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国旗及び国歌に関する法律     出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(国旗国歌法 から転送)
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投稿者 mei 日時 2008 年 7 月 21 日 00:19:21: NXmHNZ/QqaRFE
 

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国旗及び国歌に関する法律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(国旗国歌法 から転送)


通称・略称 国旗国歌法、日の丸・君が代法
法令番号 平成11年法律第127号
効力 現行法
種類 公法
主な内容 国旗・国歌の制定
関連法令 元号法
条文リンク 総務省法令データ提供システム

国旗及び国歌に関する法律(こっきおよびこっかにかんするほうりつ、平成11年法律第127号)は、日本の国旗・国歌を定める日本の法律。1999年(平成11年)8月13日に公布・即日施行された。国旗国歌法(こっきこっかほう)と略される。

目次 [表示]
1 概説
1.1 審議経過(1999年)
2 法律制定の背景
2.1 国旗国歌についての議論
3 公立学校と国旗国歌について
3.1 職務命令と関連判決
3.1.1 確定判決
3.1.2 係争中
3.2 関連事項
3.3 著名人等の評価
3.4 脚注
4 関連項目
5 外部リンク


概説
国旗国歌法は本則2条、附則3項、別記2により構成される法律である。

第1条 国旗は、日章旗とする。
第2条 国歌は、君が代とする。
附則 施行期日の指定、商船規則(明治3年太政官布告第57号)の廃止、商船規則による旧形式の日章旗の経過措置。
別記 日章旗の具体的な形状、君が代の歌詞・楽曲。

審議経過(1999年)
6月11日 「国旗及び国歌に関する法律案」(所管・総理府本府)が閣議決定され、閣法第115号として衆議院に提出(併せて参議院に予備審査のため送付)される。
6月29日 衆議院本会議において内閣官房長官野中広務が趣旨説明。衆議院内閣委員会(委員長・二田孝治)に付託
7月1日 衆議院内閣委員会において内閣官房長官野中広務が趣旨説明
7月6日 沖縄県那覇市、広島県広島市において地方公聴会開催
7月7日 北海道札幌市、石川県金沢市において地方公聴会開催
7月8日 衆議院内閣委員会において中央公聴会開催(公述人:慶應義塾大学法学部教授・弁護士・小林節、関西大学文学部講師・上杉聰、エッセイスト・林四郎、日本大学法学部教授・百地章、東京都立大学前総長・名誉教授・山住正己、障害児を普通学校へ全国連絡会世話人・元中学校教師・北村小夜)
7月16日 衆議院内閣委員会において参考人意見聴取(参考人:元長野五輪儀典アドバイザー・吹浦忠正、作曲家・中田喜直、國學院大學文学部教授・文学博士・阿部正路、京都産業大学日本文化研究所所長・所功、全日本教職員組合中央執行委員長・山口光昭、東京大学名誉教授・フェリス女学院大学名誉教授・弓削達)
7月21日 衆議院内閣委員会文教委員会連合審査会が開催される。衆議院内閣委員会において河村たかしほか4名から「国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案」(題名を国旗法とし国歌に関する条項を削る内容)が提出され、起立少数により否決の後、原案が起立多数により可決。菅直人ほか2名から「国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案」が本会議に提出される。
7月22日 衆議院本会議で、菅直人ら提出の修正案が起立少数で否決された後、原案を記名投票により採決。投票総数489、賛成403、反対86で可決。参議院に送付
7月28日 参議院本会議において内閣官房長官野中広務が趣旨説明。参議院国旗及び国歌に関する特別委員会(委員長・岩崎純三)に付託
7月29日 参議院国旗及び国歌に関する特別委員会において内閣官房長官野中広務が趣旨説明
8月3日 参議院国旗及び国歌に関する特別委員会において参考人意見聴取(参考人:東京大学大学院総合文化研究科教授・石田英敬、武蔵野女子大学教授・杉原誠四郎、明星大学人文学部教授・感性教育研究所所長・高橋史朗、中央大学教授・東京大学名誉教授・前日本教育学会会長・堀尾輝久)
8月4日 宮城県仙台市、愛知県名古屋市において地方公聴会開催
8月6日 参議院国旗及び国歌に関する特別委員長・岩崎純三が委員辞任。後任の委員長に筆頭理事・鴻池祥肇が互選される。
8月9日 参議院国旗及び国歌に関する特別委員会において中央公聴会開催(公述人:埼玉大学教養学部教授・長谷川三千子、新潟国際情報大学教授・石川眞澄、財団法人日本オリンピック委員会副会長・上田宗良、日本高等学校教職員組合中央執行委員長・升井勝之)。江田五月から「国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案」が同委員会に提出され、挙手少数により否決の後、原案が挙手多数により可決。参議院本会議で、峰崎直樹ほか1名から「国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案」が提出され、ボタン式投票により採決。投票総数239、賛成54、反対185で否決された後、原案をボタン式投票により採決。投票総数237、賛成166、反対71で可決。奏上
8月13日 公布、即日施行
原案への賛成は自由民主党、自由党、公明党の与党3党及び民主党の一部による。民主党は原案の採決において党議拘束を外している。


