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日本人を日本人たらしめるのは国家でも血でもなく、日本語なんです。その日本語でもって最高の思考ができるよう護るべきです。
http://www.asyura2.com/08/reki01/msg/456.html
投稿者 TORA 日時 2009 年 2 月 27 日 14:31:25: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu186.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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日本人を日本人たらしめるのは国家でも血でもなく、日本語なんです。
その日本語でもって最高の思考ができるよう護るべきです。

2009年2月27日 金曜日

◆日本語は奇跡の言葉:水村美苗(小説家)(1) 2月20日 Voice
http://news.goo.ne.jp/article/php/life/php-20090219-04.html

尾崎 いわゆる活字離れ、文学離れが70〜80年代に進み、90年代後半にはインターネットが爆発的に普及して、世界的に言語の状況は変わりました。このままインターネットに乗って、世界中の「知」が英語に翻訳され、英語の図書館に吸い込まれていくのを、日本人は傍観しているしかないのか――。それが水村さんの表された懸念の1つです。けれども大方の日本人は日本語でしかネットにアクセスしませんから、英語が刻々と肥大しつつある状況を、傍観すらしていないでしょう。

水村 そうだと思います。グローバリゼーションというと、ふつう資本や商品、そしてビジネスマンの移動など、経済に伴う行為をイメージしがちですが、本当は目に見えにくい抽象的なレベルで起こっていることのほうが重大なんです。

ビジネスで英語を使う必要があるということは目に見えます。でも、この日本においても、自然科学者は英語で論文を書くのがすでに当たり前になっている。それは国内にいても頭脳流出している状態ですね。目に見えにくいことですが、同じことがほかの分野でもすでに少しずつ起こりつつあるのです。

日本は、学問を行なうことができるレベルにある「国語」を近代の初めに確立することができた数少ない非西洋国です。そして、その国語でもって優れた小説 が書かれた。国語のレベルを維持することがどんなに重要な課題か。それは今回の評論でもっとも伝えたかったことの1つです。

たとえば、けさも海外のドキュメンタリー番組を見ていたら、こんな場面がありました。パキスタンの下士官が、取材しているジャーナリストに向かっては英語 で説明しながら、自分の部下には地元の言葉で命令している。パキスタンは、かつては大英帝国の一部ですから英語を操ることができる層が厚くって当たり前で すが、多重言語社会であるがゆえに、日本のような国語は機能していません。このような社会では、この先、英語と現地語という二重言語化は避けられない可能 性が高いと思います。ところがさまざまな歴史的条件に恵まれ、近代日本は日本語という国語をつくることができた。それを日常会話と区別がつかないような書 き言葉にして、現地語に退化させるのは、本当にもったいないと思います。

尾崎 若い人の活字離れがますます進んでいる、漢字が書けない、日本語が乱れている、とぼやきはしても、「日本語が亡びるのではないか」という想定はしていませんでした。世界的な規模で進む21世紀の問題として捉える観点を、今回の評論によって示されなければ、これほど重大な問題なのに、ずっと見過ごされていたかもしれません。

水村 日本語は話し言葉としても、書き言葉としても、日本にある程度の人口数さえあれば、当然残ります。ただ、このまま書き言葉を劣化させてしまうと、最悪の場合は、「このbookをyour houseにbringします」というふうにもなりうるのです。いまだって「ゲットする」なんていいますし、日本の雑誌はもちろん、映画のタイトルだって、カタカナのものが増えてますね。どこでも大衆文化というのは、グローバル化します。いまはアメリカが覇権文化であるがゆえに、全世界で大衆はアメリカ化しているわけです。しかも、若い、教育を受けていない層ほどグローバル化に無防備です。

ただ、私が悲しいのは、日本では文部科学省や知識人までもが、国語の将来に危機感をもたず、対策も立てていないことです。国語の教科書のあの薄さに、端的にその姿勢が表れています。古典のみならず、近代文学をもちながら、学校でこれほど自国の文学を読ませない国はないでしょう。(中略)

尾崎 水村さんの主張は、英語が覇権を握ったのだから、日本人全体のバイリンガル化をめざして英語を第二公用語にすべきだ、それが日本の国益にもかなう、といった提言ではないですね。あくまで近代に思考の道具として確立した日本語の消滅を恐れる「憂国の書」である、と。

