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http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10129117303.html から転載。 2008-08-19 15:23:39 世紀のラブレター(新潮新書)という出版物があるそうだ。 著者の梯久美子(カケハシ・クミコ)さんが、「共産主義者と個人主義者のラブレター」と題してこんな紹介文を書いている。 ⇒ 今年は小林多喜二の『蟹工船』が大ブームです。若い世代のワーキング・プアと格差が背景にあるというのですが、著者の多喜二は、短い生涯に実に多くのラブレターを書き残しています。中でも有名なのは、「闇があるから光がある」の一文で始まる、小樽時代の恋人・田口瀧子へ宛てた手紙で、「僕のスウィート・ハート」と呼ぶ「瀧ちゃん」を、料理屋の酌婦という境涯から救い出そうと奔走する様子が伝わってきます。 2008/07 ----------------------------- この紹介文を読むうちに確か澤地久枝さんも、小林多喜二のラブレターに言及していたぞ、と思い出した。そうだここだ、あった、あった!! 「続・昭和史の女」の「小林多喜二への愛」のなかにこんな一節がある。後に地下活動中の小林多喜二と同棲することになる伊藤ふじ子に多喜二から手紙が届く。それを「盗み見」した知人、高野治郎がそのときのことを次のように回想している。 ビックリしたんだけど、これほどうまいラブレターは読んだことがないね。だから、要点はいまでも覚えているんだ。『君のことはなにかにつけて思い出す』と最初に書いてあった。『しばらく君とご無沙汰していたのはわけがあるんだ』とあって、なにかで警察に捕まったんだって(注・高野は多喜二の七ヶ月の勾留を知らなかったらしい)。『その時いっしょに捕まった可哀想な老人がいたので、それを抱いて寝てやった。そのためにカイセンをうつされた。それを治療するためにこの温泉に来ている』『このことは親しい人にも誰にも言っていない。君が誰かに話すとは思わないが、ぼくはそれをちょっと試してみたくなった。それでこの手紙を書く』とあって、最後に『帰ったら、また逢いたいものだ』という意味のことが書いてあったな。便箋に二枚だったね。 この証言者の高野は余りに見事なラブレターだったので写真に撮ったらしい。多喜二の死後、原板は弟の三吾に渡ったという。 なるほどな。こんなに巧みなラブレターをもらって心動かぬ女性はいないだろう。小林多喜二は伊達や酔狂でプロレタリア小説を書いていたのではない。小林多喜二のあまり知られざる一面を伝える「さすが」の挿話である。
gataro-cloneの投稿
<小林多喜二のラブレター>これほどうまいラブレターは読んだことがないね【続・昭和史の女】
テーマ:閑話休題
最近のブームといえば永井荷風もそうで、老いてなお若い女性に囲まれたライフスタイルが、高齢世代を惹きつけているといいます。その荷風にも、アメリカ滞在当時、イデスという娼婦の恋人がありました。その後フランスで書かれた書簡には、「let me know where you are now!」といった率直な表現が羅列されていますが、未投函だったところに、結局は女性に背を向ける荷風のスタンスがしのばれます。
社会変革を願い、29歳の若さで拷問死させられた多喜二と、個人主義に徹し、79歳で孤独死した荷風。青春時代に似たような境遇の女性を愛し、それぞれに名作を残していることは同様ですが、その後の人生は対照的なものでした。青春期の熱烈な恋愛は、その後の人生に大きな影響を与えるもののようです。