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国政選挙に電子投票制度を導入する動きを警戒せよ(天木直人のブログ)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 1 月 15 日 12:02:12: twUjz/PjYItws
 

http://www.amakiblog.com/archives/2008/01/15/#000670

2008年01月15日
国政選挙に電子投票制度を導入する動きを警戒せよ


 毎日ブログを書いていると読者から次はこういうテーマで書いてくれという依頼がよく寄せられる。私にあらゆるテーマをカバーする専門的知見と無限のエネルギーがあればそれらの要望に応えることも可能だろう。しかし、残念ながらそうではない。世の中の山とある不正、不条理、暴政、欺瞞のほんの氷山の一角を、独断と偏見で選んで好きなように書く。それがこのブログのすべてである。
 今日取り上げる電子投票制度の導入も読者から書くように要望されていたテーマの一つであった。それを書く気になったのは、15日の毎日新聞「クローズアップ2008」において、電子投票の不安が大きく問題提起されていたからだ。
 その記事を読んで、わが国の国政選挙に電子投票制度が導入される動きの不当さ、不純さを、あらためて認識したからだ。どうしてもこのブログで書きたくなった。
 私が毎日新聞の記事で特に注目したのが、この制度をいち早く導入した米国において、すでに不正疑惑が問題となり、その信頼性が大きく揺らいでいるという事実である。毎日新聞の記事はこう書いている。

 ・・・「タッチパネル式投票の長所は、その不透明性(という短所)に打ち消されてしまっている」。カーター元大統領とベーカー元国務長官が共同議長を務めた超党派の「連邦選挙改革委員会」は05年の報告書で(そう)結論づけた。
   タッチパネル式投票機の普及率が4割近い米国では、近年、電子投票の信頼性が大きく揺らいでいる。04年の大統領選挙では、住民の8割以上が民主党の地域で共和党のブッシュ大統領が勝ったり、投票者数が638人だったのにブッシュ氏が4258票を獲得した例があった。大手投票機メーカー2社と共和党の関係が深く、投票機が共和党に有利に設計されていたのではないかとの疑惑も報道された。
  今月8日の大統領選のニューハンプシャー州予備選では電子投票集計がヒラリー・クリントン上院議員に有利に行われているのではないかとして、同じ民主党候補の一人クシニッチ下院議員が再集計を申請した。
  連邦選挙改革委員会は投票者が自分の投票を確認でき、再集計も手作業でできるよう、投票ごとにレシートのような記録紙が打ち出されるタッチパネル式投票機の導入などを提言した・・・

 ことごとく米国を後追いする日本政府が、この米国の動きにもかかわらず今頃になって国政選挙に電子投票を導入しようとしている理由はどこにあるのか。誰もが抱く疑問である。
 毎日新聞によれば、このきっかけを作ったのは、電子投票機を製造・販売する中小企業の連合体である「電子投票普及協業組合」なる団体だという。選挙のたびに登場する選挙コンサルタントの一人宮川隆義氏が理事長をしている組合であるという。選挙コンサルタントといえば聞こえは良いが、政界に出入りし選挙が近づくたびにマスコミに予想を流す選挙業界人である。その組合が、超党派の電子投票推進議員連盟「電子式投開票システム研究会」の結成(93年)に奔走したというのだ。
 その結果、一部の自治体選挙で2002年から電子投票が試験的に導入された。ところが集計トラブルが相次ぎ、廃止する自治体も出てきた。そんな電子投票制度が、なぜ今になって急に国政選挙に導入されようとしているのか。
 政府・与党内にも慎重論があって長年先送りされてきたものが、電子投票推進議連幹部の中川秀直氏が自民党の幹事長に就任したことにより急に機運が高まったという。そして07年6月に議員立法の形で急いで改正案が国会に提出され、今にも成立しそうになっていたのだ。私が読者からブログで取り上げて欲しいとメールを受け取ったのも丁度その時であった。そのメールの発信者はまさに正しく、危機意識を持っていたのだ。
  こうして過去の経緯と関係者の顔ぶれを見るだけでも胡散臭い法案であるが、問題はそれがこれまでほとんど大きな報道とならず、関係者の間だけでどんどんと進められていたという事実である。
  幸いにも昨年12月の参院政治倫理・選挙特別委員会で民主党の中村哲治議員が@不正の検証手段が無いA機器のトラブルで記録が消えた時の全国的な影響が大きいB特殊な機器であり限られた業者に利権をもたらす危険があるという、至極もっともな質問をし、提案者の一人である原田義昭衆院議員(自民)が満足に答えられなかった為、今国会での採択は見送られ継続審議となったという。
 選挙で勝てそうもないとわかれば得票をごまかすのが古今東西の政治の例である。皮肉を込めて言うのだが、まさか選挙道徳の進んだ日本の政治家がそのような忌まわしい事を考えているとは思わない。
 しかし、いくら解散・総選挙を引き伸ばしても勝てそうもないとわかればどうか。あらゆる手を使って勝とうとする、それが権力の甘味を知った政治家の常である事も、やはり古今東西の例が示すところである。
 この毎日新聞の記事で、もはや自公政権は電子投票法を急いで成立させることは出来なくなったに違いない。下手にそのような動きをすれば、その真意を疑われる。強行すればますます選挙に勝てなくなる。
 今後この電子投票制導入の動きをメディアが注視して大きく報道してくれる事を期待する。 


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