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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011590071246.html から転載。
【社会】
施設売却で380億円 国交省の天下り先「財団」に巨額収入
2008年1月15日 07時31分
国土交通省所管の財団法人「高速道路交流推進財団」(東京都文京区)が2006年度、全国に保有していた高速道路サービスエリア施設を旧日本道路公団の業務を引き継いだ各高速道路会社に売却して、約380億円の収入を上げていたことが明らかになった。財団の前身は1960年代から施設事業を独占。道路公団民営化で事業から撤退したが、解散せずに存続した。財団は同省の有力な天下り先で、独占事業で築いた巨額の施設資産を継承するために存続した疑いがあり、批判が集まりそうだ。
高速道路のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)は、1965年に設立された同財団の前身の旧「道路施設協会」が運営を独占。協会にはレストランや売店などの出店業者から、毎年数百億円のテナント料収入があった。
協会はこの巨額収入で全国にSA・PA施設を次々と建設したが、独占事業への批判が強まり、旧建設省は98年、協会を「道路サービス機構」と「ハイウェイ交流センター」の2つの財団法人に分割した。
さらに道路公団民営化議論を受け、国交省は03年3月、両財団の事業からの撤退を決める一方で、組織としての存続を決定。民営化した高速道路会社に事業を移すため、両財団は06年4月、SA・PA施設を売却した。両財団の職員は、大半が施設売却時に高速道路会社の子会社に移籍している。
譲渡価格はサービス機構が約187億円、交流センターが約194億円。サービス機構は06年3月末に「高速道路交流推進財団」となり存続、その後、交流センターが07年1月に売却代金を推進財団に全額寄付し、最終的に解散した。
推進財団では、計約381億円の売却代金のうち、約340億円を国債中心に運用。06年度は約4億円の利益があり、地域振興や交通遺児支援などの事業を行っている。現在の理事長は旧建設省総務審議官から道路公団副総裁を経て2度目の天下り。常務理事は公団OBが務める。
元道路公団幹部は「財団は公団の代わりに事業を独占して財産を築いたのだから、役割を終えた段階で、施設を道路会社に返還し、解散すべきだった」と話している。
■再就職先目的でない
国交省道路局高速道路経営管理室の話 財団法人は存続したが、施設事業からは撤退しており、再就職先の確保が目的ではない。施設売却益を高速道路利用者に還元するために存続した。
■利用者へ便益を増進
高速道路交流推進財団の話 2003年3月の国交省の財団見直し方針に基づき、資産の譲渡代金を運用して高速道路利用者の便益増進のための事業を行っている。
■民営化の裏 官がレール
<解説> 旧日本道路公団の民営化に伴い、380億円もの資金が国交省の天下り先の公益法人に転がり込んだのは、同省道路局が描いたシナリオだ。
小泉政権下で公団改革案を検討した有識者による「民営化推進委員会」は、2002年12月の最終報告で、「サービスエリア施設は新会社が継承し、財団法人は解散する」と結論づけた。
ところが、国交省は翌年3月、財団の撤退には同意しながら、その後については「保有資産を活用して公益事業を行う」と存続を決めた。
公益法人は利益の追求を目的としないため、役割を終えれば解散するのは当然だ。職員は大半が施設を取得した民営化会社に移ったため、雇用問題はクリアされていた。公益法人が解散すれば、財産は本来、国に返還するか、類似法人に寄付することになる。財団が存続したのは利権温存が目的だった疑いがある。
財団は高速道路利用者に利益還元するとして存続した。だが、現在の事業は、たとえば地域の観光振興策に最高3千万円を支援するといった、補助金ばらまきのような側面が否めず、幅広く利用者の公益になっているかも疑わしい。
巨額資産の取り扱いを含め、道路公団改革の成否と実態を検証する必要がある。 (社会部・杉谷剛)
(中日新聞・東京新聞)
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