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白川勝彦:これは、単なる偶然か!? = 永田町徒然草
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投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 1 月 26 日 12:51:43: mY9T/8MdR98ug
 

永田町徒然草 No.670

私は1879年(昭和54年)に衆議院議員に初当選した。私が所属を希望したのは、大蔵委員会であった。自民党の衆議院議員はふつう二つの委員会に所属させられる。法務委員会、文教委員会など多くの委員会に所属させられたが、当選後10年間は大蔵委員会にずっーと在籍した。大蔵委員会は、開催されることが多い委員会である。また一回の委員会の審議時間も長い。要するに与党議員としては、座っていなければならない時間がきわめて長い委員会なのである。省庁再編で名称は財務金融委員会となった。

かつては予算委員会で予算案の審議がもっと長かった。政府与党にとって予算を年度内に成立させることは大変だった。野党は予算委員会で現在よりもっと粘った。予算を人質にとるという言葉があった。4月の第一週くらいまでに予算が成立すれば暫定予算を組む必要はなかった。そうすると予算を年度内に成立させたといった。予算委員会は国会の花形委員会であった。テレビ中継もされた。しかし、大臣が予算委員会に縛られているので、他の委員会は開かれない。だからおおかたの議員は本当は閑(ひま)なのである。だが大蔵委員会だけは違った。

予算案と同時にその歳入を確保する税制を成立させなければならないのである。新しい税を導入する法律はそんなに簡単に成立させることはできないが、その当時も各種の税には暫定的な措置が講じられていた。それらはふつう○○年3月31日までというものが多い。それらの措置を継続する場合は、3月31日までに何らかの措置を講じなければならなかった。それらを一括して行うのが租税特別措置法の改正案である

この租税特別措置法改正案の審議が3月になると始まるのである。大蔵委員会には大蔵大臣が出席しなければ始まらない。大蔵委員会の租税特別措置法改正案の審議は、予算委員会が終わってから行われる。従って夕刻から午後10時ころまでの審議となる。大蔵大臣は予算委員会にも出席しなければならないし、大蔵委員会にも出席しなければならない。大蔵大臣というのは本当に大変なのだなぁー、つくずくと思った。いま国政の焦点となっているガソリン税の暫定税率もこのようにして30年以上も維持されてきたのである。

各種の税の暫定措置を継続するかどうかを決めるのは、年末に行われる自民党の税制調査会である。各省庁と自民党の部会でどの暫定措置を継続するか、あるいは新しい税制優遇措置を求めるかということを議論する。ここが族議員のひとつの働きどころである。私も郵政族として電気通信事業を振興するために各種の税制の創設や暫定措置の継続を求めて、自民党の税制調査会で発言したものである。電気通信産業は新しい分野だったので、暫定措置の継続はほとんどなく新しい税制措置の創設を求めるものがほとんどだった。もちろん新しい税制措置の創設は非常に難しかった。

その時の経験からいって、暫定措置の継続は普通3年とか5年というものが圧倒的に多かった。だから自公“合体”政権がガソリン税の暫定税率を10年間延長すると聞いたとき、違和感があった。そこで現在の暫定税率の存続を決めたのはいつだったか調べてみた。租税特別措置法で決められている現在のガソリン税の暫定税率は、平成5年12月1日から平成20年3月31日までである。ということは、平成5年の3月ころに行われた租税特別措置法の改正で、そのときにあった暫定税率を15年間延長することを決めたものと考えられる。もちろんそのときにも議論はされたとは思うが、今回のような大騒ぎにならなかった。

このときには大騒ぎにならなかったが、その後に自民党は“大騒ぎ”に見舞われた。平成5年7月に行われた総選挙で、自民党は野党に転落したのである。もちろん自民党の歴史で初めてであった。その総選挙の争点は、政治改革であった。選挙制度の改革であった。選挙制度の改革がなぜ政治改革につながるのか、正直にいって私はどうしても理解できなかったが、そのような“熱気”の中で自民党は野党に転落した。政治改革を主張し自民党の対極にいた議員が、なぜかいま自民党にウジャウジャいる。私はこういう議員をどうしても信用することができないのである。

平成20年3月ころガソリン税の暫定税率が延長されようとしている。今度はまさにこのテーマが焦点である。政治改革=選挙制度改革などより、税という政治の基本的テーマである。はるかに具体的であり、この問題を突き詰めて考えることにより、わが国の政治のもっとも深刻な病巣に迫るテーマである。歴史は繰り返すという。ガソリン税の暫定税率の10年間延長により、自民党がどのような命運を辿るのか。ガソリン税の暫定税率の長期延長が平成5年と重なるのは“単なる偶然”なのだろうか

それでは、また。


 

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