法律制定の背景
1996年頃から、公立学校の教育現場において、当時の文部省の指導で、日章旗(日の丸)の掲揚と同時に、君が代の斉唱が事実上、義務づけられるようになった。しかし、反対派は日本国憲法の思想・良心の自由に反すると主張して社会問題となった。1999年には広島県立世羅高等学校で卒業式当日に、君が代斉唱や日章旗掲揚に反対する公務員である教職員と文部省の通達との板挟みになっていた校長が自殺。これを1つのきっかけとして法制化が進み、本法が成立した。

当時首相であった小渕恵三は、1999年6月29日の衆議院本会議において、日本共産党の志位和夫の質問に対し以下の通り答弁した。

「学校におきまして、学習指導要領に基づき、国旗・国歌について児童生徒を指導すべき責務を負っており、学校におけるこのような国旗・国歌の指導は、国民として必要な基礎的、基本的な内容を身につけることを目的として行われておるものでありまして、子供たちの良心の自由を制約しようというものでないと考えております。」
「国旗及び国歌の強制についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることにはならないと考えております。」
当時文部省教育助成局長であった矢野重典は、1999年8月2日の参議院国旗・国歌特別委員会で、公立学校での日章旗掲揚や君が代斉唱の指導について「教職員が国旗・国歌の指導に矛盾を感じ、思想・良心の自由を理由に指導を拒否することまでは保障されていない。公務員の身分を持つ以上、適切に執行する必要がある」と表明している。

本法律制定後も、国旗に対する賛成派と反対派の対立は続いており、色々の場面で問題となっている。例えば教育の現場において式典でのこの問題をめぐり教員同士の間で賛否が別れて対立が起こったりするなど混乱は依然として続いている。北海道では私学への補助について、完全実施がされているかどうかを査定項目にしていた事が判明。“私学の独自性への介入”批判、ミッション校からの「マリア像の隣に日の丸を揚げよというのか」との反発を受け、道庁では「今後は項目としない」としている[1]。背後には自民党道議が道庁に対し繰り返し完全実施の指導徹底を求めた事があると見られている。


国旗国歌についての議論
国旗国歌を擁護する意見は、主に保守派から主張されることが多い(国旗国歌擁護の立場がすべて保守派というわけではない)。しかし、論者によってニュアンスの違う意見がいくつかあり、明治以来の伝統を重視し、戦後も広く国民の間に親しまれ定着しているという意見などがある。

サッカーのFIFAワールドカップやオリンピックなど、国際競技大会での『君が代』演奏の機会があるスポーツ分野から、日本を代表するスポーツ選手と自国への応援として自発的に日章旗(日の丸)が振られ、勝利の感慨の中で『君が代』が歌われる光景は昔と同じである。

一方反対の立場からは、スポーツの応援の場での強制でない自主的な行動は国際的にも評価されるものだが、自国への自負心が他国への優越感―「偏狭なナショナリズム」へと行き過ぎる危険もあり、教育現場での義務化は他国のそれへの尊重につながるわけではなく、逆に自国旗・自国歌、ひいては自民族を誇り自分がその一員である事に拠り所を求める民族主義に発展する危険な傾向であるとしている。

第二次世界大戦後、共産主義者らが中心となり『君が代』を否定した(君が代を否定する人全てが共産主義者だと言うわけではない)。日本共産党は現在も、天皇・日の丸・君が代を現に存在する物であるとして認めつつも“いずれは国民の合意を以って廃止されるべし”としている。現在では天皇は“国民統合の象徴であると広く国民に認知されている”とされる。


公立学校と国旗国歌について

職務命令と関連判決

確定判決
詳細は、日野「君が代」伴奏拒否訴訟を参照のこと。

東京都日野市の市立小学校の入学式で1999年4月に君が代のピアノ伴奏するようもとめる職務命令を拒否した音楽教師が、それを理由とする戒告処分が違法であり取り消すように東京都教育委員会を訴えた裁判の判決が、2007年2月27日に最高裁第3小法廷で下された。それによると、「校長の職務命令は思想及び良心の自由を保障した憲法19条に違反しない」、その職務命令は「特定の思想を持つことを強制したり、特定の思想の有無を告白することを強要したりするものではなく、児童に一方的な思想を教え込むことを強制することにもならない」とされ、教師側の敗訴が確定した[2][3]。