水村 そうです。最後の章に、国家への提言のようなものがあるのです。英語の世紀に入ったとは、2つのことを意味する。優秀な英語の使い手を育てなくてはならないことと、日本語を護らなくてはならないこと。日本の指導者たちは、その2つとも、まったく理解していない。だから、中途半端に、日本人全体のバイリンガル化をめざしたりします。

すべての日本人が2カ国語を使いこなせるというのは、理想です。というよりも、地球のすべての人が数カ国語を使いこなせるというのは、さらなる理想です。そして、18世紀、19世紀のヨーロッパにおいては、事実、知識人たちは、ヨーロッパ語を数カ国語使いこなせた。ヨーロッパ語はそれぞれ近い言葉ですから。でも、世界がグローバル化し、アジア、アフリカ諸国が世界の対話のなかに入ってきたとき、母語のほかにいくつかの言葉を学ぶというのは、少数の例外的な人たちを除いては困難ですし、不経済です。当然、英語が世界を結ぶ共通語としてドミノ倒しのように広がっていくとしか考えられません。

しかし、日本のように、日本語を使う母集団が多い国では、内需が多いから、すべての日本人が2カ国語を使いこなせるようになる必要はない。それどころか、日本人全体のバイリンガル化などをめざしたら、国語としての日本語が亡びるだけでなく、この先、日本にとって必要となる優秀なバイリンガルが育たない。ある程度の層の優秀なバイリンガルを育てるのにはお金と時間がかかります。

尾崎 インターネットの弊害も出てきそうですね。

水村 ええ。いつかオンラインで、誰でも何でも検索できるようになると思います。私がこの本のなかで「大図書館」と呼んでいるのが、そのデータベースのことですね。すべての国語にとっての悲劇は、この「大図書館」のなかで、英語で蓄積される情報量がさらに突出していくであろうということです。人々はさらに英語に惹かれていくでしょう。

尾崎 英語のデータベースが肥大化する陰で、世界中で6000語はあるとみられている少数言語は、いま、2週間に1つのペースで消滅しているという報告もあります(『消滅する言語』D・クリスタル著、中公新書)。

フランスでは1994年に国語を護るために外国語の使用を制限するトゥーボン法を制定するなど、EU各国では自国語の存亡の危機を大いに自覚し、対策を実行に移しつつありますが、それはどの程度、効果を期待できるでしょうか。

水村 ヨーロッパの言語はそれでもまだ、英語と地続きですから、自分の国の国語で書かれた古典を読み、書き、そのうえで英語も使いこなすという二重言語者が、ある程度の厚みをもって育っていく可能性はあると思います。そうすれば、それらの国語は生きつづける。でも、他国への影響力は、英語の翻訳を通じてしか期待できなくなるでしょう。しかも、学問は、自分の同胞へ向かって書くことに意味があるもの以外は、英語で書くようにならざるをえなくなるでしょう。

英語は、学術論文における文化の基軸通貨として揺るぎない地位を獲得しつつあります。それを証明するかのように、最も優秀だとされる世界の上位20大学のうち17校がアメリカに集中しているという数字があります。ノーベル賞受賞者の7割がアメリカの大学で教えているという数字も。でもこれから世界中の大学院や研究機関が、英語を「基軸通貨」として使い始めると、アメリカに一極集中する必要は少なくなってくるかもしれません。フランスのパスツール研究所だって、いまや英語で出版しています。

ただ、フランスは自国語を護る政策に熱心なあまり、かえって面倒なこともありますね。パスツール研究所は私立だから英語に移行するのが可能だったんです。たとえば、国の援助金が出た場合、海外で論文を発表する場合、同時通訳を付けてフランス語で行なわなければならなかったりする。かつてフランス語が国際会議で公用語の地位を占め、外交の中心だった時代の記憶が、現実に対応する邪魔をしている。

尾崎 シンガポールやインド、それから中国や韓国のほうが、英語教育は国際社会の現実の場面において広く着実な成果を上げているように感じられますが、水村さんのご本によると、日本の言語的孤立の背景にも、フランスに通じる“伝統的な”理由があるようです。とはいえ、国際会議へ出席する機会のある国会議員クラスの政治家ならば、英語でコミュニケーションできなければ、日本の国益を損なう恐れさえある時代のようですね。

