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【沖縄タイムス】
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080120.html
社説(2008年1月20日朝刊)
[裁判員報道指針]
「真実」伝える機軸として
来年五月までに導入される裁判員制度を前に、日本新聞協会は「裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針」を公表した。
裁判員制度は、殺人や放火などの重大な刑事事件に一般人が参加し、裁判官とともに審理して有罪か無罪かを判断する新しい制度だ。
死刑を含む量刑を一般市民が判定するのだから、捜査段階で裁判員になる人が報道による予断を持っていたのでは公正、公平な裁判はできないのではないか。そのような懸念に応えるために新聞協会がまとめた。
注目してもらいたいのは、「公正な裁判と報道の自由の調和を図り、国民の知る権利に応えていく」ことを指針の柱に据えていることだ。
その上で(1)被疑者の供述内容(2)対人関係や経歴(3)識者コメント―などを報ずる際に被疑者が犯人であるという印象を読者や裁判員にもたれないよう配慮していくことも確認した。
憲法は公正な裁判を保障するとともに報道の自由も保障している。だが、この問題では、裁判の公正を妨げるとして事件報道を規制しようとする動きがあった。
これに対し、私たちは表現・報道の自由を侵害し、民主主義社会の発展に逆行するものとして異を唱えてきた。
事件報道でも、私たちはこれまで客観的事実を多角的に掘り下げ、正確に伝えるとともに被疑者の人権に配慮して公正に報道するよう注意してきた。
事件を細かく取材し報道することは事件の真相解明につながる。同時に社会不安を解消し、再発防止にも役立つと考えてきたからだ。
法規制に反対した理由は捜査が適正に行われているか監視し、裁判についても同様の目でチェックしていく役割があるからにほかならない。報道指針はそのための機軸になる。
この姿勢は公器である新聞の使命として培ってきたものであり、裁判員制度が始まっても変わらずに実行していこうと思う。
指針が指摘するように「公正な裁判はメディアの取り組みのみによって保障されるものではない」。
裁判官や検察官、弁護人の法廷活動に加えて新たに裁判員もその一翼を担うことになるのであればなおさらだ。
制度導入は一年余に迫ったが、裁判員について国民の間に十分浸透しているとは言い難い。
裁判員が予断と偏見を持たず、証拠に基づいた判断ができるようにするために求められるのは何か。新聞も自らの検証を怠ってはならないが、法曹界が解決すべき課題もまた多い。
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社説(2008年1月20日朝刊)
[パワハラ調査]
防止策の確立急ぐべき
県高教組が昨年、県立高校と特別支援学校の教職員を対象に行ったアンケートで、管理職などからのパワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)に苦しむ教職員の訴えが多数寄せられていたことが明らかになった。
県高教組によると、八十二分会で昨年七月から調査を始め、同十月までの集約で実際にパワハラを受けた経験のある教職員を中心に二十四分会の百五十一人から回答があったという。
「職員を校長室に呼んで、職員会議で発言しないように圧力をかけた」「酒席で女性職員が教頭にひざをさわられ困っていたので先輩職員が間に入って救助した」など、あからさまなパワハラ、セクハラの事例に驚かされる。
調査からは男性よりも女性、年配よりも二十代から三十代、正職員よりも臨任教諭(職員)が被害に遭っているというから、より深刻だ。強い立場からより弱い立場に向かう嫌がらせは「いじめ」の構図とよく似ている。
県教育庁は「事実であれば由々しき問題」とし、「情報を提供してもらった上で指導したい」としている。だが、調査結果の公表については「背景や両者の言い分を聞かないでの公表はおかしい。今後校長らは何も言えず学校運営に支障が出る」と批判的だ。
確かに、調査結果の精査は必要だろうがその前に、県教育庁は百五十一人の教職員の切実な訴えに耳を傾け、パワハラやセクハラの防止策を打ち出すべきではないだろうか。
二〇〇六年度の教職員の病気休職者は三百六十七人で、〇五年度比で七十四人増えた。そのうち、精神疾患による休職者は百五十一人で、全体の約四割を占める。病休者の増加は、学校現場や社会構造の変化などさまざまな要因が絡んでいるとみられ、一概には言えない。しかし、県内では校長のパワハラが原因で教職員が病休し、鹿児島県では自殺したケースさえある。
県教育庁は、教育現場の実態把握を早急に進め、セクハラやパワハラのない職場づくりを急ぐべきである。
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