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(回答先: バイオ燃料が生物絶滅招く 原料生産で生息地破壊(東京新聞) 投稿者 gataro 日時 2008 年 5 月 02 日 19:54:45)
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/5499547.html#more より全文転載。
「らくちんランプの管理人スパイラルドラゴンです。今日は、2007年4月28日です。インチキ環境学者達が言い出した、地球環響に対するCO2悪玉説が世界中に蔓延したことで、一部では「環響に優しい」という嘘の言葉を冠して「バイオガソリン」の一般販売が開始される事態となりました。
「バイオガソリン」初出荷、27日から首都圏で試験販売(4月26日13時37分配信 読売新聞 続きを読むに保存)
<バイオガソリン>試験販売が首都圏50カ所でスタート(4月27日11時9分配信 毎日新聞 続きを読むに保存)
石油連盟のHPの中の、「バイオガソリンについて」のページの中段にある、「バイオガソリン(バイオETBE配合)を販売(流通実証事業)する理由は」に、バイオ燃料はCO2を増加させないという「仮説」が次のように説明されています。
(以下転載)
植物を原料とするバイオ燃料を燃焼させた場合には、次の世代の植物が光合成によってそれを吸収して育つため、大気中のCO2の総量を増加させないという考え方(カーボンニュートラル効果)により、バイオ燃料の燃焼によって排出されたCO2を温室効果ガス排出量として計上しないことにしています。
(転載終わり)
さて今日は、上記の説明が子供だましの単純な嘘である事を、なるべく分かりやすく暴いてみようと思います。
結論を先に申し上げると、地球生態系の長い時間軸から「植物とCO2の関係」を捉えると、植物はCO2を一時的にその形態を変えて保管しているに過ぎないので、そのライフサイクル全般を通して見れば、植物はCO2を吸収する役割の生物では無い(植物のCO2の吸収と排出は均衡している)。
また、植物(バイオ原料)からエタノールを製造する工程では、必ず化石燃料を使い、CO2を排出する。
参照:エタノール燃料製造用省エネルギー型蒸留塔の設計と制御(伊藤・橋本研究室)
http://www.manage.nitech.ac.jp/labo/itoh-lab/insidelink/Oka/Distillation_Column.html
よって、エタノール100%で走行可能なフレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)であっても、CO2の削減にはならない。
ましてや、バイオガソリンに配合されているETBE(バイオエタノール)は、化石資源由来原料のイソブテンとエタノールを4対3の割合で混ぜて製造しているので、例えETBEの混合比率の高い燃料を使ったとしても、化石燃料の削減にならない、ということです。
参照:バイオエタノール問題を考える(by 垣見裕司)
http://www.kakimi.co.jp/2k7010.htm
自動車用燃料におけるバイオマスの利用(by 斎藤健一郎)
http://www.iae.or.jp/publish/kihou/29-2/11.html
さて、一般的に陸上に生息している植物が成長する為に必要不可欠な条件は、@適度な水分A植物毎に必要とする温度B根から吸収する栄養成分C光合成する際のCO2D光合成が行われない夜間に呼吸する酸素、E光エネルギーの6つの要素です。
そして植物が呼吸する際に吸収する酸素の量よりも、光合成の際に吸収するCO2の量が多いので、結果的に植物はCO2を吸収するとされています。
より具体的に説明すると、CO2の元となる「炭素」の一部は、植物を成長させるたんぱく質に変化しているので、光合成でできたCO2が、植物が夜間に呼吸する際に、またその総量が排出されるわけではない。全体としては、植物はやはりCO2を取りこんで酸素を出してくれている。という理屈です。
でも、植物が吸収するCO2量は、日照条件や生態系の違いで大きく変動するので、地球上全ての地域に生息している植物に当てはまらないのです。
その事実を説明する為に、「生態的思考のすすめ・勝田光俊著」に書かれている、「熱帯雨林」とCO2に関する記述を紹介します。
(以下転載)
