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アメリカ少数派ハイテク奴隷軍再論「マムルーク王朝史」
http://www.asyura2.com/0406/war56/msg/656.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 6 月 13 日 04:56:40:CjMHiEP28ibKM
「目立たないかたちで中世史をやっている人が『マムルーク』という西アジア、中東における奴隷軍人の歴史を書いた本を出した。今回、サウジアラビアに展開した米軍は、ある種のマムルーク、雇われた軍隊と見ることもできると思っている」(欄外に木村愛二注)
中東問題の研究者なら、単に「マムルーク」だけで意味が通ずるのだが、後で聞くと、日本のジャーナリズム関係者でこの言葉を知っていたのは非常に少数だったらしい。
従来の日本の公認学校教育歴史学は、イスラム支配、アラブ時代、サラセン帝国、トルコ帝国ぐらいの説明で終わっていた。だが、「マムルーク王朝」と呼ばれる元奴隷軍人による一連の王朝は、中東の覇権がアラブからトルコに移行する中間期に、一二五〇〜一五一七年という約三世紀にもわたって続いたのである。日本の歴史でいえば徳川幕府の三百年に匹敵する期間である。アラブ人は、彼らから見て「黒人」のアフリカ人奴隷兵を「アブド」、「白人」のトルコ、チュルケス、モンゴル、スラヴ、ギリシャ、クルド人奴隷兵を「マムルーク」と呼んだ。この「マムルーク」が権力を奪取したのである。また、ひるがえってそれ以前の歴史から見直すと、アラブ人の王朝が次第に奴隷兵に依存するようになり、やがて、奴隷兵出身の職業軍人に権力を奪われたのである。
「歴史は繰り返す」というが、常に新たな要素が加わる。私は『噂の真相』(91・4)で「地球最後のハイテク奴隷傭兵」という表現を用いた。ブッシュは、経済的奴隷制ともいうべきアメリカの現状の上に立って、「志願」の貧しい若者を戦場に追い込んだ。ハイテク兵器(中古品も「売りつくし」らしいが)をふんだんに使用して、そのツケを世界各国に回している。こんなにモラルの低下した大国の戦争商売は、人類史上初めてである。
[後略]
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木村愛二注:私は、この板垣の話を聞いた当時、その時より15年も前の発行の『エジプト・マムルーク王朝』(大原與一郎、近藤出版社、1976年10月20日)を所持し、当然、読んでいた。板垣が語ったのは、『マムルーク王朝』(佐藤次高、1991)のことである。拙著『古代エジプト・アフリカ史への疑惑』(絶版で電網宝庫無料公開中。近く木村書店から改訂新版発行予定)の初版の発表は、1974年である。
以下は、その中の関係箇所の抜粋である。
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バルカン半島の住民によって、オスマン=トルコ最強の奴隷軍団、イェニ=チェリが組織され、北アフリカにも配置された。この軍団の兵士は、バルカン半島の住民のなかから、5年ごとに、健康で美貌の少年を選抜し、強制改宗と特殊訓練とによって、最も狂信的なイスラム親衛隊員にきたえあげたものである。最大時は、14万人に達した。この伝統は、確実に300年は続いている。
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