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2009/2/12 16:59
http://netallica.yahoo.co.jp/news/65972
日本の食卓から牛乳が消えるかもしれない。昨年以降、飼料価格の高騰で経営が立ちゆかなくなり、廃業に追い込まれる酪農家が続出しているからだ。業界団体の中央酪農会議(中酪、東京)によると、今年は北海道を除く各地で約1240戸が廃業する見通し。歯止めをかける救済策もなく、専門家は「このままでは生産量が落ち込み、牛乳が店頭から消える」と警告している。
乳牛の配合飼料は輸入トウモロコシが主原料だが、2006年秋以降、バイオ燃料向けの需要増加や穀物市場への投機資金流入で世界的に穀物価格が上昇。飼料価格も大幅に高騰した。
昨年暮れに酪農を廃業した栃木県那須烏山市の高木建一郎さん(63)によると、配合飼料は2年前まで1トン4万円だったが、昨年は6万8000円。年間200万円が320万円まではね上がったという。
高木さんが所属していた酪農とちぎ農協(宇都宮市)では、昨年は管内600戸のうち3分の1が赤字で30戸が廃業。全国的にも状況は同じで、中酪が予測した09年の廃業数は酪農家全体の7.6%。過去10年で最も高い廃業率になるという。その“救済策”として大手乳業メーカー各社は今年3月から買い取り乳価を1キロ当たり約10円上げるが「それでもほとんどの酪農家は利益が出ない」(前田浩史・中酪事務局長)。
前出の高木さんは赤字経営に加え、長男も跡を継がないことで酪農への熱意がなえ、20頭の牛を肉用に売却。兼業の稲作一本に絞ることに決めた。「物心ついたときから身近に牛がいたから、さびしい。でも借金なしでやめられて、幸せなのかもね」と語る。
一方、乳業メーカー側も、1キロ10円の値上げは苦渋の選択だ。市場では深刻な牛乳離れが進み、消費減に輪をかける恐れがあるからだ。
中小メーカーが集まる全国乳業協同組合連合会(東京)の担当者は「乳価以外にパック代や流通コストも上がっている。今回の仕入れ価格アップは、大手といえども企業努力で吸収できる限界を超えているのではないか。今後の卸価格への反映次第では、市場の牛乳離れをさらに加速させる恐れもある」と不安を隠さない。
酪農問題に詳しい東大大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は「昨年は生乳減産でバターがスーパーの店頭から消えた。牛乳も同じ事態に陥る可能性がある。コメを飼料に活用するなど国内自給を検討するとともに、乳価をさらに上げる救済策も必要だ」と指摘するが、牛乳を取り巻く“負のスパイラル”は収まる気配はない。