「熱帯雨林が吸収するCO2量と、排出するCO2量は等量である」(四手井鋼英・吉良竜夫監修「熱帯雨林を考える」)という説もある。
熱帯雨林は成長を止めた生態系だから、成長のための炭素と呼吸のための酸素の交換量は既に等しいらしい。とすれば、炭素を大量に吸収しているのは、炭素を大量に吸収しているのは、毎年葉を茂らせる落葉樹林や成長過程にある人口植林しか考えられないということになる(ニューズウィーク誌 92/6/2)
となれば、成長を止めて、CO2問題とは中立、言い替えれば無関係になった熱帯雨林など原生林は一定の割合で伐採し、その後に植林を行えば、CO2問題に限って言えばかえって解決できそうである。
また海水は水温と気温の差によって、夏はCO2を大気中に放出、冬は吸収しているとされるが、日本の気象庁が93年3月22日発表した観測結果によると、年間では吸収量の方が多く、その量は石油や石炭などの化石燃料が放出するCO2の40%に相当するという。
そのCO2が炭酸同化作用によって海中のプランクトンを育て、食物連鎖によって海中の生物資源を維持していることになる。大気中のCO2は、ヒト種を含めて生物種の生存に有効な役割をも果たしているのであって、一方的な悪者では決してない。
(転載終わり)
つまり、地球上でCO2を吸収している主役は海水と海中プランクトンであり、決して地上に生息している植物類では無いと言うことです。
そして、インチキ科学者達がはじき出した、地上の植物が吸収しているCO2総量のデータなどは、話半分どころか、全く信用してはならないと思います。
複雑な大気の循環と均衡によって成り立っている地上の植物の生育環響を加味すると、「植物のCO2の吸収と排出は均衡している」と考えるのが妥当だと思います。
この「植物のCO2の吸収と排出は、均衡している」という私の推測は、第2部 森の生態学 ■炭酸ガスの吸収(by 和歌山社会経済研究所 元主任研究員 山東良朗)において、さらに詳しい説明がなされていますので、その記述も転載しておきます。
(以下転載)
植物の生態で現在最も注目されているのは、炭素ガスの吸収作用である。光合成の暗反応過程で空気中の炭酸ガスを取り入れるのだが、ただし植物は炭酸ガスを一方的に吸収し続けるものではない。
1本の樹木が発芽し、成長し続ける過程では炭酸ガスを取り入れながら樹木は大きくなり、炭酸ガスを吸収し続けるように見えるが、この場合においても炭酸ガスの出し入れが起こっている。
というのは、植物自身も呼吸作用により二酸化炭素を放出しているからだ。さらに、いったん樹体を作った炭素の一部は、葉や枝、また花などが枯れて落下したり、動物や昆虫に食べられて糞や遺体などのかたち(これらを総称して「リター」と呼ぶ)で土に還る。
土には微生物や土壌生物がいて、リターを食べることにより生活しているが、その結果リターは分解され無機化されて土壌に蓄積されることになる。これらを再び植物が吸収して、植物の体を形成することになるのである。
しかし炭酸ガスは根から吸収されることはないので、やがて土壌から大気中に放出されてしまう。
このように、無機質に限れば同じ森の中の収支はほぼ均衡状態にあり、森全体の現存量は一定に保たれることになる。
炭酸ガスに関しては大気中を自由に移動するものであるから、地域を限定できるものではないが、光合成による吸収、一方呼吸による排出、さらにリターから分解されて大気中に放出される量は均衡していると考えられる。
(転載終わり)
今回販売が開始される「バイオガソリン」に添加されている「バイオマスエタノール」の原料は、人間が食用としているデンプン類や穀物等の「バイオマス」から取りだした燃料ですので、国際的な食糧問題を発生させ(既に発生している)、飢餓による死者を増大させる恐れすらある、非人道的なエネルギー政策だと思います。
良心的な科学者達が研究している「バイオ科学技術」の正しい使い方は、今までゴミとして燃やしていた廃材や穀物残渣や食べ残し等の「排バイオマス」を、石油等の鉱物資源の力を借りずに転換し、「バイオエネルギー」として利用する事なのです。
そして、「排バイオマス」を原料とした「バイオエネルギー」の総量は、人類が年間に生産している穀物量と、伐採可能な森林資源の制限を受けますので、決して石油・石炭・天然ガス等の鉱物資源の代替には成り得る程の量は確保できませんし、例え原料が確保出来たとしても、むりやり年間生産量を増大しようとすれば、製造工程で必ず使う鉱物資源(石油等)の無駄遣いを加速するだけだということを、特にこの分野の政策決定に関わっている政府関係者(経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課等で、仕事をされている方々)は肝に銘じて、今後のバイオエネルギー政策を策定すべきです。
