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http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/74153.html
社説
背広と制服 文民統制が崩れないか(2月4日)
防衛省の組織は事務官の背広組(内局)と自衛官の制服組(自衛隊幕僚監部)に分かれている。
とかく風通しが悪いといわれるこの二つの組織を一体化しようという構想を、石破茂防衛相が打ち上げた。
インド洋での給油量取り違えミスとその隠ぺい、前次官の汚職事件などさまざまな問題が噴きだしている防衛省の体制刷新が狙いだという。
政府の防衛省改革有識者会議の議題になる見通しだが、この構想は文民統制をないがしろにしかねないものだ。軽々に議論を進めるべきではない。
現行組織は、背広組が大臣官房と防衛政策局など五局体制、制服組が統合幕僚監部と陸、海、空各自衛隊幕僚監部からなる。
背広組には防衛政策の企画・立案など、制服組には自衛隊の部隊運用という役割分担がある。かつて軍部が暴走した歴史の反省に立ち、自衛隊をコントロールしていくための知恵だ。
構想ではこれを防衛力整備、作戦、渉外(いずれも仮称)の三局に統合、再編する。
制服組が背広組の仕事にまでかかわるようになれば、防衛省内での発言力も増す。自衛隊という実力組織の人間が一線を越えて政策に関与してくることにならないか。
自衛隊の運用を担当する作戦局を見てみよう。
局長は現在の制服組トップである統合幕僚長の役割も担うというが、このポストに背広組を充てるか制服組を起用するかは、はっきりしていない。
もし制服組が就けば背広組も指揮下に入ることになる。文民統制の歯止めがきかなくなる危うさは否定できないだろう。
防衛力整備局は防衛政策や予算から装備品調達までを一手に受け持つ。
これまで政策部門は業者には敷居が高かったといわれるが、調達部門と一緒になることで癒着の土壌が広がる心配はないのか。
防衛省には大臣を補佐する参事官という背広組の役職がある。石破氏はこれに制服組を起用することも検討している。併せて制服組が国会答弁できるようにしたい考えだという。
このように制服組が国政の表舞台に出てくることにも、文民統制の原則を逸脱する危惧(きぐ)を抱かざるを得ない。国会での説明責任はあくまで政治家が負っていることを忘れてはいけない。
防衛省は先日、業者や団体からゴルフ接待を受けたり、物品を贈与されたりした幹部職員・自衛官が、前次官のほかに三人いたとの特別監察の結果を発表した。
こんな不祥事が繰り返される組織の体質を改めることこそ、防衛省の最優先課題だ。だがそれは、背広組と制服組の一体化とは別の話である。
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