキューバに助けを求めており、さらには生物兵器をキューバに配置する動きすら見せているのだという。
これが「真実」であれば大変な出来事だ。なぜなら、かつて米国と旧ソ連との間で起きた「キューバ危機」は、旧ソ連がキューバに対米攻撃を念頭においたミサイルを配備しようとしたことから生じたからである。まさに「悪夢の再来」とはこのことだろう。
変動する「世界の潮目」に乗り遅れるな!
もっとも、日本ではほとんど報じられていないこのニュースそのものを、現段階で「真実」として考えるのは時期尚早だろう。なぜなら、対イラン政策をめぐっては米国政府内部で明らかに意見対立があるからだ。急進派は何としてでも「イランを理由にした第3次世界大戦の脅威」を煽りたて、その結果、原油を高騰させ、地域紛争の中で武器取引を活発にさせようとしている。その方向に進むためには世界中の多くの人が「イランは非道な国家」説を信じる必要がある。「キューバ危機」を思い起こさせるのは、そのためにも絶妙な手段である可能性があるのだ。
さらに踏まえておくべきなのは、ブッシュ政権はまもなく「政権移行期」に入るということだ。米国では大統領選挙の年、法律に基づき現政権と次期政権の速やかな移行を可能とするためのファンドが公的に作られ、両者の間で活発に引き継ぎが行われることになっている。
「キューバ叩き」の前科があるビル・クリントン政権チームの流れを組む多くの人々が、ヒラリー・クリントン候補を支え始めている。同女史がいよいよ政権についた際の下準備として、ブッシュ政権がすでに動き始めていると見ておいた方が良いのかもしれない。そしてその動きの延長線上には、「モンロー主義」の下、米国の圧倒的な影響力がさらに高まった中南米諸国というエマージング・マーケットにおいて、とりわけ中心的な役割を果たす「商品(コモディティー)市場」に対する仕掛けが見え隠れし始めてはいないだろうか。
1月に相次いで刊行した新著『北朝鮮VS.アメリカ 「偽米ドル」事件と大国のパワーゲーム』(ちくま新書)、および『世界と日本経済の潮目 メディア情報から読み解くマネーの潮流』(ブックマン社)においては、こうした「ブッシュ後の世界」についても描いてみた。また、2月23、24日に大阪・名古屋で、3月8、9日には福岡・熊本で開催する無料学習セミナーでも、同じくこの点についてじっくりと語る予定である。
歴史は着実に前へ進み、同時に繰り返しつつある。今年11月の米国大統領選挙後の世界、そしてマーケットの展開を占う意味でも、米国による「キューバ叩き」への誘導はますます見逃せなくなるようだ。
[新世紀人コメント]
原田氏は米国次期大統領についてヒラリー・クリントンの可能性については少し語っているが、オバマの可能性については語っていない。
その理由は不明であるが、オバマとヒラリーとの間には米国の抱える広くて深い幾つもの課題を片つける能力について大きな開きがあるものと思われる。
オバマの突然の浮上については米国の深刻な状況が反映されているものと考えられる。
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