★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK46 > 374.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.amakiblog.com/archives/2008/01/23/#000684
2008年01月23日
欧米から悪者扱いされる日本の調査捕鯨
読者の皆さんにはあまり興味ないかもしれないが、私が外務省にいたときに個人的にかかわった仕事であったので少し書いてみた。
19日の朝日新聞の「ニュースがわからん!」は国会議員の「文書通信滞在交通費」についてであった。23日のそれは「調査捕鯨船が抗議受けてるけど?」という記事だ。
先日、豪州についで英国の反捕鯨活動家が日本の捕鯨船に乗り込んで抗議活動を行うという事件が起きた。この事について、「どっちが悪いの?」という質問に、次のように答えている。
・・・制止を阻止して乗り込んできた活動家の身柄を拘束するのは当然といえば当然。しかし欧米主要国に多い反捕鯨派の反撥を受けて欧米では日本は悪役扱いされている。
国際捕鯨委員会(IWC)加盟78カ国のうち捕鯨支持は36カ国、反対派は42カ国とほぼ二分状態・・・87年以降販売目的の漁業としての商業捕鯨は一時停止したが調査捕鯨は認められている。しかし日本はどこの国にも属さない南極海で調査捕鯨を続けていることもあり批判は強い・・・商業捕鯨停止から20年が過ぎて日本国内の消費は細る反面、調査捕鯨による捕獲量は当初の4倍に増えた・・・ 調査費用54億円の1割は国の補助金で、9割は鯨肉の販売収入だ。鯨肉を売るため、水産庁は新会社の設立を後押しして、学校給食などでの消費拡大に必死なんだ・・・(商業捕鯨が再開される見込みは)歩み寄りは望めない・・・
どうだろう。これを読んでも捕鯨反対派と賛成派のどっちが正しいかさっぱりわからない。
実は私は95年―97年に、豪州の日本大使館に勤務していた。その時政府代表の一人としてIWCの会議に参加したことがある。とはいっても主導権は日本の水産庁にあるので外務省はその方針に従うだけだ。水産庁は今も昔も徹底して商業捕鯨推進派である。
推進派と反対派に対立は、もはや単に経済論、科学論にとどまらず、政治的、文化的、宗教的問題が絡んだ根強い対立になっている。たとえば鯨を絶滅の危険から救うために乱獲するなという立場と、鯨が増えすぎて海洋資源を食い荒らすから除去すべきという正反対の立場があり、鯨は高等動物であり殺して食するのは野蛮だという立場と、それでは牛や豚はどうか、豪州に至っては国のシンボルであるカンガルーまで食っているではないか、などという食文化的、感情的、対立までに発展している。
さすがの私もこの問題については判断しかねる。今回の英国、豪州の抗議行動はとても容認できない。さりとて何故ここまで日本の国際的イメージを傷つけてまで捕鯨に固執するのかという気もする。朝日が書いているように、鯨肉の消費が細る一方で漁獲量が4倍にも増える理由はどこにあるのだろう。反捕鯨国は米・英・豪・独・仏など欧米主要国だ。欧米主要国のすべてを敵に回してここまで頑張る外交テーマがかつてあっただろうか。
実は日本の捕鯨の最大の弱点は、調査捕鯨であると称して商業捕鯨を行っているという事実である。この事は外務省条約課長自身がこれを認めている。条約違反を続けなければならないほど捕鯨は国益なのか。朝日の記事は一言も教えてくれない。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK46掲示板
フォローアップ: