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《以下部分抜粋開始》
まずいのは、「現在の人類は20万年前にアフリカに住んでいた「ミトコンドリア・イブ(mitochondrial Eve)」と呼ばれる1人の女性に起源をもつ」という部分である。
ミトコンドリア・イブの定義は、「今日生存している全人類の最も近い共通の女系祖先」である。
元々、「今日生存している全人類の最も近い共通の女系祖先」に「イブ」という名前をつけたこと自体が誤解を招くものだったのである。
「ミトコンドリア・イブ」から人類が始まったわけではない。
「今日生存している全人類の最も近い共通の祖先」という概念は「全人類の始まり」という概念とは全く別物である。
例えば、A氏と兄弟のB氏と両者のいとこであるC氏が、D家の最後の生き残りだとしよう。そうするとD家の人間の「最も近い共通の祖先」とは、A氏、B氏、C氏の祖父母になる。このことは、「A氏、B氏、C氏の祖父母がD家の始祖である」ということを意味しない。A氏、B氏、C氏の曾祖父母も曾曾祖父母もD家の祖先の人間なのであって、D家の始まりはもっと過去にあったのである。
さらに、C氏が死去してしまった場合を考えてみよう。そうすると、今度はD家の生き残りの「最も近い共通の祖先」はA氏とB氏の両親ということになる。
同様に、「ミトコンドリア・イブ」も、例えば、大災害が起こって現人類の何割かが死んでしまったら、それまでとは別の女性が「ミトコンドリア・イブ」になる、ということも起こりうるのである。
ダニエル・デネットは、『ダーウィンの危険な思想』の中で、このようなことを「回顧的戴冠」と呼んでいる。「ミトコンドリア・イブ」は、現在から過去を振り返ることによって見出される構成的な概念であって、過去のその時点において何か特別なことが起こったということではないのである。
また、「ミトコンドリア・イブ」は「今日生存している全人類の最も近い共通の祖先」の唯一の人間ですらない。「ミトコンドリア・イブ」は、「女系の」「今日生存している全人類の最も近い共通の祖先」であって、「女系の」という限定を外してしまえば、「今日生存している全人類の最も近い共通の祖先」は「ミトコンドリア・イブ」以外にも存在するのである。
なぜ研究者にとって「ミトコンドリア・イブ」が特別なものであるかというと、「女系」のみをたどった祖先であるからで、なぜ「女系」のみをたどった祖先が特別なものであるかというと、ミトコンドリアが「女系」のみ受け継がれ、染色体のように交叉を起こさないために系統の分析が容易だからである。それだけのことである。
《以上部分抜粋終了》
http://a-gemini.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_c1f0.html
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