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ジョルダノ・ブルーノ(1548−1600)と言ふ哲学者が居ます。
ジョルダノ・ブルーノに関するサイト
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8E
私が彼の名前を知ったのは、高校生の時の事です。
高校生の頃、私が傾倒して居たヤスパースと言ふ哲学者が、「ガリレオとブルーノ」と言ふ題で一文を書いて居るのを目にしたのが切っ掛けでした。
ブルーノは、16世紀のイタリアの思想家で、カトリックの三位一体説に疑問を抱いた他、地動説を支持し、又、宇宙は無限である事、宇宙には中心は無く、太陽や地球は、宇宙に在る無数の天体の幾つかに過ぎない事などと言った思想を持って居たと、私は読んで居ます。(彼の書いた物を原文で読んだ事は無いので、確かではありませんが)
又、プラトンを再評価したと言ふ点でも、哲学史上注目される思想家ですが、こうした色々な点で、ブルーノは、私を引きつけずに居ない思想家です。
ブルーノは、当時のヴァチカンから「異端論者」と見なされ、火あぶりの刑に処せられると言ふ悲劇的な運命をたどりますが、私が彼(ブルーノ)の名を知る切っ掛けと成った哲学者ヤスパースは、宇宙について、同じ様な思想を持ちながら、自身の見解を少なくとも表向きは撤回したガリレオと、自身の見解を貫き、火あぶりと成ったブルーノを比較して、同じ「真理(Wahrheit)」と言っても、真理には、科学上の見解の様に、生命を賭して語るには値しない真理と、生命を賭して語らずには居られない真理が有るのだ、と言ふ意味の議論を展開して居ます。
同じ様な宇宙観を持ちながら、何故、ガリレイは自分の見解に自身の生命までを賭して語る事はせず、ブルーノは、自身の生命を賭したのか?この問ひに対するヤスパースの見方が、科学史或いは宗教史の視点から 見て本当に妥当であるのかは、私には分かりません。
しかし、ブルーノと言ふ人物に、私は魅力を感じずに居られません。ガリレイももちろん偉大な人間です。私は、ガリレイに対しても、もちろん、深い畏敬の念を抱いて居ます。しかし、ブルーノと言ふ人物は、魅力的です。今日、相対性理論から見れば宇宙は無限ではない様ですが、当時としては革命的な思想であった、「宇宙は無限である」と言ふ思想を抱き、それが処刑された理由であったのかどうか、私は、歴史家ではないので分かりませんが、ガリレイと異なる運命を受け入れたこの人物に、私は、惹かれ続けて居ます。
そして、思ふ事ですが、ガリレイにしろブルーノにしろ、彼らを迫害した事はもちろん野蛮な事ですが、この様に、「宇宙とは何か?」と言ふ問ひを巡って、この様な政治と思想の対決が起こったと言ふ点に、逆説的ですが、私は、西欧の偉大さが在ったと、考えて居ます。
余り知られて居ませんが、コペルニクスの地動説の起源は、実は、イスラム世界の天文学に在ったのではないか?と言ふ見解が在ります。(説明は省略しますが、私は、この見方に説得力を感じて居ます。)コペルニクスの地動説も、実は、西欧が、化学や数学とともに、天文学をもイスラム世界から学んでいた歴史のもう一つの事例であったのかも知れない事は興味深い事ですが、この仮説は、私に、かつてのイスラム文明の偉大さを痛感させる一方で、では、何故、その偉大であったイスラム世界は停滞したのか?と言ふ問題を考えさせずに居ません。この問いは、私の能力を超えた問題ですが、この問いを考える時、私が思ふ事は、逆説的ですが、西欧のカトリック社会において、宇宙の構造を巡って、人が火あぶりに成る事が有ったと言ふ、西欧文明の真理への熱情の大きさです。上の問いの答えには成って居ないと思ひますが、西欧文明と他の文明の違いの一つは、ここに在ったのではないか?と、私は思って居ます。言ひ換えるなら、宇宙の構造を巡って人が人を火あぶりにする様な社会であったからこそ、西欧は、近代科学を生む事が出来たのではないか?・・・そんな気がするのです。
今日(2月17日)は、ジョルダノ・ブルーノの命日です。
2009年2月17日(火)
西岡昌紀(内科医)
http://nishiokamasanori.cocolog-nifty.com/blog/
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■ガリレオたたえる初のミサ、生誕445周年でローマ法王庁
(読売新聞 - 02月16日 00:34)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=751183&media_id=20
ガリレオたたえる初のミサ、生誕445周年でローマ法王庁
(読売新聞 - 02月16日 00:34)
【ローマ=松浦一樹】バチカン(ローマ法王庁)は、「天文学の父」ガリレオ・ガリレイの生誕445周年にあたる15日、ローマの「天使と殉教者の聖母マリア教会」でガリレオの科学者としての業績をたたえる、初めてのミサを行った。
世界115か国の科学者が加盟する世界科学者連盟(本部・ジュネーブ)の要請に応じたもので、バチカン文化評議会の長、ラバージ大司教が主宰した。
バチカンは17世紀に、地動説を唱えたガリレオを「異端」であるとして宗教裁判にかけ、有罪にしたが、1992年に教会側が非を認め、公式に謝罪。現法王ベネディクト16世も昨年12月、ガリレオの研究を公式に認めた。