水村 もちろんそうです。日本の政治家はもう本当にひどいと思います。その閉鎖性はヨーロッパの中にあるフランスとは比べられません。私が最初にフランスに行ったのは70年代で、当時英語を話すフランス人というのはじつに少なかった。それがいま、指導者の立場にいるフランス人は、あれよあれよという間に英語を使えるようになってきている。驚きます。フランスは、過去の栄光は栄光として、なんとか現実に対応している。

そのような対応に引き換え、日本の対応は心細いかぎりです。日本語で充足していて、外のことがわからない。言語的な孤立の恐ろしさは、二重にあります。世界に向けて発信できないから、日本について間違った言説が流れても正せないのが1つ。被害者意識をもちやすく、排他主義に陥りやすくなる危険があるのがもう1つです。

尾崎 では、私たちは今後、どういう態度で「英語の覇権」を受け止めればいいのでしょう。

水村 2つの政策をとる以外にないと思います。1つは日本人全体のバイリンガル化などを漫然とめざすのをやめ、一部の優秀なバイリンガルを育てる。2つは、国民教育を通じ、日本語をしっかりと護る。

日本語というのは、じつに幸せな道を辿った書き言葉だと思うんです。中国大陸からの距離があったおかげで、漢文を学んでからしばらくするうちに、教育を受けた男の人たちも自分たちの言葉で書くようになった。江戸時代になると、非西洋の国としては例外的に印刷資本主義が発展し、識字率が高くなり、その書き言葉が広まった。そして19世紀、西洋列強の植民地にならず、西洋語からの翻訳を通じて、近代的な国語としての日本語が生まれた。先の大戦に負け、アメリカに占領されても、日本語は生き残ることができた。

そうした奇跡的ともいえる歴史の幸運が重なって、いまの日本語という書き言葉ができたのです。

日本は、いまはまだ1億3000万人もの母集団をもつ言語です。少子化問題は深刻な問題ですが、いま、まだ日本語が高度な言葉として機能しているあいだに、それを護ることが、日本語と日本の文化を護ることにつながると思います。

日本人を日本人たらしめるのは国家でも血でもなく、日本語なんです。日本語そのものが、日本と世界との交流の産物であり、その日本語でもって最高の思考ができるよう護るべきです。それは、人類の文化の豊かさを護ることに通じます。もちろん、優れた日本語の書物が訳されるのは好ましいことですが、究極的には、日本語を母語としない人でも日本語で読み書きしたくなるような言葉でありつづけてもらいたい。


◆日本語のブログの投稿数、すごっ! 英語に次いで世界第二位 英語と言っても、アメリカやイギリスだけじゃないわけですから。 2007年3月22日 株式日記


(私のコメント)
インターネットの時代になって英語のグローバルスタンダード化が進むような意見がよくありますが、本当にそうなのだろうか? 国連の統計によれば世界のウエブサイトの8割は英語で書かれているそうですが、ブログ投稿数においては日本語で書かれたものが37%で一番多くて英語は36%で第二位で、インターネットに利用割合から見ると日本語と英語が二大言語ということになる。

もっとも質的な面では日本語のブログは日記的なものが多くて、携帯電話から数行のコメントを書いただけのものがほとんどだろう。しかしインターネットの利用環境が世界で一番整っているという事の証明でもあり、インターネットが普及すれば英語がグローバルスタンダード化して行くと言う予想は間違っているのではないかと思う。

確かに現在は学術論文などでは英語がグローバルスタンダード化していますが、この傾向はますます強まるのだろうか? 「学術論文 英語」でググッテ見ると英語翻訳業者のサイトで埋まっています。これらは英語から日本語に訳す業者ではなくて日本語から英語に英訳して校正する業者です。

英語を日本語に訳すのは翻訳ソフトの普及などでずいぶん楽になりましたが、日本語を英語に訳せる翻訳ソフトが無い。英語に訳せてもちゃんとした英語ではなく意味が正しく通じない。だから「株式日記」を英語でやろうと思っても断念せざるを得ないのですが、いくら英語を勉強しても英語を訳すのは出来るようになるが、日本語を正しい英語に訳すのはネイティブスピーカーに校正してもらわないとできない。