現在の環境問題に火をつけたのは、1970年のローマクラブの報告書「成長の限界」であり、ローマクラブのパトロンが石油エネルギー利権を握っている奴らであることから、二酸化炭素悪玉説の嘘をいつか暴いてやろうと思っていました。
でも既に、二酸化炭素悪玉説の嘘を、分かりやすく解き明かしている方がネット上に存在しました。「いんちき」心理学研究所の管理人浅野教授という方です。少し長い記述ですが、次の記述をじっくりとお読みになることをお勧めします。
「二酸化炭素は悪の大魔王」という神話 2004.09.10 Friday)
http://psychology.jugem.cc/?eid=57
また、『環境問題』を考える(管理人:近藤 邦明)というHPには、真剣に地球温暖化対策に取り組んでいる方々にとって、参考となる多くの記述が掲載・更新されていますので、一通り目を通されることをお勧めします。
(以下転載)
「バイオガソリン」初出荷、27日から首都圏で試験販売
植物原料のバイオエタノールをガソリンと混合した「バイオガソリン」が26日朝、横浜市の新日本石油精製根岸製油所から初出荷された。27日から首都圏50のガソリンスタンドで試験販売され、2010年度までには全国のガソリンスタンドで販売される計画だ。バイオガソリンは、バイオエタノールと石油ガスを合成した「ETBE」と呼ばれる液体燃料をガソリンに混ぜ、バイオエタノールの混合比率を3%としたものだ。性能は一般のガソリンと変わらず価格もレギュラーガソリンと同水準になるという。一般の車でそのまま使用できる。
二酸化炭素(CO2)を吸収する植物を原料としたバイオエタノールは、二酸化炭素の排出量がゼロと計算されるため、政府は2010年度までに原油換算で50万キロ・リットルのバイオ燃料を国内で使用する目標を掲げている。
出荷式で石油連盟の渡文明会長(新日本石油会長)は「(バイオガソリン販売は)国民一人一人が地球環境貢献を意識できる画期的なプロジェクトだ」と意義を強調した。
<バイオガソリン>試験販売が首都圏50カ所でスタート
トウモロコシやサトウキビなどから作られる燃料、バイオエタノールを混ぜた「バイオガソリン」の試験販売が27日、首都圏50カ所のガソリンスタンドで始まった。
バイオエタノールは原料となる植物が生育過程で大気中の二酸化炭素を吸収することから、地球温暖化の防止に役立つとして、環境省や農水省が積極導入を目指している。
今回、販売されるのはバイオエタノールと液化石油ガス(LPG)を合成した「ETBE」をレギュラーガソリンに7%混入(バイオエタノール分は3%)したバイオガソリンで、価格はレギュラーガソリンと同じ。1リットルあたり10円程度のコスト増額分は国と石油業界が折半で負担する。
東京都杉並区南荻窪の「JOMO Value5 荻窪店」では同日未明から販売を始め、店員が訪れた客にチラシを配って新燃料をPRした。給油に訪れた世田谷区の会社員、小田島泰純さん(29)は「環境に良い方がいいので、1リットルあたり数円高い程度なら選んででも使いたい」と話していた。
販売開始に立ち合った石油連盟の山田信夫部長は、「新しいガソリンなので受け入れるか心配していたが、お客様の声も好意的だった。環境意識が急に高まっているようだ」と一安心の様子だった。石油業界は来年4月には試験対象の給油所を100カ所に増やし、本格的な普及に向けた取り組みを急ぐ。【斉藤望】
(転載終わり)
注:この毎日新聞の記事の中の「バイオエタノールは原料となる植物が生育過程で大気中の二酸化炭素を吸収する」という記述は、様々な実測データに基づいて、その平均値をはじき出した記述では無い、単なる机上の空論です。
例えばサトウキビでも、栽培する土壌や気候風土の違い、またその年の日照条件や平均気温によって、光合成で吸収する二酸化炭素の吸収量は増減し、条件によっては成長過程で二酸化炭素の排出量が上回る場合すらありますので、「バイオエタノールの原料となる植物が生育過程で二酸化炭素を吸収する」とは断定できないのです。
スパイラルドラゴン拝
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