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http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080124-01-0702.html
2008年1月24日 週刊文春
先週十七日に退官した谷内正太郎前外務事務次官は、十年以上続く霞が関バッシングにもかかわらず、目立っても敵を作らない稀有な名物官僚として知られる。ところが、三十九年間の官僚生活を終えた去り際に、これまでのソフトイメージを裏切る不敵な挨拶で関係者を驚かせた。
まずは外務省講堂で全職員を前にした訓示。「権力の源泉はアクセスだ。外務省はパワーを持っている。私は週一回、総理、官房長官と会ってきた。皆さんもそういうことを励みにしてやって欲しい。外務省は冬の時代もあったが、冬の次には必ず春が来る。朝の来ない夜はない。耐え忍んで次の芽生えを期してほしい」
そして記者会見。「成果は出ているが、今は言えないこともある。マッカーサーではないが『老兵は死なず、ただ去り行くのみ』だ。官邸での(福田康夫首相との)やり取りは言わない。『ご苦労様』という意味に受け止めている」
端々から手掛けた仕事への自負と福田政権への不満・失望が滲んだ。
人当たりは柔和だが、政策的には「攻めの外交」が持論。対北朝鮮外交では安倍晋三前首相と圧力重視の強硬路線を進めた。集団的自衛権行使を禁じる憲法九条の解釈を見直す有識者懇談会も組織し、あとは結論を出すばかりだった。
麻生太郎元外相とは、外務省OBから「対中国包囲網と誤解される」と批判を浴びながらも、バルト諸国から中東を経て、中央・西南・東南・北東アジアをつなぐ雄大な「自由と繁栄の弧」路線をぶち上げた。「今でも麻生氏へのご注進は欠かさない」(外務省幹部)という。
自らも「戦略対話」と銘打って米・中・露・韓の各国外務次官らと精力的に行き来を重ね、「この数年は谷内外交の時代」とまで言われる。
だが、安倍退陣でそれに不意な終止符が打たれた。おまけに、後任次官の人選で意中の海老原紳インドネシア大使を首相官邸に却下された。
「耐え忍ぶ冬と夜の時」を福田外交の暗喩と聞けば、「次の芽生えを期せ」という訓示は不穏な響きを含む。とすれば、マッカーサーのせりふは「官を辞してなお在野から私も再起を期す」という「攻めの外交・続行宣言」か。「谷内氏は四月から早稲田大学の教授になるが、実際は外交ロビイストのようなことをするつもりらしい」(外交ジャーナリスト)。「谷内外交」のリベンジから眼が離せない。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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