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2008年01月22日
もう一度言う。ガソリン国会で何が悪い
ガソリン暫定税率の是非をめぐる論評が一斉に始まった。うんざりさせられる。これは手のいい目くらましに違いない。
私は19日のブログで今度の国会で野党がとるべき戦略は、ガソリン値下げの実現を迫るだけで十分だと書いた。それは勿論極論である。しかし、極論ではあっても正論なのである。もはや普通の事をやっていてはこの国の政治の無力を打破することはできない。山積する諸問題を解決できない。庶民の窮状を救うことはできない。その事について、再度書く。
「良識的」な人たちは言うかもしれない。たかがガソリン価格を25円引き下げただけで国民生活がどれほど楽になるのかと。それよりも年金、医療、格差、環境、特殊法人改革など、より重要な問題を国会で堂々と議論して解決することが先決であると。
これはもちろん机上の論理としては正しい。しかしそれは、自公政権と官僚に支配されて来たこの国の政治の現実を捨象した空論である。この国の国会論戦において、いまだかつて議論の優劣で政策が決まったことがあったか。メディアが政治色抜きの正確な報道を国民に提供したことがあったか。マニフェストといい、論争といい、国民がそれを詳しく聞いて政党の政策の是非を判断した事があったか。決してそうではない。
テレビの政治討論番組を見るがいい。与野党の立場にわかれて繰り広げられるテレビ論戦の、どの一つをとっても、議論の歩み寄りで政策の一つでも合意されて終わったことがあったか。すべては言いっぱなしである。同じ議論の繰り返しである。
なぜか。相手の言うことに利があると思っていても決してそれを認めようとしないからである。それを認めると政治的敗北になるからだ。だから自分の言っている事が間違っていても正しいと言いい、相手の言っていることが正しくても間違いだといわざるを得ないのだ。自分に都合のいい物事の一面だけを殊更に強調し、相手の言うことには耳を貸そうとしない。その繰り返しである。
それがテレビ番組であれば笑ってすませることもできる。番組担当者や評論家はそれで飯を食っている。番組をつくり続けなければならない。視聴率を稼ぐためには喧嘩したほうが面白い。しかし国会論議においてさえ同様の事が繰り返されている、それが問題なのだ。与野党の論戦からは決して国民のための正しい政策はうまれてこない。
22日の各紙は、社会保険庁が、窓口対応を見直して、年金記録の本人確認にヒントを与える方針を決めたと一斉に報じている。これは論議の末に、その論議に負けて社会保険庁が方針を変えたのではない。知っていても教えなかった、その不埒な内部マニュアルがばれて国民の怒りをかったから変更しただけである。薬害救済措置の政治決断はどうか。沖縄教科書検定の見直しはどうか。それらは決して詳細で緻密な論議の結果、政府・官僚がこれまでの政策の間違いを認めて変更したのではない。無責任な行政の結果命を奪われた人たちが立ち上がり、軍国主義に捨石にされた沖縄住民の11万人の抗議集会におそれをなして、政府が動かざるを得なかっただけである。
問題山積の中で、政局争いに奔走している時ではないという声が巷に溢れている。しかしこれまでのあらゆる政治課題で、政争がらみでないものが一つでもあったか。
重要な問題であればあるほど政争と切り離せないのである。ガソリン暫定税率撤廃の賛否に関するおびただしい論評の多くが、政府・与党支持のメディアと民主党・野党支持のメディアに分かれていることもそれを如実に示している。自公政権にとってガソリン税率引き下げ問題は実は大問題なのだ。
自公政権は言う。暫定税率を撤廃すると2兆6000億円の税収減になると。語るに落ちるとはこのことだ。ガソリン税だけでそれだけの金額を国民から搾り取っていたのだ。その金をえさにして建設業界を利権誘導してきたのだ。
民主党は「ガソリン値下げ隊」などと浮かれる。そんなパフォーマンスをしているから国民の心に届かないのだ。困っている庶民のために本気でガソリン値下げを実現しますという真摯な姿勢をしめせ。
社民党は環境税などという。環境も大切だ。しかし今声をあげるのは、これ以上いかなる増税も許さないという主張ではないのか。本気で庶民の痛みを感じているのか。
すべての経済政策について言えることであるが、一つの政策が与える影響は、経済的余裕のある層、その政策によって直接裨益する特定層と、日々の生活に追われている層、その政策から直接に利益を受けない一般層、との間によって受け止め方が違う。それどころか利害が反することすらある。だからこのガソリン価格引き下げ政策も、国民によって受け止め方は二分されるだろう。しかし政治にとって重要な事は、多数の弱者の利益をまず守るという事でなくてはならない。恵まれている国民は恵まれていない国民に思いを馳せなければならない。今の日本に求められている事はその事だ。
もう一度だけ繰り返す。今回のガソリン国会で、ガソリン価格の引き下げ一つ実現できないようであれば、年金問題をはじめとしたその他のより重要な諸問題は、何一つ弱者の為になる方向で解決されることはないだろう。
政治家たちは、党利・党略、政権あらそいもいいが、その前に、まず一般庶民のための政治を実現してみせろ、ということである。
ガソリンからはじめよ、まずガソリンの価格を下げてみよ、である。
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