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民主党が「ガソリン国会」と名づけた通常国会が始まった。35年前に、揮発油税などに上乗せされた暫定税率は廃止すべし、が民主党など野党の主張。延長できなければ、年間約2.7兆円も税収が下がり、道路建設を必要とする地方が犠牲になると与党は反論する。メディアも、地方の首長や議会も、労組も、業界も、甲論乙駁、議論に参入し始めた。 もし、昨年の参議院選挙で与野党逆転がなかったら、暫定税率延長はすんなり決まり、議論どころか意識さえされなかったろう。こんな議論ができるようになったのも、「ねじれ国会」の功績である。 そもそも議会は、国王など権力者が勝手に税をかけたりしないよう、貴族や地主などが代表を送ったことから始まった。国民のどの階層、業界、個人からどのような税をどのような仕組みで徴収するか、国民の納得なしには課せられない、というのが近代社会の決まりである。だから税のあり方をめぐって、国会で国民の代表が徹底議論するのは当然過ぎるほど当然の話だが、これまでは、自民党一党支配の下、政府税調と自民党税調の中でだけ議論と利害調整が図られ、国会と国民はほとんど蚊帳の外だった。 税のあり方次第で、社会、国民の形は変わっていく。そこに不正、不平等、極端な優遇があれば、社会は歪む。いま問題の格差、貧困にしても、拡大し固定させるのか、縮小させ是正させるのか、税のあり方が大いに影響する。 ガソリン税の暫定税率の廃止は、それによってさも「地方が困る」かのような議論があるが、それは本当なのか、と片山善博・前鳥取県知事は問うている (本号「日本を診る」)。首長や議員は道路に熱心でも、住民から見るとずれている場合が多い、と。 道路特定財源は道路の建設・整備にしか使えない。仮にその分が削られたら、一般財源を一部犠牲にしてもその道路整備に当てるのか、本当にそこまでの必要があるのか、住民が真剣に考え、選択すればいい、というのである。 税の議論は、使途の議論に結びつく。道路特定財源は、国・地方あわせて年六兆円。政府・自民党は、昨年末、10年間で59兆円を道路整備に使うと決めた。「無駄な道路計画はない」と強弁するが、本当にそうか。地方ごと、道路ごとに、住民が自分の懐をある程度犠牲にしても必要としているのか、精査すべきではないか。上からただで降ってくるお金(しかも巨額の)を拒む人はいない。 道路以外の使い道、教育や医療・介護など社会保障などと比較して、なお必要であれば建設すればよい。補修しなければ危険な橋やトンネルもあるだろう。 「羊が鳴かないように毛をむしること、それが税の極意である」と国会答弁で述べたのは、中曽根首相である (1985年2月)。国民はいつの間にか、税の議論から疎外され、鳴かない羊にされていた。 道路にしか使えない特定財源をこのまま続けるのか、一般財源に転じるならガソリン税というあり方でいいのか、環境税ならもっと高い税率もありうるのではないか――。暫定税率の話から、税の在り方と使途をめぐって国民の間で議論が起きつつあるとき、毛を黙ってむしり続けたい与党は一括法にしたりつなぎ法案を提出したり、議論を封じようと躍起だ。 しかし、一度鳴き騒ぎ始めた羊が、それで静まるだろうか。この議論は必ず、次の「消費税」議論につながる。民主党がまた腰砕けにならなければ、の話だが。 ----------- |
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