もちろん意味さえ通じればいいといった日常会話のレベルは別ですが、文学作品や学術論文となると翻訳者のレベルに左右されてしまう。英語使いの達人といわれる新渡戸稲造ですら「武士道」を英語で書きましたが、婦人となったメリー・エルキントンに校正してもらっている。理系の学術論文なら多少の文法の間違いは致命傷にはならないが、専門用語の使い方は専門分野に精通していないと訳しようが無い。

「株式日記」でも英語のウエブサイトを日本語に翻訳して紹介していますが、正しい日本語に校正するのは自分で出来る。しかし正しい英語に校正する事は米英で生まれ育ったような人でないと出来ない。意味は通ずるが間違った英語では小説家にはなれない。カズオ・イシグロは英語の小説家になりましたが、イギリスで育った為に日本語が出来ない。

だから世の中には完全な英語と日本語のバイリンガルなどありえないのですが、小説家の水村美苗氏は12歳でアメリカに渡りイエール大学でフランス文学を学んで博士課程まで修了した人ですが、英語ではなく日本語の小説家になった。現代ならインターネットがあるから欧米で生活しても日本の事がよく分かりますが、90年以前は海外に出たら日本のことが分からなくなってしまう。

英語で小説を書けばベストセラーになれば世界中で売れますが、なぜ日本語の小説家になったのだろうか? それにはカズオ・イシグロのように日本語を完全に忘れてしまうくらいでないと英語の小説家にはなれない。英語がその人にとって血や肉になっていないと感覚的に違ってきてしまう。

ビジネスで英語を使うのなら意味さえ通じればいいのでしょう。だから安易に学校教育で英語の時間を増やせば英語は上達して上手く行くというのは間違いであり、へたな英語教育は麻生総理のように漢字も読めない、英語の発音もおかしいといった中途半端なバイリンガルが出来上がる。

日本で生まれ育った以上は日本語が母国語で無ければならないのであり、グロ−バル化を先取りして子供を小さな時からアメリカ留学させる家庭もあるくらいですが、子供をアメリカ人として育てるつもりならともかく、そうでなければ、バイリンガルとして中途半端な日本人になるだけだ。

文明が高度に進歩すればするほど言語もそれに耐えうる高度な言葉でなければ文明の進歩について行けない。それと同時に過去の歴史の蓄積がないと文明が暴走した時には間違った方向に行ってしまうだろう。中国や韓国は文字自体を変えてしまって過去の歴史との断絶が生まれてしまった。アメリカ自身も二百数十年の歴史しかなく、多くの国民の祖先は英語が母国語ではない人たちだ。

例えばオバマ大統領は祖先がケニア人ですが、オバマ大統領はスワヒリ語が出来るわけではない。日系人もほとんどが日本語が出来ず日本の歴史を共有できない。つまりアメリカ人の多くは自分たちの祖先の歴史を知る事が出来ない訳であり、アイルランド人もいまは英語を話しているがアイルランド語で書かれた神話は読むことが出来ない。

日本も将来、日本語が滅んでしまって英語が母国語になった場合には、アメリカ人や中国人や韓国人のような過去の歴史とは断絶した人間が出来上がり、自分たちの祖先とは違った言葉や文字を使う民族に成り下ることになる。だからアメリカ人や中国人や韓国人の過度な愛国心は過去の歴史を共有できないから生ずるものであり、日本人は日本語を使う限り日本人でしかないのだから過度な愛国心も必要は無い。

最近の学校教育では歴史を中途半端にしか教えないから、明治維新で歴史教育は終わってしまう。高校では世界史や日本史を教えない進学校もあるくらいで、日本とアメリカと戦争をしたことも知らない高校生がいる。戦後のゆがんだ歴史教育が歴史を知らない日本人を作っているのであり、NHKの大河ドラマで戦国時代のことは知っていても、大正時代や昭和初期のことは知らない日本人が増えた。

日本語が滅んだときは日本民族が滅んだ時であり、決してアメリカ人や中国人や韓国人のような自分の祖先の言葉や文字が分からない民族になってはならない。グローバルスタンダードというのは日本語であり、英語ではデフェクトスタンダードが正しい。母国語を失い、母国の文字が読めなくなった民族はアイデンティティを失い、愛国心を煽るしかなく、国家の求心力を失ってしまうのだ。


 

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