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フードマイレージという不思議な考え方(政治・経済・哲学に関する雑記)
2008-05-23 12:07:20
「フードマイレージ」という言葉がある。これは食料が運ばれてきた距離のことで、遠くから運んできた食料ほど、多くの石油を消費し多くの二酸化炭素を排出することになることから、なるべく近くで生産されたものを食べるのが環境によいとの考え方で使われる。
おもしろい着想だが、しかしおかしな考え方だと私は思う。物資の輸送が環境に負荷をかけるとしても、なぜ食料だけを問題にするのか。近年の日本の食料品の年間輸入量は0.4億トン程度だが、たとえば原油の年間輸入量は2.5億トン、石炭は1.5億トン、鉄鉱石は1.4億トンなどとなっている。こうした中で食糧だけを俎上に載せる理由は見つからない。
もう1つ、遠くで効率よく生産された食料を運んで来るのと、それより低い効率でもって近くで食料を生産するのと、どちらが環境に負荷をかけるかも難しい問題である(こういう場合「効率」とは何かが問題だが)。
遠くから来たよくわからない食品を食べたり、グローバル化によって国内農業が衰退することなど、食料の貿易や外国依存について不安を感じている人は多い。だからフードマイレージという考え方が広がるのだろうが、そこで環境保護の観点を強調するのは、いささか見当違いで欺瞞的である。
食品の貿易を減らして粗食に戻れば、たしかに環境にはよいかもしれない。だがこれは、豊かさをあきらめることで環境への負荷を減らそうというだけのことで、それなら電気を節約するとか自動車や飛行機に乗る回数を減らすとか、旅行を控えるとか、別にもっと効果の大きいものがあるかもしれない。
物質的な豊かさを追求しすぎる現代の生き方はたしかに再検討の余地があろうが、方向を間違えると単なる自己満足に終わってしまうだろう。
http://blog.goo.ne.jp/soejima41/e/f00de385cbe5b762a03be273dd77941c
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