係争中
東京都教育委員会(都教委)は2003年10月、「卒業式での国旗掲揚及び国歌斉唱に関する職務命令」として、「国旗は壇上向かって左側に掲げる」「式次第に国歌斉唱の題目を入れる」「国歌はピアノ伴奏をし、教職員は起立して国旗に向かって起立し斉唱する」などという項目を作成し、違反した場合は服務上の責任を問われるという、「国旗掲揚・国歌斉唱の義務」を各都立高校に通達した。だが、職務命令に従わない教職員がいたことから、都教委は従わなかった教職員に対し処分を行った。

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2006年9月21日東京地方裁判所判決
処分された教職員のうち401人は、「国歌斉唱の起立・強制は、憲法で保障された思想及び良心の自由を犯している」として、都と都教委を相手取り、2004年1月から順次「強制される必要はないことの確認」と「処分を撤回する」ことを求め東京地方裁判所(東京地裁)に提訴した。

この裁判の判決が2006年9月21日にあり、東京地裁は

国旗及び国歌が軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきたことは歴史的事実であり、国旗国歌をよしとしない人も多い
国旗や国歌に反対することも、思想及び良心の自由の範囲内であり十分尊重されるべきで、国旗への起立やピアノ伴奏を伴った国歌斉唱という都教委の指示に従う義務はない
国旗や国歌は強制されるものではなく、国民に自然と定着させるべきもので、それが学習指導要領の理念だ
国旗への起立や国歌斉唱強制は「不当な支配」であり違反(教育基本法10条1項)であり、都教委のしたことは思想及び良心の自由を侵害した行き過ぎた処分
として、都と都教委に、国旗国歌の強制による処分の撤回と、原告1人当たり3万円の慰謝料を支払うよう命じる判決を出した。

都教委は2006年9月29日、東京高等裁判所(東京高裁)に控訴した。

2007年6月20日東京地方裁判所判決
元教諭10人が、通達・職務命令に違反し、卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことで、再雇用の合格を取り消したのは違法として、処分の無効確認と損害賠償を求めた訴訟で、東京地方裁判所は、2007年6月20日、

起立は特定の思想の表明になるものではなく職務命令は思想・良心の自由を侵害するものではない
都立高校の式典での国歌斉唱の実施率は、全国と比べ極めて低く、通達は学習指導要領に従った式典実施に必要な範囲のもので、教育への不当な支配には該当しない
職務命令に違反した教諭が再雇用合格を取り消されても不合理とはいえない
として、原告元教諭らの訴えを退けた。


関連事項
2006年度の卒業式では、中村正彦・都教育長の指導「卒業式の来賓は慎重に検討し、適切に人選せよ」を受けた各校長が、君が代斉唱を拒否した経験のある元職員・担任を式から締め出した。久留米高校では校長が、前校長の出席拒否を教育長答弁に基づくものである旨言明しており、“異論の排除ではないか”との声が出ている[4]。


著名人等の評価
2004年秋の園遊会に招待された東京都教育委員会委員を務める米長邦雄は、今上天皇の前で「日本中の学校において国旗を掲げ国歌を斉唱させることが、私の仕事でございます」という発言を行った。これに対し、天皇は「やはり、強制になるということでないことが望ましいですね」と返答している。

2006年9月21日の地裁判決について、原告側は「画期的な判決」と評価した。石原慎太郎東京都知事は「この裁判官は教育現場を何にも分かってない」と批判した。また、土屋敬之・都議会議員(民主党)は、10月24日に判決を言い渡した裁判官の罷免を求める集会を主宰した。

日本弁護士連合会は、2007年2月20日に、2003年10月の都教委の通達に基づく処分取り消しと、“教職員に一定の思想を強制するもので憲法違反”としてその都教委の通達廃止を求める「警告」を教育委員会に対し行なった[5]。


脚注
^ 北海道庁、私学補助金の査定項目に「国旗・国歌」同、2007年7月14日付け
^ 君が代伴奏命令は合憲、教諭の上告棄却…最高裁初判断 読売新聞2007年2月27日付
^ 最高裁第三小法廷 平成16(行ツ)328 戒告処分取消請求事件最高裁ホームページ
^ 卒業式来賓、校長が選別 都立高 恩師も「お断り」アサヒコム2007年3月10日付け
^ 「君が代」不起立4教諭処分、日弁連が取り消し求める 読売新聞 2007年2月21日付
 

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