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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008012402081884.html
『除雪もできない』『予算見切り発車』 暫定税率 自治体は必死の巻き返し
2008年1月24日 朝刊
道路特定財源の堅持を求め、ガンバロウを三唱する都道府県議会議員=23日、東京・永田町の憲政記念館で
「道路を造るどころか除雪もできない」「地方崩壊だ」。今国会の最大の焦点となった揮発油税などの暫定税率をめぐり、新年度の予算編成作業を進めている自治体が大揺れだ。暫定税率が廃止されれば、地方全体の減収見込みは約一・六兆円。予算に大穴があくことから、道路整備だけでなく、他の歳出への影響を懸念する声も強い。国会や関係省庁の周辺では、税率維持を求める総決起大会や陳情が日増しにヒートアップしている。(今村実)
「世論のご機嫌取りや選挙のための議論などもってのほかだ」(島根県雲南市長)
「地域格差が問われた参院選の結果をはき違えないでほしい」(鳥取県倉吉市長)
今月十六日、国会に近い東京・平河町のホテル。中国地方五県の市長や町長ら約八十人が、地元選出の民主党国会議員を招いて意見交換会を開いた。首長らは出席した三人の議員に代わる代わる激しい口調で、暫定税率の維持を迫った。
「国民の70%はガソリン代を何とか下げてほしいと思っている」。民主党が圧勝した昨夏の参院選で初当選した姫井由美子参院議員(岡山)はそうあいさつしたが、拍手はほとんどなし。冷ややかな視線を浴びた。
自治体の危機感の強さを反映し都内ではこうした陳情や決起大会が連日のように開かれている。
「道路整備が大幅に遅れるどころか、北海道夕張市のような財政再建団体に転落しかねない」と心配げに話すのは石川県の担当者。暫定税率が廃止されれば約百四十億円の減収(本年度当初予算で換算)となる。年間十億円近い除雪作業に支障が出るとみている。
千葉県は約三百二十億円の減収と試算。財政課の担当者は「道路整備に限らず、他部局でも大半の新規事業ができなくなる」と強調する。既に予算編成は大詰めの作業に入っており、「三月末に税率が廃止されたら、新年度に入って各事業のストップなどを決めねばならず大混乱だ。今は祈るような気持ち」と言う。
他の自治体関係者からも「来週には予算書を印刷に出す。廃止ならえらいことだが、様子を見ている余裕はない」(千葉県茂原市)、「三月議会には税率維持の前提で予算案を出すしかない」(埼玉県川口市)、「国に陳情を繰り返している」(栃木県壬生町)と切羽詰まった声が上がる。
このため、都道府県は合同で緊急対策本部を設置。二十三日に東京・永田町の憲政記念館で都道府県議会の議員らが開いた総決起大会には全国から約五百人が集まり、「道路特定財源堅持、ガンバロー!」とシュプレヒコールを上げた。
『高速道財団』解散へ 5年後めど国交相表明
国土交通省所管の財団法人「高速道路交流推進財団」(東京都文京区)が二〇〇六年度、高速道路サービスエリア施設の売却で三百八十億円の収入を上げていた問題で、冬柴鉄三国土交通相は二十三日の参院本会議で、五年後をめどに解散すると表明した。工藤堅太郎議員(民主)の代表質問に答えた。
同財団は〇五年の道路公団民営化で、サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の運営から撤退。全国に保有していたテナント施設を民営化した高速道路会社に約三百八十億円で売却した。現財団は約三百四十億円を国債などで運用、地域の観光支援事業などを行っている。
工藤氏は「公益法人は役割を終えれば解散するのが筋だ。財団は国交省の天下り先で、利権温存が狙いと勘ぐられても仕方がない」と指摘。冬柴国交相は「財団は保有資産を活用して高速道路利用者への利益還元を実施してきたが、一層目に見える形で還元するため、学識経験者による第三者機関を設置して、資産の使途を決定した上で解散する」と述べた。
住民の本音は別
元鳥取県知事の片山善博慶応大大学院教授(地方自治論)の話 首長らの話だけ聞くと、地方で揮発油税などの暫定税率の維持を望む熱気が高まっているようにみえる。しかし、地方の多くの住民はドライバーでもある。大方は「道路建設の速度は多少落ちても、ガソリンの値段を下げてほしい」というのが本音ではないか。今、道路を計画通り造り続けないと地域がひっくり返るということはない。
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